アルギニンの効果・働きとは。サプリメントのとり方、多く含まれる食材[管理栄養士監修] (2/2)
摂取するのにベストなタイミングは?
アルギニンは体内で合成されますが、先に説明したように大量には作られないため、運動をする人は特に意識して豊富に含まれる食材やサプリメントから摂ることをおすすめします。なお、食材100gに含まれるアルギニンの量は下記になります。
- 大豆 ・・・2700mg
- マグロ・・・1300mg
- エビ ・・・1700mg
- 卵 ・・・780mg
- うなぎ・・・1100mg
※文部科学省「食品データベース」
アルギニンの1日理想摂取量(筋トレや壊れた組織を修復するのに必要な量)は2500mg〜5000mg。食材に換算すると豆腐1丁、マグロなら刺身3人前、卵は5〜6個に相当。これだけの量を食事だけで摂るのは難しいので、サプリメントを活用するといいでしょう。
サプリメントはアルギニンだけでなく、亜鉛が配合されたものもよく見かけますが、これも筋肉増強や疲労回復には効果的です。亜鉛はミネラルの1種で、細胞の新陳代謝には必要不可欠なもの。アルギニンと一緒に摂ることで、より代謝が活発になり、筋肉増強、疲労回復を素早くサポートします。
うなぎにはアルギニンだけでなく、亜鉛も豊富に含まれています。夏の滋養に食べられるのは、そういった理由があるからです。
「アルギニンと亜鉛を効率よく摂るには、エビと海藻の組み合わせもおすすめ。エビと海藻の酢の物などもアルギニンと亜鉛の両方の効果を発揮できる、酢で吸収をよくする組み合わせと言えます」(那須さん)
アルギニンを摂るうえで注意することは
アルギニンを食材で摂る場合は、朝昼晩、どのタイミングでもOK。さほど神経質になる必要はありません。ただし、成長ホルモンは睡眠時30分後から出るといわれ、もっとも活発になるのが夜22時から翌深夜2時まで。これを計算に入れ、夕食時にアルギニンの多い食材を取り入れるといいでしょう。
サプリメントで摂る場合は、寝る前かトレーニング前に。アルギニンの効果が発揮されると、NOが発生し血流が良くなるため乳酸が溜まりにくくなり、血中アンモニアも低減するので疲労も軽減し、より高いパフォーマンスが続けられます。
ただし、何事も過剰は禁物。
「アルギニンは必要以上に摂りすぎると、一酸化窒素が過剰に発生します。空腹時や胃が弱まっている時は、下痢や胃痛の原因にもなります。もしもこれらの症状が続くようであれば、サプリメントでの摂取は控えるようにしましょう」(那須さん)
アルギニンの含有量が適正でも、エナジードリンクや栄養ドリンクは糖分が含まれているので、注意が必要です。1本に10g以上の糖分が含まれたエナジードリンクを飲みすぎると、血糖値が一気に上昇し、インスリンが過剰に分泌され、脂肪を溜め込みやすい体になってしまいます。ダイエット目的であれば、シュガーレスかカロリーオフのものを選ぶようにしましょう。
また、健康な人であれば積極的に摂りたい栄養素の1つですが、手術を控えているような人にはおすすめできないといいます。
「手術を控え、術前から抜糸を終えるまでの服用は禁物です。炎症が強く出る可能性があるからです」(那須さん)
健康維持をサポートするアルギニン。まずはバランスの良い食事を心がけた上で、上手に付き合っていきましょう。
[監修者プロフィール]
那須由紀子(なす・ゆきこ)
管理栄養士。プレ・ニュートリション 日本栄養士会認定栄養ケア・ステーション代表。病院管理栄養士として臨床経験を積みながら、分子整合栄養医学を学ぶ。独立後、精神疾患における栄養療法も行う管理栄養士として、栄養指導、うつ病による休職者の復帰プログラムに取り組んでいる。そのほか講演会、セミナー、メディア出演、執筆など、活動は多岐に渡る。著書に『栄養で人生は変わる-食はあなたの人格を作り、人生の良し悪しを決める!-』(旭屋出版)、『疲れた心がラクになる食べ方大全』(永岡書店)がある
【公式HP】https://pre-nutrition.com
●『疲れた心がラクになる食べ方大全』(永岡書店) ≫公式ページ
<Text:廉屋友美乃/Edit:丸山美紀(アート・サプライ)/Photo:Getty Images>