「ブルーライトカットメガネは意味ない」ってホント?眼科専門医の見解は… (1/2)
目の健康や、睡眠の質に影響すると言われるブルーライト。ブルーライトをカットするアイテムも多数売り出されていますが、効果がないとか、なんとか……。はたして真実のほどは? 眼科専門医で医学博士、医療法人社団久視会いわみ眼科理事長の岩見久司先生に伺いました。
おさらい! ブルーライトってそもそもナニ?
ブルーライトとは、文字通り“青の光”です。
光には波長というものがあり、その波長の違いによって色が異なります。我々が白い光と思っているものは、実はいろいろな色が混ざっています。それが何かの条件で分離することもあり、たとえば虹の七色がその良い例になります。
これまでの世界では強い光というと日光だけだったのですが、いまは多くのデジタル機械が開発され、その画面から我々は強い光を浴びるようになりました。
ブルーライトに関しても、さまざまな研究がされるようになりました。
ブルーライトって悪いもの? 心身に与える影響とは
生物が強い光を浴びる場面というと、まず日が昇ったとき、つまり朝日の下になります。
人間には“概日リズム”と呼ばれる、1日の中の周期的なリズムが備わっています。概日リズムとは自然な起床と睡眠のサイクルを司ります。この概日リズムをコントロールするもののひとつが「ブルーライト」とされています。
研究では、1日の中でブルーライトを浴びすぎると概日リズムが壊れ、心身の不調が生じるのではと検討されています。
たとえば睡眠のリズムが影響を受け、不眠になったりするのではとも言われています。
ですが、実際のところ、ブルーライトを見ることに対しては日本眼科学会やアメリカ眼科会議の見解でも、あまり強い影響はないだろうとされています。
ということは……ブルーライトカットメガネはつけなくてもいい?
先述の通り、ブルーライトは現在のところ、強い影響はないと言われています。少なくとも、日中にブルーライトをカットする意味はないと考えて良いでしょう。
ただし、ブルーライトの研究者は「寝る前の2~3時間は画面を見ることを制限するべきでは」としており(※1)、この時間に画面を見る必要がある人(遅くまで仕事をするなど)は、そのときだけブルーライトカットの眼鏡をつけても良いかもしれません。
(※1)出典:アメリカ眼科会議ホームページ
https://www.aao.org/eye-health/tips-prevention/should-you-be-worried-about-blue-light
強いブルーライトは目の表面を傷つける可能性がありますが、これは日光レベルの光の強さの話であって、画面からの光の強さ程度では生じないと言われています。
なお、眼鏡がブルーライトをきちんとカットしているかどうかはJIS規格も存在しないため、きちんとした明確な基準をもたずブルーライトカットを謳っている販売業者もいるようです。
遮光眼鏡と呼ばれる医療用のレンズに関しては、各社が何%の光を減らすというデータを出していますが(※2)、いわゆるブルーライトカットの眼鏡はこれとは異なります。
(※2)参考:HOYAホームページ
https://www.vc.hoya.co.jp/products/retinex/
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