筋トレ頭痛
ヘルス&メンタル
2025年6月20日

筋トレで頭痛が出たけど大丈夫?トレーニーの症状別に原因と対策を解説

筋トレ中や筋トレ後に「頭がズキッ」と痛むことはありませんか?一生懸命トレーニングをしているのに、頭痛のせいで集中できなかったり、運動を中断してしまったり……。

筋トレ中に頭痛の症状が出たというトレーニーにアンケートを実施しました。症状別に頭痛の原因と対策を、医学博士・脳神経外科専門医、SOグレイスクリニック院長・近藤 惣一郎先生に教えてもらいました。

筋トレ中に頭痛があったらやめたほうがいい?予防法はある?など、筋トレで起こる頭痛に関するQ&Aにも回答。予防法や対策を知って、筋トレ頭痛に適切に対処していきましょう。

【アンケート】筋トレ中や直後に、頭が痛くなった?

筋トレ中や直後に頭が痛くなったという人に、いつ、何の種目で、どんな頭痛症状が出たか、アンケートを取りました。

トレーニーの症状は、主に4種類ありました。

1.筋トレ中や筋トレ後に、ズキズキ頭痛

いつ:運動中 種目:ベンチプレス 症状:ズキズキ(30代 男性)

いつ:運動後 種目:プランク 症状:ズキズキガンガン(40代 女性)

いつ:運動後 種目:腹筋 症状:頭全体がズキズキ(30代 女性)

2.側頭部や後頭部が痛い

いつ:運動中 種目:マシントレーニング 症状:側頭部がキーンとなりました。(50代 男性)

いつ:筋トレ中 種目:腹筋運動、腕立て伏せ 症状:後頭部にズキズキ感(60代 男性)

3.ぼんやり頭痛、酸欠も…

いつ:運動中 種目:スクワット 症状:酸欠みたいな感じ(30代 男性)

いつ:運動後 種目:ダンベル 症状:遠いぼんやりした痛み(60代 女性)

4.運動後、時間が経ってからズキズキ頭痛

いつ:朝起きたとき 種目:スクワット 症状:ずきずき(40代 男性)

いつ:通勤中 種目:スクワット 症状:ずきずき(20代 女性)

ミルトーク調査

4つの頭痛の原因は何なのでしょうか?近藤先生に聞きました。

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筋トレ頭痛の代表的な4つの原因と対策

近藤先生:筋トレ中や直後に頭痛を感じる場合、そこにはいくつかの原因が考えられます。トレーニーの頭痛症状に合わせて、考えられる原因と有効な対処法を解説します。原因を正しく理解して、予防や改善のヒントにしてください。

頭蓋内圧上昇頭痛:運動中や直後に、脈打つように頭がズキズキ

トレーニーの頭痛症状「1.筋トレ中や筋トレ後に、ズキズキ頭痛」は、主に筋トレ中のいきみや呼吸の乱れによる「血圧・脳圧の急上昇」が原因だと考えられます。

高重量を扱うときに息を止めて力むと、血圧や脳圧が一気に上昇し、拍動性の頭痛を引き起こすことがあります。とくにスクワットやベンチプレスなどの複合種目で多く見られます。

このような頭痛は「ズキズキと脈打つような痛み」が特徴で、運動中や直後に現れることが一般的です。

対策としては「力を入れるときに吐き、戻すときに吸う」という呼吸の基本を徹底して、無意識の息止めを防ぎ、力みを少なくすることが重要です。また、重量負荷やスピードを落とすことも良いでしょう。

筋肉緊張型頭痛:後頭部や側頭部に、締め付けられるような痛み

トレーニーの頭痛症状「2.側頭部や後頭部が痛い」は、首や肩の筋肉の緊張による「緊張型頭痛」が原因だと考えられます。

フォームの崩れや力みで首や肩周りの筋肉が過度に緊張することで起こります。

このタイプの頭痛は「重く締め付けられるような痛み」で、後頭部や側頭部に出やすいのが特徴です。

改善のポイントは、トレーニング前後に肩・首のストレッチを行うことと、フォームの見直し。とくに頭の位置や肩のすくみには要注意です。

血管拡張性頭痛:吐き気、めまいを伴う頭痛

トレーニーの頭痛症状「3.ぼんやり頭痛、酸欠も…」は、脱水やエネルギー不足による「血管拡張性頭痛」が考えられます。

汗をかいたまま水分やエネルギーを補給せずに筋トレを続けると、脳が酸素不足、低血糖やエネルギー不足に陥り、それを補うために血管が拡張して、片頭痛のような症状が起こることがあります。片側だけがズキズキ痛んだり、吐き気やめまいを伴ったりすることもあります。

対策としては、運動前中後に水分・電解質・糖分をこまめに補給することが大切です。スポーツドリンクやバナナなどの軽食も活用しましょう。

特にもともと片頭痛の持病がある人は、次に述べる運動誘発製頭痛に移行することもあるため、無理のない範囲で体調を見ながら行うことが大切です。

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運動誘発性片頭痛:長いズキズキ頭痛や、遅れての頭痛

トレーニーの頭痛症状「4.運動後、時間が経ってからズキズキ頭痛」は、血管拡張性頭痛が持続するタイプです。激しい運動や高強度のトレーニング全体が引き金となって起こる片頭痛で、ズキズキする拍動性の頭痛です。

脳血管が持続的に拡張し続け、いきみによる一瞬の痛みとは異なり、運動後も続くことがあり、もともと片頭痛体質の方は、片頭痛の周期に入ってしまい、日常生活にも支障をきたすようになります。

対策としては、十分なウォームアップを行い、無理をしないことです。片頭痛持ちの方に、このような症状が現れた際は、トレーニング強度や頻度を落とすことをおすすめします。頭痛専門医にかかり、薬を処方してもらうことも有効です。

筋トレ頭痛に関するQ&A

Q.筋トレ頭痛を予防することはできますか?

A.はい、ある程度の予防は可能です。

水分やエネルギー不足による頭痛には、トレーニング前や最中の水分や糖分、電解質の摂取が有効です。スポーツドリンクや軽い食事(バナナやおにぎりなど)を摂ると効果的です。呼吸法やフォームなど他の対策と併せて行うのがベストでしょう。

また、緊張型、血管性頭痛ともに、後頭部や頸部の血流の安定性がその予防には重要です。頭痛が心配な方は、タンクトップなど露出の多いウエアよりは、袖や襟のあるウエアーで、特に後頭部や頚部の温度を安定化させることが大切です。

なお自分に合った頭痛薬を見つけ出して、適正な量と頻度を守り、うまく使用することも良いでしょう。

Q. 筋トレ中に頭痛が出たら、その日の運動はやめた方がいい?

A.頭痛の種類や程度によります。

例えば、首こりや肩こりを伴った鈍い筋肉緊張型頭痛であれば、やめる必要はなく、その部位のストレッチや軽い負荷の筋トレで血流が良くなり、頭痛が改善する場合が多いです。一方、片頭痛を含め、ズキズキする血管拡張性頭痛の場合は、無理しないでください。

見極めは、シャワーや洗髪、入浴など、温まった時に楽になる頭痛は筋肉緊張頭痛で、入浴などで、より頭痛がひどくなるのは血管拡張性頭痛です。後者の場合はサウナも控えましょう。

Q. 頭痛が起きた時に気をつけることはありますか?

A、突然の吐き気や眩暈に合わせて、手足の痺れ、麻痺などを伴った頭痛には注意してください。

普段頭痛持ちでない方が、突然の吐き気や眩暈に合わせて、手足の痺れ、麻痺などを伴った頭痛が発症した場合は、脳出血やくも膜下出血の可能性もあります。その場合は、自分で動こうとせずに周りの人に伝えて、早急に医療機関を受診してください。

監修者プロフィール

美容外科 SO グレイスクリニック院長
近藤惣一郎

近藤 惣一郎医学博士(京都大学)
ロンリー侍ドクター
日本脳神経外科学会専門医
日本美容外科学会(JSAS)専門医
1988年 京大医学部卒
若返り専門の美容外科医。美は健康の上になり立つという理念のもと、正しい食生活・運動習慣・ダイエットに関する知識が豊富で、自らもダンサーとして、プロフィッシングアナングラー(DAIWA)として、若さとナイスボディを保ち続ける。
Instagram:https://www.instagram.com/kondo.soichiro/

<Edit:編集部>