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2025年8月30日

熱中症の一歩手前?「熱あたり」、約2人に1人が経験。予防方法は?

「夜眠れない」「だるさが続く」「集中力が落ちている気がする」──熱中症とまではいかない“なんとなく不調”の原因、それは「熱あたり」かもしれません。

ダイキン工業株式会社が全国14,100人を対象に行った「夏場の熱による体調不良に関する全国調査」では、約3人に2人(64.6%)が「熱あたり」症状を経験している可能性があるという結果が明らかになりました。これは、国民病ともいわれるスギ花粉症(およそ3人に1人)を上回る割合です。

「熱あたり」とは、体に“熱”がたまることで体調不良に陥る状態

人間の体は、体内で生じた熱を外に逃がすことで体温を一定に保ちます。しかし、気温や湿度が高い夏は、この熱の放出がうまくいかず、体に“熱”がたまりがちに。

その結果、自律神経が乱れ、眠りの質が悪くなる、疲れが取れない、集中できないといった軽度の体調不良が起こります。これが「熱あたり」です。

熱中症のように明確な症状がなくても、私たちの心身のパフォーマンスをじわじわと削っている可能性があります。

もっとも多い「熱あたり」症状は“眠りの質の低下”

今回の調査で挙がった「熱あたり」症状のトップ3は以下の通りです。

睡眠の質の低下(51.4%)
疲れがとれない(46.0%)
倦怠感(30.8%)

ほかにも「足がつる」「集中力・判断力の低下」「大量の汗」「頭痛」など、日常生活に影響する症状が多数報告されました。

これらを「いつものこと」と見過ごしてしまうと、症状が進行してしまう可能性もあるので、早めのケアが肝心です。

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医師が教える「熱あたり」対処法。カギは暑熱順化と熱中症対策の“合わせ技”

済生会横浜市東部病院・谷口英喜先生によると、「熱あたり」対策は季節前の“暑熱順化”と、夏本番の熱中症対策の“合わせ技”が重要だといいます。

暑くなる前:暑熱順化を意識

軽い運動や入浴で、汗をかく習慣をつける
徐々に体を暑さに慣らしていくことで、自律神経が整いやすくなる

夏本番:熱をためない「合わせ技」

エアコンを活用し、室温を適切に管理
扇風機との併用で空気を循環
通気性の高い衣類で熱を逃がす
こまめな水分補給も忘れずに

先生は「“エアコンは体に悪い”と我慢するのではなく、賢く使って自分の体を守ることが大切」と語ります。

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プロフィール

谷口英喜 先生 済生会横浜市東部病院 患者支援センター長

1991年福島県立医科大学医学部卒業。横浜市立大学医学部附属病院にて臨床研修を開始。その後、麻酔科に所属し、救命救急センターや集中治療部にて経験を積む。2001年に神奈川県立がんセンター麻酔科医長に就任。2009年より神奈川県立保健福祉大学にて准教授として教育・研究に従事し、2011年には教授に昇任。2016年には現職の済生会横浜市東部病院の患者支援センター長および栄養部部長に就任し、東京医療保健大学大学院の客員教授としても活動。2019年慶應義塾大学麻酔科学教室の非常勤講師を務める。2020年からは済生会横浜市東部病院の医師支援室室長として医師のタスクシェア推進にも尽力している。脱水症・熱中症・周術期管理の専門家として、テレビ・ラジオなどを中心に多数出演(2024年9月末で累計350本以上出演)。その他、雑誌やWEBなど、様々な媒体で多くの解説記事を掲載。『いのちを守る水分補給: 熱中症・脱水症はこうして防ぐ』(評言社/2023)、『熱中症からいのちを守る』(評言社/2024)など著書多数。2023年から、医療従事者の生涯教育サイト『谷口ゼミ』( https://taniguchi-seminar.com/ )を開塾。現役の麻酔科医師であり、各種専門医を取得、医学博士。

<Edit:編集部>