朝食は「パン」より「ごはん」のほうが幸福度が高くなる?吉野家の興味深い研究 (1/2)
株式会社吉野家が、朝食メニューに関するおもしろい研究結果を公開しています。朝食メニューによって「幸せ度」が変化することを、脳活動と自律神経活動の視点から発表しました。
朝食の「質」は「幸せ度」にどんな影響を及ぼすのか
吉野家、東北大学ナレッジキャスト株式会社および東北大学と株式会社NeU(ニュー)と共同で行った研究では、朝食摂取頻度が高い人ほど「幸せ度」が高いことを明らかにしていました。
一方、朝食の「質」が「幸せ度」にどのように影響するかの評価は、食事行動の要因の多さのため容易ではありません。
今回の試験では、東北大学の認知脳科学研究の知見を応用した携帯型近赤外光分析装置(NIRS)を用いて、朝食の「質」の差が、「幸せ度」に関係する脳活動と自律神経活動にどのような差を生み出すのかを評価したものです。
総括「パンより米のご飯のほうが、脳活動が活性化する」
先に総括から。
今回の試験により、米のご飯を中心に味噌汁、主菜、副菜がついたいわゆる和食定食は、パン食よりも脳活動を活性化する食事であることが確認できました。
和食タイプの定食は、脳に効率よく栄養を回してくれる
脳が働くためには、情報処理を司る脳の神経細胞にエネルギーを供給する必要があります。
神経細胞は「ブドウ糖のみ」をエネルギー源としています。一方、脳内にはエネルギー源を保存する場所がありません。
このため、脳を働かせるには常にブドウ糖の供給が必要です。
●疑問1 パンでもいいのでは?
こう聞けば、別にお米でなくともパン食でもいいのではないかと感じるかもしれません。
しかし、朝食の主食は「パン」より「米のご飯」が脳活動の観点から優れていることが、東北大学加齢医学研究所の研究で明らかになっています。
理由は、パンよりも米のご飯のほうが「グリセミック・インデックス(GI)」という数値が低いからです。
GI値が低いと血液中の血糖値の変動が少なくなります。血糖値の変動が少ない方が、脳に効率よく栄養が回ることがわかっています。
●疑問2 おにぎり1個でもいいのでは?
ということは、朝おにぎりを買って食べればいいんだ! と思うかもしれませんが、それではもったいない。
朝食がデンプン質(ブドウ糖)だけでは脳を働かせるのに十分でないことも、東北大学の研究で明らかになっています。
ブドウ糖が脳の神経細胞で有効に使われるには、たとえば以下のような「補助的な栄養素」が必要だからです。
- ビタミンB1(豚肉に多く含まれる):ブドウ糖をエネルギーに変換する際に必要な栄養素
- アリシン(にんにく、ねぎ、ニラなどに含まれる):ビタミンB1の分解を防ぎ、吸収をよくする
- 必須アミノ酸リジン(納豆、味噌、豆腐など豆類、卵黄に含まれる):ブドウ糖代謝の促進に有効
これらの栄養をバランスよく含むのは、ちょうど和食定食というわけ。
上記栄養を補うという視点では、みそ汁付き豚丼や、卵トッピングの豚丼でもよさそうです。