お正月料理の「意外な意味」とは?おせち食材の歴史と栄養 (1/2)
お正月に食卓に並ぶ、鮮やかなおせち料理。
日本人好みの味つけや見た目の華やかさはもちろん、普段なかなか会えない親戚や友人と集まって食べるおせちは、格別おいしく感じますよね。
このおせち料理の具材には、栄養価が高いものが多く使われています。さらに食材には、たくさんの意味や願いが込められています。
今回は、新年のはじめに食す料理として、昔の人の知恵や工夫がたくさん詰まったおせちについて解説します。
「おせち」とは「御節供(おせちく)」の意味
おせち料理の「おせち」は、宮中行事で季節の節目のお祝いとして神様にお供えしていた食べ物「節供(せちく)」からきています。
とくに、お正月の料理は「御節供(おせちく)」とよばれ、1年間の作物の豊作や無病息災・子孫繁栄などの願いが込められました。
しだいに庶民にも広がると「おせち」と略されるようになり、正月料理として定着していったのです。
おせち料理は全部で5種類
おせち料理を重箱に詰めるのには、きちんとした理由があります。「福が重なる」や「めでたさが重なる」という願いから、重箱が使われているのです。
おせちの正式な重箱の数は4段といわれていて、上から「一の重」「二の重」「三の重」「予の重」と呼びます。4段目を「四」としないのは縁起がよくないと考えられているためです。
重箱に詰めるおせち料理は、大きく分けて「祝い肴」「口取り」「焼き物」「酢の物」「煮物」の5種類です。それぞれの料理にはたくさんの栄養が含まれており、さらにきちんと意味があります。
どの段にどのような料理を詰めるのか、まずは栄養の特徴に注目しながら解説していきますね。
一の重【祝い肴、口取り】
重ねたときに一番上の重箱になる一の重には、「祝い肴」と「口取り」を詰めます。
「祝い肴」とは……
子孫繁栄・不老長寿・豊作の意味をもつ料理を酒の肴として、願いを込めて詰めていきます。
黒豆
ビタミンやミネラルなどさまざまな栄養素が豊富に含まれています。とくに、ポリフェノールの一種であるアントシアニンは、抗酸化作用や目の健康に関わります。
数の子
ほかの卵と比べて、コレステロールやプリン体の量は少なく、体内のコレステロールの排泄を助けるEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)が多く含まれています。
「口取り」とは……
口取り肴の略称で、祝い肴と同じく酒の肴を意味します。見た目や色が華やかで、甘みのあるものが多く、お祝いごとでは最初に提供されます。
紅白かまぼこ
かまぼこの材料は魚のすり身であるため、魚のたんぱく質が手軽にとれます。
栗きんとん
食物繊維やビタミンCが豊富です。
昆布巻
水溶性の食物繊維や、ヨウ素をはじめとするミネラルが多く含まれています。ヨウ素は、新陳代謝を助けたり甲状腺ホルモンの成分にもなります。
二の重【焼き物】
二の重には縁起を担いで、おもに海の幸と焼き物を入れます。
海老
コレステロールや血圧の調整に関わるタウリン、抗酸化作用のあるビタミンEなどが含まれています。
ぶり
中性脂肪、心疾患リスクを下げる効果があるとされるDHAやEPAが豊富に含まれています。