2026年4月1日

股関節の痛み、放っておくとどうなる?専門医に聞いた「歳のせい」にしないほうがいい理由 (2/2)

股関節鏡手術――小さな傷で早期回復を目指す選択肢

「関節唇損傷や骨同士の衝突が原因で痛む場合、股関節鏡手術(内視鏡手術)が有効です。1cm程度の孔を2〜3か所開け、カメラと器具で損傷部を修復・削り取り、股関節の可動性を回復させます。特徴は術後の回復が早い点。翌日から松葉杖を使用して歩けることも多く、入院期間も短くなります。股関節鏡手術は、特に若年のスポーツ愛好者にも知ってもらいたい治療法です。ただし、股関節鏡の認定医は全国でわずか38名※と少ないのが現状で、熟練した手技が必要な手術です」(伊藤先生) 
※日本股関節学会「股関節鏡技術認定取得医2026 年1 月20 日更新」

人工股関節置換術の現状とリスク回避

軟骨がほとんど残らない重度の変形では人工股関節全置換術が検討されます。近年の素材改良により耐久性は向上しており、30年以上の維持も期待できるようになりました。

「人工関節は医師が症状の進行度、体重や骨格などから人工関節の機種を含めた計画をたて、それに即した手術を行います。そのため、熟練度の低い医師の場合、サイズが合わず、ゆるみや脱臼などのトラブルが生じることがあります。さらに、人工関節の手術には、感染症や脱臼といったリスクも伴うため、医師選びは大変重要です。人工関節をすすめられた場合、熟練した医師がいる病院でセカンドオピニオンをとることも考え、慎重に意思決定してください」

早期対応で「動けるカラダ」を取り戻す

「最も伝えたいのは、早期の『気づき』と『行動』が、その後の人生の活動性を決めるということです。痛みを我慢して放置する時間が長ければ長いほど、可逆的な状態から不可逆的な変形へ進むリスクが高まります。早期に専門医の診察を受け、適切な検査(MRI)で早期に原因を特定し、生活改善・運動・必要な手術を組み合わせれば“動けるカラダ”を取り戻せる可能性は高まります。医療は進歩しており、我々は患者さんが望む生活を取り戻すための選択肢を複数持っています。迷ったらまず相談してください。患者さんの生活背景に合わせた最適解を一緒に考えます」

【関節リウマチ】朝の手のこわばり、“加齢のせい”じゃないかも?膠原病リウマチ内科医「早期発見で寛解も視野に」

伊藤 雅之 医師プロフィール

伊藤 雅之(いとう まさゆき)総合南東北病院 特命病院⾧ 外傷再建外科 診療部⾧
日本整形外科学会整形外科 専門医、股関節鏡技術 認定医、日本整形外傷学会理事

1994 年 福井大学医学部卒 新潟大学 整形外科学講座入局
1999 年 ベルリン フンボルト大学外傷学講座
2006 年 日本医科大学救急医学講座助教
2007 年 新潟大学救急医学講座特任助教
2008 年 新潟市民病院 整形外科副部⾧ 救命救急センター副センター⾧
2015 年 福島県立医科大学 外傷再建学講座教授
会津中央病院 外傷再建センター所⾧
2020 年 会津中央病院 外傷再建センター教授
新潟県央基幹病院 外傷再建センター⾧
2025 年 現職

救急センターとコラボレーションした外傷再建センターの創設に数か所にわたり関わるなど、四肢を残し動けるカラダを取り戻すことを大切に、カラダへの負担はできるだけ少なく、痛みを遠ざけ「動けるカラダ」に戻すことに力を注いでいる。

<Edit:編集部>

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