
歯科医に聞いた「口臭でもっとも多いパターン」とは?今すぐチェックしたい「5つの原因」
知らなかった……口臭がきつくなる原因がこんなに幅広くあったとは。口臭の原因や自分でできる口臭対策について、歯科医・迎 和彦先生に教えてもらいました。
口臭がきつくなる5つの原因とは
迎先生:口臭は、大きく次の5種類に分類されます。
・生理的口臭
・飲食物嗜好(しこう)による口臭
・ストレスによる口臭
・心理的口臭
・病的口臭
これらについて解説します。
1.生理的口臭
起床時や空腹時に臭うことがあります。女性の場合、生理時やその前後のホルモンバランスの不調により、口臭を感じるときがあります。
2.飲食物の嗜好による口臭
食べた物や飲んだ物が原因で、口臭がでることがあります。
・ニンニク、ニラ、ネギ、たくあんなど、臭いの強いものを食べた
・飲酒、喫煙 など
臭いの元になる成分は、胃の中で消化されて、体内に取り込まれます。その後、血液を介して全身を循環し、肺を経由して、呼吸とともに吐き出されます。
この場合は、口の中をきれいにしていても臭うことがあります。
3.ストレスによる口臭
ストレスが原因で唾液の分泌量が減ると、口臭が起こります。口臭は、唾液の分泌量や性質と深い関わりがあります。唾液には、強い免疫力や、洗浄能力があるからです。
「唾液の量が減る」「唾液の粘度が高くなる」と、口臭の原因菌は洗い流されず、口内にたまって繁殖し、口臭が起こります。
ストレスなどが原因で、唾液の分泌量はリラックス時より3割ほど減るといわれています。ストレスを感じている時は、リラックスしている時とは違う物質(※殺菌作用のある成分を含んだ粒。顆粒球など)が神経から放出され、唾液を作る細胞に沈着・結合します。
また、ストレスを感じている時は、交感神経が優位になります。生体防御が働くと、唾液は粘性を高めて雑菌を捕まえ、体への侵入を防ごうとします。
4.心理的口臭
とくに口臭がなくても、「自分が口臭を発している」と思いこむ場合もあります。
一般的に、「心理的口臭症」と呼ばれています。実際は、口臭などなく、周りの人も気にしていないのに、本人だけが強く意識している状態を言います。
しかし、それがストレスとなって、本当に口臭が起こることもあります。
5.病的口臭
虫歯・歯周病・疾患が原因で起こる口臭です。口臭のほとんどは、この病的口臭と言ってもいいでしょう。
治療が必要だと考えられるのはこの病的口臭です。ほとんどの場合、口腔内環境・疾患の治療をすれば口臭は改善されていきます。
疾患 | 臭いの特徴 |
呼吸器系(肺癌、肺腫瘍) | タンパク質の壊疽臭(食べ物が腐ったような匂い) |
消化器系(胃癌、食道気管) | |
耳鼻いんこう系(扁桃炎、咽頭膿瘍、咽頭癌) | |
咽頭、気管支 | 肺のカンジタ感染 甘いにおい |
糖尿病 | アセトン臭(揮発性の薬品臭) |
肝硬変、肝臓癌 | アンモニア臭 |
トリメチルアミン尿症 | 魚臭 |
口臭は、口腔環境や病気の悪化のサインになることもあります。
口腔内の疾患(※歯周病・虫歯・唾液腺の疾患)は、歯科か歯科口腔外科へ行きましょう。その他の全身疾患は、それぞれ専門の診療科を受診する必要があります。
口臭が気になる! 自分でできる口臭対策
迎先生:口臭を抑えるには、基本的には食事をした後、なるべく早めにブラッシングをすることです。
すぐにブラッシングできないときは、うがいなどで食べ物のカスを除去してあげましょう。うがいの時に、殺菌力のあるうがい薬を使用するのも、一つの方法です。
また、食事は早食いをしないように意識してください。なるべく「長く」「多く」咀嚼して、唾液の分泌量を増やしましょう。食事中や食後に、水分を多く摂取するのこともおすすめです。
「口臭測定器」はあくまでひとつの目安に
迎先生:健康機器メーカーなどから、自分の口臭を手軽に計測できる機械も発売されています。しかし、あくまで一つの目安だと思ってください。
機械で測定して反応があった場合は、「口臭がある」可能性があります。ただし、口臭測定器で「病的な口臭」かどうかまでは、判断できないと思われます。数値が表示される計測器でも、どの値からが病的なのかは判断できません。
口臭が気になる場合は、まずは歯科を受診してみてください。
監修者プロフィール
むかい歯科
迎 和彦
経歴
平成2年 昭和大学歯学部卒 昭和大学第三歯科補綴学教室入局
平成8年 昭和大学第三歯科補綴学教室退職 同上特別研究生 都内歯科医院管理者(院長)勤務
平成15年 同上退職
平成16年 大田区大森にて「むかい歯科」開業
<Edit:編集部>
※本記事は、Medicalook(メディカルック)で掲載されていた内容を移管し、加筆・修正したものです。