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2025年9月3日

なぜ?脳梗塞は冬より「暑い日」に増える理由。“意外な食材”でリスク低下[医師監修]

今年は夏の長期化が懸念されています。この厳しい暑さは9月に入ってもしばらく続き、10月頃まで全国的に平年より気温が高くなることが想定されています。

夏は血圧が下がる季節と思われがちですが、実は熱中症対策の塩分過多やエアコンとの温度差によるヒートショックなど、高血圧リスクが潜んでいます。今回は工藤医師に、夏の血圧管理のポイントを解説していただきました。

夏こそキケン! 脳梗塞発症率が高まる理由

「脳梗塞は冬に多い」と思われがちですが、実は夏に発症数が増加するのです。

3つの主な理由

  • 脱水による血液濃縮:汗をかくことで血液が濃くなり、血栓ができやすくなる
  • 急激な温度変化:屋外と冷房の効いた室内の行き来で血圧が乱高下する
  • 塩分過多:熱中症対策として塩分を摂りすぎることがある

夏は35℃を超える屋外と、26℃程度に設定されたエアコンの効いた室内との温度差が10℃近くになることも珍しくありません。

この急激な温度変化により、血管の収縮と拡張が繰り返され、血圧が乱高下します。

特に朝の通勤時や買い物などで外出する際、この温度差による「夏のヒートショック」が起こりやすくなります。これが脳血管疾患や心疾患のリスクを高めるのです。

さらに、脳梗塞を発症する人の約7割が高血圧症であることが分かっています。

夏の高血圧リスク要因チェックリスト

いくつ当てはまりますか?3以上の当てはまる方は要注意です。

 

熱中症対策として塩アメや経口補水液を頻繁に摂取している

 

エアコンの効いた室内と屋外を頻繁に行き来する

 

暑くてなかなか眠れず、睡眠の質が低下していると感じる

 

夏は冷たいビールの量が増える

 

暑さで外出の回数が減っている

夏の高血圧対策4選! 今日から始められる簡単ケア

夏の高血圧対策は、無理なく続けられることが重要です。特に今年は暑さが長引くと予想されるため、日常生活に取り入れやすい方法を選びましょう。

対策1 睡眠の質を向上させる

血圧は深い睡眠(ノンレム睡眠)の時に自然と下がります。睡眠の質低下は、朝の血圧急上昇を引き起こす原因となります。

睡眠中に血圧が下がらないと、早朝高血圧のリスクが高まり、脳卒中発症の危険性が増加します。夏は熱帯夜により睡眠が妨げられやすいため、質の良い睡眠を確保することが大切です。

  • 就寝1時間前にエアコンをつけて室温を整える(26〜28℃が理想)
  • 寝る前のアルコールは控える(特に寝酒は睡眠の質を下げる)   など

対策2 室内でできる「血管ケア運動」を取り入れる

有酸素運動には降圧効果があります。運動中は筋肉へ酸素や栄養素を効率よく運ぶために血管が拡張し、同時に一酸化窒素の分泌が促進されることで血管の弾力性が改善します。

夏は屋外の激しい運動は避け、室内で行える運動を取り入れましょう。これにより血圧の安定化が図れるだけでなく、熱中症予防にも役立ちます。

  • 朝の軽いストレッチ(5〜10分)
  • その場足踏み(テレビを見ながら3分×3セット)   など

対策3 調味料の使い方を見直す

私たちが摂取する塩分の約7割は、調味料からです。特に夏は冷たいそうめんやうどんのつゆ、お酒のおつまみなどから知らず知らずのうちに塩分過多になりがちです。

日本人の塩分摂取目標量は男性7.5g未満、女性6.5g未満とされていますが、高血圧の方は6g未満が推奨されています。

酸味のあるレモン果汁などを活用すると調味料の使用量を意識的に減らし、自然と塩分摂取を抑えることができます。

  • 酢やレモン果汁を加えて塩味を引き立てる   など

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対策4 レモン果汁を積極的に活用する

広島県大崎上島町在住者541名を対象とした5年間の研究で、1日30mlのレモン果汁の継続摂取が収縮期血圧の上昇リスクを抑制することが明らかになりました。

「レモン果汁」を3か月飲み続けると、高めの血圧が低下した【研究結果】

レモン果汁には、減塩効果と降圧作用の2つの効果があり、血管を緩める作用や血液の固まりにくさを促進することで血圧低下につながります。

夏の水分補給には、水500mlにレモン果汁小さじ1を加えた「レモン水」がおすすめです。爽やかな風味で飲みやすく、手軽にできて継続しやすいため、日常的な血圧管理の強い味方になります。

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監修者プロフィール

工藤 孝文先生

糖尿病内科医・東洋医学医。専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。工藤内科院長として、地域医療に尽力し、現在は、東京を中心に全国で予防医学の啓発活動を行っている。特に血糖値と肥満の関連、高血圧管理について多くの実績を持ち、メディアでも活躍中。

<Edit:編集部>