インタビュー
2017年5月9日

持久力アップには緑茶がいいらしい!? 最新研究で明らかになった効果とは (2/2)

 すると、高濃度茶カテキン飲料摂取1日目と14日目の平均延長距離は約100m(2往復半)という結果に。また後日、高濃度茶カテキン飲料を2週間まったく摂取しないで同様の試験を行ったところ、平均延長距離は約40m(1往復)に留まりました。

「心拍数がほぼ最高に達している、いわば限界に近い状態での平均2往復以上の伸びは、一般的な解釈として非常に意味がありますね。サッカーの試合の残り5分や、水泳のラスト5mといった局面で持久力が発揮できるか否かの差はとても大きいですから。また、体力がある人、つまり普段のトレーニングなどによって脂質代謝が高まっている人ほど、効果的に持久力が伸びていました」

 では、どのような要因がこういった結果につながったと考えられるのでしょう。

「間欠性持久力向上のメカニズムに関して、現段階では推測になりますが、おそらく心肺機能に効いているのではないかと。試験時に心拍数も測定していたのですが、茶カテキンを継続して摂取した後のテストでは、走行距離が伸びているにも関わらず最大心拍数は下がっていました。同じ負荷の中でも、摂取前より楽に走ることができていたんです。茶カテキンには血管を拡張し、血流量を増加させる作用があります。2週間で血管の機能が改善されて、運動中も酸素摂取量や血流量が増加することで、筋肉の酸素供給に寄与した可能性がありますね」

日常生活にも生かしたい茶カテキンパワー

 私たちの日々の生活を振り返ってみると、睡眠時間を除いては立ったり、座ったり、歩いたり、階段を上ったり、下ったり……。実は球技などのスポーツだけでなく、動作と休息を無意識に繰り返しているこうした“身体活動”も立派な間欠性運動になっているのです。となると、特にスポーツをしていない人でも、間欠性持久力を高めるべきなのか。また、その先にはどんなメリットがあるのでしょうか。 

「昨今は運動器(筋肉、骨、腱など)の衰弱が影響して要介護状態になる、ロコモティブシンドロームが大きな問題になっています。基本的に体力がなくなると筋力が落ち、自ら活動をしなくなるため、歩行困難や寝たきりなどになってしまう。さらに、全死亡率やがんの死亡率は体力との関連性があって、体力値が高い人は死亡率も低いことが世界的にも認められています。なかでも健康関連体力と呼ばれている、投げる、打つ、飛ぶ、といった基礎的な体力は、幼少期から高齢期まで維持できるように心がけていただきたいですね」

 これからは積極的に茶カテキンを取りたいと思いますが、濃度によって効果に違いは出るのか気になります。たとえば、ペットボトル入りの市販の高濃度茶カテキン飲料以外に、急須でお茶を入れて飲む際に目安などがあったら教えてください。

「体脂肪の減少に効果がある茶カテキンの含有量は、500〜600mgという報告が多く公表されていて、それ以下の量では体脂肪に変化はあまり見られません。一般的な緑茶飲料は500ml当たり約100mgですから、5〜6倍の摂取が必要ということに。急須を使う場合は、約400mlのお湯に10gの茶葉を入れたお茶を湯のみで5杯ほど飲むと、茶カテキン約550mgに相当しますよ」

 宮下先生は今回の研究を第一段階として、引き続き茶カテキンと間欠性持久力との関連性を発展させたテーマに取り組んでいかれるそうです。新たな健康情報を楽しみにしましょう。

<Text:菅原悦子/Photo:編集部>

1 2