きなこ、毎日食べるとどんな栄養効果がある?食べ過ぎのデメリットとは
和菓子やお餅で使われるきなこには、どのような栄養が含まれているのでしょうか。きなこに含まれる栄養素と期待できる効果、1日あたりの摂取目安量や効果的な食べ方を紹介します。また、きなこを食べ過ぎた場合のデメリットも解説します。
<このページの内容>
きなこ大さじ1杯あたりの栄養成分
きなこ大さじ1杯(約6g)は、このようなカロリーと栄養が含まれています。
カロリー:27 kcal
たんぱく質:2.2g
脂質:1.6g
炭水化物:2.1g(糖質:0.7g/食物繊維:1.4g)
カルシウム:14mg
鉄:0.4mg
マグネシウム:19mg
カリウム:88mg
ビタミンB1:0.01mg
ビタミンB2:0.02mg
葉酸:10µg
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
きなこに含まれているおもな栄養と働き
きなことは、大豆を焙煎して粉末にしたものです。消化吸収がよく、大豆の栄養成分を摂ることができるため、健康や美容にもよいと言われています。
100gあたりのきなこに含まれる栄養素と、その働きを確認しましょう。
タンパク質
大豆は「畑の肉」といわれるほど、タンパク質が豊富な豆類です。その大豆から作られるきなこもタンパク質が豊富で、100gあたり約37g含んでいます。
タンパク質は、筋肉や臓器、血液や皮膚、髪といったあらゆる組織を作る材料になる栄養素です。体の機能を調整するホルモンや神経伝達物質の材料でもあり、免疫や血圧の調整、代謝といった機能も担います。
タンパク質を摂取することで筋肉量のキープを助け、疲れづらくなる、太りづらい体づくり、髪や肌の健康維持に役立ちます。
ミネラル
きなこには、カルシウムやマグネシウム、鉄といったミネラルも豊富に含まれます。
カルシウムは骨や歯の材料となるだけではなく、血液の凝固を促して出血を防ぐ働きもします。マグネシウムは筋肉の収縮や、体温・血圧の調整といった働きをする栄養素です。鉄は全身に酸素を運搬し、運動能力や学習能力を維持します。
このようなミネラルは体内では作れないため、食物から摂取しなければなりません。ミネラルが不足すると、さまざまな不調の原因になるので注意しましょう。
ビタミンB群
きなこはビタミンB1とビタミンB2を豊富に含む食材です。
ビタミンB1は体内で脂質をエネルギーに変換する栄養素です。不足すると倦怠感やむくみ、食欲不振や手足のしびれ、体重の増加といった症状が出てくることも。
そしてビタミンB2は、体内で糖質やタンパク質をエネルギーに変換する栄養素です。不足が続くと口内炎や舌炎、子どもの成長障害といった症状が現れます。
食物繊維
きなこは、食物繊維のなかでもとくに「不溶性食物繊維」を豊富に含みます。
不溶性食物繊維は腸のなかでカサを増し、腸を刺激して便秘を解消する働きをします。大腸内の細菌により発酵・分解されることで、乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌の餌となり、腸内環境によい影響を与えます。
不溶性食物繊維が極端に不足し続けると、便秘や痔、大腸がんのリスクが高まると言われています(※1)。普段から便秘がちな方は、きなこを摂って対策しましょう。
(※1)国立研究開発法人 国立がん研究センター 食物繊維摂取と大腸がん罹患との関連について
大豆イソフラボン
きなこに含まれる大豆イソフラボンは、腸内細菌によってエクオールに変換され、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをすると言われています。
そのため、更年期に入りエストロゲンの分泌量が低下した際に大豆イソフラボンを摂ることで、更年期症状の緩和が期待できる可能性があります。
一方、大豆イソフラボンをエクオールに変換する腸内細菌を持っている人の割合は、日本人では2人に1人だといわれています。そして、大豆イソフラボンが必ずしも女性ホルモンと同じ働きをするわけではありません。
とはいえ、大豆イソフラボンは骨の形成をサポートしたり、脂肪の燃焼を促進したり、コレステロール量を低下させたりする働きを持つ栄養素です。エクオールに変換できない体質の方も、適量をとることに損はありません。
きなこは1日どれくらい摂るといい? 摂取量の目安
1日あたりのきなこの摂取目安量は、約7~14g(大さじ1~2杯)です。
きなこはいつ食べるのがいい? おすすめ摂取タイミング
きなこはカロリーが高いため、活動量の多い日中に摂取するのがおすすめです。朝ごはんや、昼食のデザート、15時あたりの間食で摂取しましょう。
きなこを食べ過ぎた場合のデメリット
栄養価が高く、消化吸収もよいため、大人にも子どもにもおすすめの食材であるきなこ。とはいえ、食べ過ぎた場合には以下のようなデメリットもあります。
不溶性食物繊維の摂り過ぎによる便秘
食物繊維は腸内環境を改善し、便秘を解消する効果が期待できます。一方、きなこに含まれる不溶性食物繊維を摂り過ぎると、便秘を引き起こすおそれがあるので注意が必要です。
不溶性食物繊維は、過剰に摂取すると便のかさが増えスムーズに排便できなくなり、逆に便秘を引き起こすことがあります。
便通を改善するためには、不溶性食物繊維だけではなく、水に溶ける性質を持つ水溶性食物繊維もバランスよく摂取することが大切です。水溶性食物繊維は、わかめや昆布、果物類に多く含まれています。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のバランスが大事
ちなみに、この水溶性食物繊維も、摂り過ぎた場合は下痢を引き起こすおそれがあります。
その場合は、不溶性食物繊維が豊富な食材を摂りましょう。不溶性食物繊維は、きなこの他には野菜やキノコ類に多く含まれます。
カロリーオーバーによる肥満
きなこは栄養がギュッと詰まっていますが、100gあたり約400kcal含む食材です。また、脂質や炭水化物も豊富に含むため、摂り過ぎると肥満の原因になるおそれがあります。
和菓子やお餅と一緒に食べる場合は、ついかけすぎてしまうことも。カロリーオーバーに注意しましょう。
きなこの栄養を引き出す食べ方
粉のままのきなこを、そのまま摂るのは難しいですよね。ふりかけるにしても飽きてしまう。というわけで、最後に、きなこのおすすめの摂り方を紹介します。
きなこミルク・きなこスムージー
きなこと牛乳を混ぜるだけで、きなこミルクを作ることができます。冷たい牛乳だと溶けにくいので、少量をお湯で溶かし、それを牛乳に混ぜるのがオススメです。
また、野菜や果物のスムージーに少量のきなこを加えることで、ほんのり甘みと香ばしさが混じります。
きなこアイス・きなこヨーグルト
市販のアイスクリームやヨーグルトにきなこをかけることで、アレンジレシピを楽しむことができます。
アイスクリームもヨーグルトもカルシウムやタンパク質を豊富に含むため、きなこを加えることで、より効率的に摂取できるでしょう。
ただし、カロリーオーバーにならないよう注意が必要です。
きなこトースト・きなこご飯
トーストしたパンにバターを塗り、きなこと砂糖を混ぜたものを塗ることできなこトーストができます。パンに塗ることで、手軽にタンパク質や脂質を摂取できるため、時間のない朝食におすすめのアレンジレシピです。
また、白米にきなこをふりかけるだけで、きなこご飯として食べることができます。ごはんにきなこ? と、驚くかもしれませんが、おはぎのようなイメージでしょうか。福井県の郷土料理としても知られています。
朝食におすすめの食べ方で、納豆きなこでいただくのも美味しいです。
きなこプロテイン
筋トレをしている方は、プロテインにきなこを混ぜたきなこプロテインもおすすめです。きなこにもタンパク質をはじめさまざまな栄養素が含まれているため、バランスよく栄養素を摂取できるでしょう。
ただし、きなこには脂質が多く含まれるため、ボディメイクを厳密に行っている人は注意も必要です。
きなこプリン、きなこドーナツ
プリンに振りかけたり、きなこを入れた袋にドーナツを入れ、シャカシャカするときなこドーナツに。
きなこホットケーキ
ホットケーキミックスにきなこを混ぜて焼くと、簡単に摂取できます。もちろん振りかけてもOK。
きなこは栄養豊富で消化吸収もよく、すぐ食べることができる優秀食材
きなこは粉末状のため消化吸収がよく、おなかを壊しているときにも摂りやすい食材です。また、栄養価が高いため、疲れているときや風邪気味のとき、忙しいときにもおすすめの食材です。
きなこは煎ってあるため、加熱せずにそのまま食べられるというメリットもあります。忙しいときにもきなこを食べ、豊富な栄養を摂取しましょう。
監修者プロフィール
あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師を経て食養生の大切さに気付く。牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニューも開発。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」で薬剤師を務める。
<Edit:編集部>