インタビュー
ウェルネスフード
2017年7月4日

【アスリートの妻が教えるとっておきレシピ #1】結婚後にいろんな食の資格を取得。自分が作った食事でコンディションが左右されるから。サッカー増嶋竜也の妻・潮田玲子<後編>

 スポーツ選手を夫に持つアスリートの妻(アス妻)。ご自身も著名人として活躍されている注目のアス妻たちにご登場いただき、食事作りや勝負メシ、さらには日々の暮らしのことなどをお訊きしようという新連載。

《前編はこちら》
・【アスリートの妻が教えるとっておきレシピ #1】食べたいものを楽しく食べることが大切。リクエストを聞いて、副菜で工夫! J1リーガー増嶋竜也の妻・潮田玲子<前編>

 元バドミントン日本代表選手でご自身もアスリートとして活躍された潮田玲子さんインタビュー後編では、食事作りや家事を楽しくするコツのほか、家庭でのメンタルサポートについて伺いました。

「アスリートの嫁になる!」という気負いはなかった。同じ感覚の人と結婚するという感じ

——結婚するとき、アスリートの妻になることへの覚悟や決意のようなものはありましたか。

 私もアスリートだったので、特にはありませんでしたね。なんか、同じ感覚というか。

——たとえば、職場結婚みたいな感じ?

 職場結婚という感じではないですが、「アスリートの嫁になる!」みたいな感覚はぜんぜんなかったです。気をつける部分は自分が現役のときに気をつけていたことと同じなので、そんなに大変なことではないというか。同じ感覚の人と結婚するっていう感じだったので「アスリートの嫁」っていわれると、「ああ、そうなんだ」って。

——アタッチメント食育インストラクター、ジュニア野菜ソムリエ、ソイフードマイスター、育児セラピスト二級などさまざまな資格を取得されていますが、資格は結婚されてから?

 そうですね。やっぱり自分がご飯を作って提供するじゃないですか。食べたもので身体ってできているから、自分が出したご飯によって彼のコンディションとかが左右される。そう思ったら、これはちょっと勉強しなきゃダメなのかなっていうのがあって。

 スーパーで買い物をするときも、旬の野菜は栄養価が高いっていわれますが、もうちょっと知った方がよりいいものが提供できるのかなって思ったんです。それで野菜ソムリエの資格を取りました。あと、ジュニアアスリートフードマイスターも持っているんですけど、サッカー選手には何がいいのかなっていうのを知りたかったっていうのもあって。

——競技ごとに必要な食べ物って違うんですか?

 瞬発系とか、持久系とか、あとオフ期とか試合当日とかによって食べるものが変わってきます。それを知らないよりは知っていた方がいいんだろうなって思って。

忙しい毎日でもストレスフリーでいられる潮田流の秘訣は?

——アスリートの妻、お母さんのみならず、そして仕事も。日々の暮らしの中で工夫していることはありますか?

 なんでも楽しんでやるっていうことを自分の中では心がけていますね。だから食事作りも「めんどくさいなぁ」って思うときももちろんありますけど、喜ぶ顔を想像したら楽しくって。「これを作ってみたらどうなんだろう?」とか、そういうのを思うとすごくワクワクする。けっこう楽観的なので、性格が(笑)。

 あんまり考えすぎると、いろんなことが大変で「ああ、もう、すっごい大変」って思うじゃないですか。でも「ま、いっか〜、どうにかなるか〜」って思って、手を抜くところは抜くっていう。それが大事だと思います。

——お子さんもまだ小さくて、手もかかりますよね?

 子どもって気分で食べなかったり、選ぶようになってくる。「せっかく作ったのに、栄養あるんだから食べてよ!」って思うとストレスになるから「まぁいいや、食べたくないんだったらいいよ〜」って思う。そう思えば気が楽になるのかなぁって思います。

 だから今、イタズラもワァーってするけど「やらないで〜!」って思うとやっぱり気になるじゃないですか。だけど「いいや、やっちゃいな!」って思ったら気が楽(笑)。だからけっこう楽観的に考えることが多いですね。あんまり神経質じゃないというか(笑)。

——子どもが散らかしちゃっても、あとを片付けるのもそんなに苦じゃないというか?

 「チッ!」っとは思いますよ、もちろん(笑)。思いますけど、まあでもそういう風に思った方が気持ち的に楽というか。

——それが潮田さん的工夫というか秘訣、潮田さん流なんですね。

 気持ちの面ではそういうのがすごく大事かなぁって。あんまり神経質にならずに。自分の母がそうだったというのもあるので。お母さんがおおらかというか、明るい人だったので、そういう感じで。

アスリートにはいつもフラットに寄り添うのがいい。食卓でのダメ出しは絶対NG!

——スポーツをする家族を持つ奥さんやお母さんたちに、家庭でできるサポートについて食事以外でも何かありますか。たとえば、自分がお母さんにしてもらったこととか。

 後になって思ったんですけど、本当に一番良かったなと思うのは、父と母からのプレッシャーがなかったんです。もちろんものすごく期待はしていて、絶対オリンピックに行って欲しいって思ってたそうなんですけど、それをみせなかったんですね。

 それと、一番やっちゃいけないのは、食卓でのダメ出しですね。練習のこととか、学校のこととか、それが絶対よくなくって。そういうのがうちの母は一切なかった。勝っても負けても同じテンション。もちろん勝ったときはすごく喜んでくれるんですけど、負けたときも「残念だったね〜」みたいな。変に怒ることもなく、落ち込むこともなく、みたいな感じだったので。

——あまり気を使ってる風でもなく?

 そう、腫れ物に触るみたいな感じもぜんぜんなくって。母のそういうフラットな接し方のおかげで両親の期待を過剰に感じずのびのびできて、すごく良かったな〜って思います。でも、親になってみたらメチャメチャ期待するじゃないですか!(笑)。

 親の存在って子どもにとってすごく大きいから、そこの過剰なプレッシャーっていうのはよくないのかなって思います。今、主人がアスリートで勝ったり負けたり、いいときも悪いときもあって波がありますけど、家ではいつもフラットに、彼の居心地がいいようにしたいですね。負けても「ダメだったね〜」とか平気でいえるような、「ぜんぜんダメだったね〜」とか(笑)。

 でもそうすると、彼も笑い話にできたり。あんまり私が一喜一憂すると、一番悔しいのは本人だと思いますから。アスリートを目指しているお子さんのママとパパは多分、すごく期待しちゃったりもすると思うんですけど、そこは指導者にまかせて、子どもが話すことに対しては同調してあげたりとか、良くなかったらそこで話してあげたりするのはいいと思います。それはすごく大事なのかなぁって。

——親ってついつい子どもに踏み込むと、どこまでも踏み込んでいけちゃうからちょっと怖いですよね。

 そう、いいたくなっちゃう。だからそこの線引きがすごく難しいとは思うんですけど、一番頑張ってるのは本人で、できなかったときにできてないのが自分で一番わかってる。そこを先生にもコーチにもいわれて、家に帰ってもいわれてってなるとツライですよね。

 それで食べろっていわれても食べられないよって思うじゃないですか(笑)。大人でも嫌な話をされながらご飯食べられませんよね。食べて欲しいのか怒りたいのか、みたいな(笑)。だからそこはちゃんと分けるのが大事だなって思います。

自分も元気でいるために、規則正しいリズムで生活する。楽しむ気持ちを忘れずに!


——最後に、ご自身も健康で元気であるからこそアスリートの旦那さまをサポートできるのだと思います。ご自身の健康法や、気をつけていることがあれば教えて下さい。

 規則正しい生活を送ってたら、そんなに体調って崩れないんですよ。栄養バランスがいい食事を食べ、夜もちゃんと寝て、朝早く起きてっていうサイクルでいたらそんなに体調って崩れない。だから基本的な生活が私はすごく大事だと思っています。私はだいたい12時前には就寝して、朝は7時ぐらいには起きて、3食を暴飲暴食なく普通に食べていつも元気でいられるっていう感じですね。

 本当は運動もしたいし、エステにも行きたいしとかそういう気持ちもありますけど、今は到底無理じゃないですか、子どももいてというとそういう時間ももちろんないので。今は仕事の時間も自分にとっては楽しい時間ですごく大事ですし、家族の時間もすっごく大事なので、とにかく規則正しい食事と生活リズム、あと楽しむ気持ち。「ま、いっかー」って、楽観的にするのが元気のもとですね(笑)。

[プロフィール]
潮田玲子(しおた・れいこ)
1983年9月30日生まれ、福岡県出身。元バドミントン日本代表選手。夫はJ1リーグ・ベガルタ仙台所属(柏レイソルからの期限付き移籍)の増嶋竜也選手。幼い時からバドミントンを始め、小学生の時に全国小学生大会女子シングルスで全国3位に。中学校3年の時には全国中学生大会女子シングルスで初めて全国大会優勝。その後は、女子ダブルスでペアを組んだ小椋久美子さんとのコンビ“オグシオ”ペアで、女子ダブルス 全日本総合選手権大会を2004年から5年連続優勝、2008年には女子ダブルスで北京オリンピックに出場し、5位入賞。2009年からは、池田信太郎さんとのコンビ“イケシオ”ペアで全日本社会人大会優勝、全日本総合選手権大会優勝。2012年、混合ダブルスでロンドンオリンピックに出場、同年9月に現役を引退。2014年より、(公財)日本バドミントン協会 普及部員を務めている

<Text:京澤洋子(アート・サプライ)/ヘア&メイク:内金行史/Photo:斉藤美春>