毎日「肩回し100回」やると、肩こりは解消するのか?専門家に聞いた (4/4)
こんなやり方は逆効果! 肩回しのNG例と注意点
良かれと思ってやっている肩回しが、実は逆効果になっているケースは少なくありません。以下のようなやり方は避けましょう。
NG例1:勢いをつけて速く回す
「たくさん回したほうが効く」と考えて、勢いをつけて高速で回すのは危険です。反動を使うと肩甲骨周りの筋肉が十分に動かず、効果が薄れるだけでなく、関節や筋肉を傷めるリスクがあります。
ゆっくり、大きく、丁寧に回すことを心がけてください。1回転に3〜5秒かけるくらいのスピードが理想です。
NG例2:肩をすくめながら回す
肩に力が入った状態で回すと、僧帽筋上部(首から肩にかけての筋肉)がさらに緊張してしまい、肩こりを悪化させる原因になります。
肩回しを始める前に、一度大きく息を吐いて、肩の力を抜いてから行いましょう。回している最中も、肩が耳に近づいていないかチェックしてください。
NG例3:小さく回す
腕だけを小さく回しても、肩甲骨はほとんど動きません。肩こり解消に重要なのは肩甲骨周りの筋肉をほぐすことなので、できるだけ大きな円を描くように意識しましょう。
肘で天井や壁をこするようなイメージで回すと、自然と大きな動きになります。
NG例4:痛みを我慢して続ける
「痛いけど効いている気がする」と、痛みを無視して続けるのは厳禁です。
痛みは体からの警告サインです。無理に動かすことで、炎症を悪化させたり、筋肉や腱を傷つけたりする可能性があります。
痛みを感じたら中止し、痛みが続く場合は医療機関を受診しましょう。
NG例5:1日1回、まとめて100回やる
朝や夜にまとめて100回やるよりも、1日を通してこまめに動かすほうが効果的です。
筋肉は、長時間同じ姿勢を続けることで固まります。まとめて運動しても、その後何時間もデスクワークを続ければ、また筋肉は緊張してしまいます。
1〜2時間ごとに少しずつ肩を動かす習慣をつけるほうが、肩こり予防には効果的です。
肩回しをやっても効果が薄い……どうすればいい?
肩回しを正しいフォームで続けているのに、なかなか肩こりが改善しない。そんなときは、以下のアプローチを試してみてください。
肩甲骨はがしストレッチを追加する
肩回しだけでは動かしきれない深層の筋肉をほぐすために、肩甲骨はがしと呼ばれるストレッチを取り入れましょう。
壁に手をついて体をひねる、両手を背中で組んで胸を張るなど、肩甲骨を内側に寄せたり外側に広げたりする動きが効果的です。

肩回しと組み合わせることで、より広範囲の筋肉にアプローチできます。
首や胸のストレッチを行う
肩こりは、首や胸の筋肉の緊張とも密接に関係しています。これらの部位もストレッチしてみましょう。
首をゆっくり横に倒す、ドアの枠に手をかけて胸を開くなど、シンプルなストレッチでも効果があります。


作業環境を見直す
いくらストレッチをしても、肩こりを引き起こす環境が変わらなければ、根本的な解決にはなりません。
デスクの高さ、椅子の高さ、モニターの位置を見直しましょう。モニターは目線の高さか、やや下に設置するのが理想です。
椅子は、足の裏が床にしっかりつき、膝が90度に曲がる高さに調整してください。
全身運動を取り入れる
肩こりは局所的な問題に見えて、実は全身の血行や筋力バランスと関係しています。ウォーキングや水泳、ヨガなど、全身を使う運動を週に2〜3回取り入れることで、肩こりが改善するケースは少なくありません。
肩甲骨周りを大きく動かす水泳は、肩こり改善に効果的といわれています。
こんなときは肩回しはNG! 医療機関へ行く目安
肩こりは日常的な不調と思われがちですが、なかには医療機関での診察が必要なケースもあります。以下のような症状がある場合は、肩回しを中止し、早めに受診してください。
痛みが強い、または悪化している
肩回しをすると激しい痛みが走る、日に日に痛みがひどくなっている場合は要注意です。炎症や損傷が起きている可能性があるため、無理に動かさず、医師の診察を受けましょう。
腕や手にしびれがある
肩こりに加えて、腕や手にしびれ、脱力感がある場合は、神経が圧迫されている可能性があります。頸椎椎間板ヘルニアや胸郭出口症候群などの疾患が隠れていることがあるため、整形外科を受診してください。
肩が上がらない、動かせない
肩を回そうとしても痛みで動かせない、腕を上げられないといった症状は、五十肩(肩関節周囲炎)や腱板損傷の可能性があります。放置すると症状が長引くことがあるため、早めの受診が大切です。
夜間痛がある
じっとしていても痛む、夜中に痛みで目が覚めるといった症状は、単なる筋肉の緊張ではなく、関節や腱の問題を示唆しています。自己判断でストレッチを続けるのは危険です。
発熱や体重減少を伴う
肩の痛みとともに、発熱、倦怠感、原因不明の体重減少などがある場合は、感染症や内科的な疾患の可能性があります。すぐに医療機関を受診してください。
外傷後の痛み
転倒や事故など、明らかなきっかけがあって痛みが始まった場合は、骨折や靭帯損傷の可能性があります。自己判断で肩を動かさず、整形外科で検査を受けましょう。
専門家のアドバイス「回数より質」
湯山先生:「毎日100回」という数字が独り歩きしがちな肩回しですが、この記事で解説されている通り、回数にとらわれることなく『質』を重視する点は、身体の構造や機能の視点からも非常に重要です 。
私はこれまで7万人以上の施術に携わってきましたが、慢性的な肩こりに悩む方の多くは、長時間のデスクワークやストレスにより肩甲骨まわりの筋肉が癒着したように固まり、ご自身では正しく動かせなくなっているケースがほとんどです。
そうした状態で、記事にあるNG例のように「勢いをつけて」「腕だけを」100回も回しても、根本的な解決にならないばかりか、かえって炎症を引き起こすリスクさえあります。
肩こり解消の鍵は、回数(量)ではなく、いかに肩甲骨を背中の上で滑らせるかという「可動域の質」にあります。IT企業人事としての経験からも、集中して作業を行うデスクワーカーの方ほど、まとめて行うよりも「1時間に1回」といったこまめなケアが有効だと感じています。
まずはこの記事にある「正しいフォーム」を意識し、ご自身のライフスタイルに合わせて無理なく継続することをおすすめします。
監修者プロフィール
AGO global株式会社
湯山 卓(世界のアゴタク)先生
・AGO global株式会社 代表取締役
・7万人以上の施術実績を誇るトップセラピスト
<経歴・実績>
IT企業人事と健康産業のバックグラウンドを持ち、身体と組織の健康を科学する専門家。主催するセラピストスクールからは400名以上の卒業生を輩出。 その確かな技術と指導論は多方面で評価され、『Forbes Japan』『日経WOMAN』などのビジネス・女性誌掲載のほか、書籍出版や企業顧問としても活躍中。
<主なメディア掲載>
Forbes Japan、日経WOMAN、文化放送、近代中小企業 他
<Text:外薗 拓/Edit:編集部>










