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持久力アップには緑茶がいいらしい!? 最新研究で明らかになった効果とは

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 お茶好きの方々に、うれしいニュースです。緑茶に豊富に含まれ、抗がん作用や抗酸化作用、抗肥満作用など、さまざまな効能が知られている「茶カテキン」が、さらに全身持久力を向上させる可能性があるとの研究論文が2017年3月に発表されたのです。早速、同研究チームの研究代表者である早稲田大学スポーツ科学学術院の宮下政司准教授に詳しいお話を伺ってきました。

サッカー、バスケといった“間欠性運動”への効果を調査

 宮下先生たちが行った研究は、部活動やサークルなどで日頃からトレーニング習慣のある男子学生を試験参加者に、高濃度の茶カテキン飲料(639mg/500ml)を継続的に飲んでもらい、摂取前と後に実施する“間欠性”の運動テストの結果の違いを調べたものです。間欠性運動とは、動作と動作の間に短い休息を挟んで行われる運動のことで、サッカーやバスケットボール、バレーボールなど多くの競技がこれに当たります。

「自転車やランニングマシンなどの“連続性運動”による全身持久力については、先行研究がいくつかありました。茶カテキンの効能の一つである脂肪代謝の亢進(こうしん)は、運動時により活発になり、グリコーゲンが温存されることで持久力が上がると考えられています。ただ、ほとんどの研究は単回摂取・単回テストなので、間欠性運動でも同じ結果が得られるか、茶カテキンが球技系のアスリートのパフォーマンス向上にも役立つかというところまでは分かっていませんでした」

 ワンポイント(単回摂取)ではなく、長期(継続摂取)にわたって持久力が備わるかどうかを、ヒトを対象に調査したのは、宮下先生たちの研究が初めてとのことです。それで、試験期間を2週間に設定して1日1本、高濃度茶カテキン飲料を摂取してもらったというわけですね。

「日常生活の中で脂質がより燃えやすいような体に適応させてから、本当に持久力が高くなるかを確かめたかったので、単回摂取ではなく、あくまでも継続的にて摂取してもらうことが重要だったのです」

2週間続けて茶カテキンを摂取。その後の運動量の変化は?

 今回、持久力を測定するために用いられたのは“Yo-Yoテスト”。いわゆるシャトルランです。試験参加者たちは最初の合図と同時に走り出し、2度目の合図までに20m先のラインでUターン。3 度目の合図までにスタートラインに戻り、その後5秒間かけてスタートラインから後方2.5mを歩いて往復してスタートラインに再度着き、再びラン。これを繰り返し行い、2 回連続で合図に遅れた時点で測定を終了し、それまでの総走行距離を記録しました。

 すると、高濃度茶カテキン飲料摂取1日目と14日目の平均延長距離は約100m(2往復半)という結果に。また後日、高濃度茶カテキン飲料を2週間まったく摂取しないで同様の試験を行ったところ、平均延長距離は約40m(1往復)に留まりました。

「心拍数がほぼ最高に達している、いわば限界に近い状態での平均2往復以上の伸びは、一般的な解釈として非常に意味がありますね。サッカーの試合の残り5分や、水泳のラスト5mといった局面で持久力が発揮できるか否かの差はとても大きいですから。また、体力がある人、つまり普段のトレーニングなどによって脂質代謝が高まっている人ほど、効果的に持久力が伸びていました」

 では、どのような要因がこういった結果につながったと考えられるのでしょう。

「間欠性持久力向上のメカニズムに関して、現段階では推測になりますが、おそらく心肺機能に効いているのではないかと。試験時に心拍数も測定していたのですが、茶カテキンを継続して摂取した後のテストでは、走行距離が伸びているにも関わらず最大心拍数は下がっていました。同じ負荷の中でも、摂取前より楽に走ることができていたんです。茶カテキンには血管を拡張し、血流量を増加させる作用があります。2週間で血管の機能が改善されて、運動中も酸素摂取量や血流量が増加することで、筋肉の酸素供給に寄与した可能性がありますね」

日常生活にも生かしたい茶カテキンパワー

 私たちの日々の生活を振り返ってみると、睡眠時間を除いては立ったり、座ったり、歩いたり、階段を上ったり、下ったり……。実は球技などのスポーツだけでなく、動作と休息を無意識に繰り返しているこうした“身体活動”も立派な間欠性運動になっているのです。となると、特にスポーツをしていない人でも、間欠性持久力を高めるべきなのか。また、その先にはどんなメリットがあるのでしょうか。 

「昨今は運動器(筋肉、骨、腱など)の衰弱が影響して要介護状態になる、ロコモティブシンドロームが大きな問題になっています。基本的に体力がなくなると筋力が落ち、自ら活動をしなくなるため、歩行困難や寝たきりなどになってしまう。さらに、全死亡率やがんの死亡率は体力との関連性があって、体力値が高い人は死亡率も低いことが世界的にも認められています。なかでも健康関連体力と呼ばれている、投げる、打つ、飛ぶ、といった基礎的な体力は、幼少期から高齢期まで維持できるように心がけていただきたいですね」

 これからは積極的に茶カテキンを取りたいと思いますが、濃度によって効果に違いは出るのか気になります。たとえば、ペットボトル入りの市販の高濃度茶カテキン飲料以外に、急須でお茶を入れて飲む際に目安などがあったら教えてください。

「体脂肪の減少に効果がある茶カテキンの含有量は、500〜600mgという報告が多く公表されていて、それ以下の量では体脂肪に変化はあまり見られません。一般的な緑茶飲料は500ml当たり約100mgですから、5〜6倍の摂取が必要ということに。急須を使う場合は、約400mlのお湯に10gの茶葉を入れたお茶を湯のみで5杯ほど飲むと、茶カテキン約550mgに相当しますよ」

 宮下先生は今回の研究を第一段階として、引き続き茶カテキンと間欠性持久力との関連性を発展させたテーマに取り組んでいかれるそうです。新たな健康情報を楽しみにしましょう。

<Text:菅原悦子/Photo:編集部>

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