インタビュー
2017年5月9日

持久力アップには緑茶がいいらしい!? 最新研究で明らかになった効果とは (1/2)

 お茶好きの方々に、うれしいニュースです。緑茶に豊富に含まれ、抗がん作用や抗酸化作用、抗肥満作用など、さまざまな効能が知られている「茶カテキン」が、さらに全身持久力を向上させる可能性があるとの研究論文が2017年3月に発表されたのです。早速、同研究チームの研究代表者である早稲田大学スポーツ科学学術院の宮下政司准教授に詳しいお話を伺ってきました。

サッカー、バスケといった“間欠性運動”への効果を調査

 宮下先生たちが行った研究は、部活動やサークルなどで日頃からトレーニング習慣のある男子学生を試験参加者に、高濃度の茶カテキン飲料(639mg/500ml)を継続的に飲んでもらい、摂取前と後に実施する“間欠性”の運動テストの結果の違いを調べたものです。間欠性運動とは、動作と動作の間に短い休息を挟んで行われる運動のことで、サッカーやバスケットボール、バレーボールなど多くの競技がこれに当たります。

「自転車やランニングマシンなどの“連続性運動”による全身持久力については、先行研究がいくつかありました。茶カテキンの効能の一つである脂肪代謝の亢進(こうしん)は、運動時により活発になり、グリコーゲンが温存されることで持久力が上がると考えられています。ただ、ほとんどの研究は単回摂取・単回テストなので、間欠性運動でも同じ結果が得られるか、茶カテキンが球技系のアスリートのパフォーマンス向上にも役立つかというところまでは分かっていませんでした」

 ワンポイント(単回摂取)ではなく、長期(継続摂取)にわたって持久力が備わるかどうかを、ヒトを対象に調査したのは、宮下先生たちの研究が初めてとのことです。それで、試験期間を2週間に設定して1日1本、高濃度茶カテキン飲料を摂取してもらったというわけですね。

「日常生活の中で脂質がより燃えやすいような体に適応させてから、本当に持久力が高くなるかを確かめたかったので、単回摂取ではなく、あくまでも継続的にて摂取してもらうことが重要だったのです」

2週間続けて茶カテキンを摂取。その後の運動量の変化は?

 今回、持久力を測定するために用いられたのは“Yo-Yoテスト”。いわゆるシャトルランです。試験参加者たちは最初の合図と同時に走り出し、2度目の合図までに20m先のラインでUターン。3 度目の合図までにスタートラインに戻り、その後5秒間かけてスタートラインから後方2.5mを歩いて往復してスタートラインに再度着き、再びラン。これを繰り返し行い、2 回連続で合図に遅れた時点で測定を終了し、それまでの総走行距離を記録しました。

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