ウェルネスフード
2020年10月29日

富士そば、筋トレ民向けメニューを開発!「筋肉もりもりそば」を食べてきた。11/6から都内2店舗限定で販売へ

 名代 富士そばが11月6日より「筋肉もりもりそば」を渋谷と池袋の店舗限定で販売します。そば(ルチン)に、やげん軟骨(カルシウム+コラーゲン+タンパク質)、ほうれん草(鉄)、大根おろし(消化酵素)をトッピングした“食べる筋トレメニュー”というフレコミです。一体、どんな味なんでしょう? その狙いは? さっそく、試食会に参加してきました。

どんな味なの?食レポをお届け

 名代 富士そばの「筋肉もりもりそば」は、ジム利用者が多い渋谷明治通り店と池袋東口店の2店舗限定で11~12月の2ヶ月間、まずは試験的に販売するもの。価格は680円(税込)です。

▲名代富士そば 明治通り店(渋谷区渋谷1-14-15 森ビル1階)

 監修したのは、アスリートフードマイスターで「筋肉メシ」著者の今野善久さん。「筋トレ初心者から上級者まで、すべての筋トレ好きが満足するメニューにしました」と話し、こだわりの詳細を以下のように説明していきました。

▲アスリートフードマイスターの今野善久さん

 はじめに今野さんが強調したのが「タンパク質だけ摂っていても筋肉は十分に育たない」という事実。プロテインさえ飲んでいれば大丈夫、というのは誤解で、効率よく筋肉を育てるにはルチンが必要であると説きます。

 「筋トレをすると筋繊維が損傷し、筋炎症反応を起こします。このとき活性酸素(酸化ストレス)が増加し、筋肉の再合成を妨げてしまうのです。活性酸素を攻撃してくれるのが、ルチンをはじめとした抗酸化物質。そしてルチンは、タンパク質の吸収を助けるアミノ酸とも相性が良いんです」と今野さん。ちなみにルチンと栄養素を組み合わせると、軽めのトレーニングでも効果が期待できる、という耳寄りな研究結果にも言及しました。

 そこで本題です。「筋肉もりもりそば」は、蕎麦に豊富に含まれるルチン(抗酸化ポリフェノール)とタンパク質(筋肉の材料)をベースに設計したもの。さらに、これらの栄養素をサポートする食材にもこだわりを込めました。

▲ベースとなる蕎麦には、筋力アップに必要な栄養素がズラリ

 蕎麦と並ぶ今回の主役が、やげん軟骨です。和牛サーロインステーキ並みのタンパク質量があり、筋肉を動かすために必須なカルシウムと、筋膜や骨の土台となるコラーゲンを含有しています。今野さんは「筋肉を再合成させるmTOLの働きを活性化させるのが、蕎麦に含まれるインスリン、ロイシン、そして軟骨に含まれるカルシウムなんです」と解説しました。

▲やげん軟骨にも、タンパク質、カルシウム、コラーゲンなどの栄養素がたっぷり

 このほか、ほうれん草の鉄分、大根おろしのビタミンC、すりゴマのセサミンなどの栄養素に着目。大根おろしのプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)が熱に弱いことから、「筋肉もりもりそば」は「ぬるめ」の温度設定で提供されることになったそうです。

▲試食してみました。そのお味は?

 そこで名代 富士そば 明治通り店にて、実際に試食してきました。なるほど、汁はぬるめ。個人的にもプライベートでよく通う富士そばですが、いつも注文するのは熱々の蕎麦なので、これは意外な気持ちになります。鼻を近づけると、すりゴマの良い匂い。店内の調理スタッフの擦りたてです。ほうれん草の山を崩しながら、蕎麦と一緒に口に運びます。いつもの美味しい、食べやすい蕎麦の味。わきの大根おろしが、また良いアクセントになっています。

▲各素材の美味しさを活かした、食べ応えのある逸品に

 そして期待していた、やげん軟骨に挑みます。どのくらい硬いのかしら、と心配もしていましたが、咀嚼していればそのうち砕けるくらいの柔らかさでした。よく煮込んであるのでしょう。コリコリと音を立てる軟骨。噛めば噛むほど味がして、やがて口の中でなくなっていきます。蕎麦つゆとの相性の良さも感じました。

 やげん軟骨があるため、いつもより咀嚼回数が多めになる筋肉もりもりそば。1杯を完食するには時間もかかりますが、だからこその満腹感と満足感がありました。

女性にも来て欲しい

 「筋肉もりもりそば」を企画したダイタンフードの工藤寛顕氏には、もともと「蕎麦に含まれるルチンの良さをもっと訴求していきたい」という思があったそう。そんな折、今春の新型コロナウイルスの感染拡大を迎えます。外出自粛が呼びかけられ、企業にテレワークが導入されるなどして駅前から人がいなくなると、富士そばの集客も落ちましたが、一方で女性客が増加するという新たな傾向もみられたようです。

 「それまでグループで食事をしていた女性が、ひとりで食事をするようになり、富士そばを利用してくれるようになったのではないでしょうか」と工藤氏。これを契機ととらえ、新たな顧客獲得のためにターゲット層を絞った付加価値の高いメニューを考案。これが後に、「筋肉もりもりそば」の提供につながったというわけでした。

▲ダイタンフード 開発企画広報の工藤寛顕氏

 富士そばがメインターゲットとするビジネスマンにはもちろんのこと、これまで富士そばに来ていなかった20~30代の女性にも足を運んでもらい、「筋肉もりもりそば」を注文いただけたら、と話す工藤氏。

▲名代富士そば 明治通り店の店内の様子。席はパーティションで区切られている

 お節介ながら、温度のぬるい料理を提供することについて抵抗はなかったのか聞いてみると「名代 富士そばだからできたことですね。夏場だったら冷やし蕎麦で対応できたんですが、この時期なのでぬるくなりました(笑)。お客様には、事前に『ぬるい汁』『硬い肉』というところを、しっかりお伝えして販売できればと思っています」と工藤氏。

 また、つい店舗の回転数(回転率)など余計なことも気にしてしまう筆者ですが、そのあたりについては「それはお客様が決めて良いものですし、回転を上げることを目指すような時代でもないと思っています。ゆっくりお召し上がりいただければ」との回答でした。

 「筋肉もりもりそば」を来年以降も継続していくかは、名代富士そばの他のメニューと同様に、店舗(店長)の判断に委ねられるとのこと。プロモーション方法については、現在のところはジムにポスターを掲示するようなことは考えておらず、Twitter、Facebook、ホームページなどで発信していきたいと話していました。

 今野さんにも話を聞きました。筆者が気になったのは、いつ食べるべきか、その効果的なタイミングについて。今野さんは「トレーニングが終わったら、エネルギーが枯渇している状態ですので、まずは軽くプロテインを飲んでいただくと良いと思います。その後、蕎麦を食べてもらえたら。筋肉もりもりそばのタンパク質量は、プロテインの1.5倍くらいに抑えていますので、そのくらいがちょうど良いのでは」とのこと。

 ちなみに咀嚼に時間をかけると、血糖値の上昇も緩やかになるので、身体に負担をかけないで済む効果もあるそう。「血糖値を急上昇させない、生活習慣病(糖尿病など)のリスクを抑える意味合いもあります」と話していました。

<Text & Photo:近藤謙太郎>