ヘルス&メンタル
2024年10月11日

足首ストレッチの効果とやり方。ヨガインストラクターが丁寧にレクチャーします

「最近つまずきやすくなった気がする」「うまくしゃがめない」、そう感じたときは、足首が固くなっている可能性があります。

足首が固くなると、ケガをしやすくなったり日常の動作に支障が出たりしやすくなります。このようなデメリットを解消するためにも、足首の柔軟性を高めることが大切です。また、足首ストレッチを行うことで、体への健康効果も期待できます。

今回は足首が固くなる原因やおすすめのストレッチ、行う際のポイントなどを、ヨガインストラクターの高橋かなこさんが紹介します。ぜひ意識的に足首を動かす習慣を身につけてみてくださいね。

なぜ足首は固くなるのか。おもな理由は3つ

足首が固くなっている状態とは、「足首の筋肉や靭帯などの組織が固くなり、足首の可動域がせまくなること」をいいます。では、具体的にどんな習慣や行動が原因になるのでしょうか?

意外と多い! 足首が使えていないパターン

まず挙げられる理由が「自分が思っているより足首を使えていない」ことです。

現代は、和式トイレでしゃがんだり、雑巾掛けをしたりする習慣もなく、そもそも足首を動かす機会が減少しています。また、歩く際に足首をしっかりと曲げ伸ばしせず、足を引きずるような歩き方をしていると、足首の柔軟性が失われてしまうのです。

とくにブーツやヒールの高い靴を履いて歩くときは、足首をきちんと使えていないことが多いようです。

このように、日常生活で足首の関節を動かす機会が少ないと、足首周りの筋肉や腱が固くなり、関節の可動域がせまくなってしまうのです。

やっぱりこれ! 運動不足

「長時間のデスクワーク」「車での移動」など、運動不足になる生活が続いている人も多いのではないでしょうか。

足首は歩行や運動の際に頻繁に使われる関節ですが、運動不足になると周りの筋肉や腱が固くなり、関節の柔軟性が低下して足首の可動域がせまくなってしまいます。

この状態が続くと足首の動きが制限され、日常生活や運動時にバランスを崩しやすくなったり、怪我のリスクが高まったりします。

仕方ないけれど……加齢

年齢を重ねると、体内のコラーゲンやエラスチンといった結合組織が減少し、関節や筋肉の柔軟性が低下します。これにより関節の可動域が狭まり、足首の動きも制限されやすくなるといわれています。

また、加齢に伴う筋力の低下や血行不良も、足首まわりの筋肉や腱が固くなる一因です。

さらに、年齢を重ねると運動量が減少する傾向があるといわれているため、それが足首の固さに拍車をかけてしまいます。(※1)

足首ストレッチで得られる効果とは

足首が固くなる理由がわかったところで、次は足首のストレッチで得られるメリットをみていきましょう。

ケガの防止

関節の柔軟性が向上し、足首の可動域が広がることでケガの防止につながります。

柔軟性が高まると、急な動きや不意の捻挫などに対する耐性が強くなり、足首まわりの筋肉や腱がよりスムーズに動くようになるでしょう。

また、足首ストレッチは関節周囲の筋肉や腱を柔らかくし、血行を促進する効果があります。これにより、筋肉や腱に必要な酸素や栄養がしっかりと供給されるため、筋肉疲労が軽減してケガのリスクが減少するのです。

むくみ改善

足首が固くなると、ふくらはぎを使わない歩き方になってしまうことがあります。

ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれ、筋肉がポンプのように収縮することで、脚の方に下がった血液を心臓を戻すポンプ機能があります。そのため、日頃からふくらはぎを使わないと、筋力が落ちて血液やリンパの流れが悪くなってしまうのです。

これが体内に余計な水分や老廃物をためこむ原因になり、脚がむくみにつながります。

足首の柔軟性を上げ、ふくらはぎの筋肉をうまく使って歩くことで、体内の余分な水分や老廃物が効率よく排出されてむくみが解消されるでしょう。

下半身への負担軽減

足首が固いと足裏でうまく衝撃を受け止めきれず、ほかの部位に負担がかかりやすくなります。これにより膝痛・股関節痛・腰痛などを引き起こすリスクを高めてしまいます。

足首ストレッチを行い足首の動きをスムーズにすることで、衝撃を多方面に分散させることができるため、ほかの部位に負担をかけにくくなります。

また、柔軟な足首は安定した立ち姿勢や歩行をサポートしてくれるので、下半身にかかる圧力を均等に分散させてくれます。

冷え改善

足首の柔軟性を高めることで、冷えの解消にも効果が期待できます。

「夏でも足だけは冷えてしまう」といった人もいるのではないでしょうか? とくに足首は脂肪が少ないため、冷えやすいと言われています。

足首が冷えると足先の血行も悪くなって、さらに冷えを感じやすくなるので、温めながらゆっくりストレッチすることでさらなる効果が期待できます。

疲労感の軽減

自分の歩き方を都度意識している人はあまり多くないかもしれませんが、足首が固くて可動域がほんの少し小さくなるだけでも、歩きにくさが増して疲れやすくなる言われていいます。

逆に、足首の可動域がわずかにでも大きくなると、自然に歩幅が大きくなって背筋が伸ばしやすくなり、歩く際の負担がぐっと減少する可能性が高いです。

また、意識して大股で後ろに足をけり出すような歩き方を行うと、脚の筋力もつけることができます。

足首を柔らかくする足首ストレッチ

足首の柔軟性を上げるためには、ウォーキングなどの運動も大切です。

しかし、普段運動する習慣がない人は、いきなり運動習慣を身につけるのはストレスになってしまうかもしれません。そのため、まずは家で簡単にできるストレッチから始めてみましょう。

仕事や家事育児の合間、夜寝る前など、自分のタイミングで行ってみてくださいね。

アキレス腱伸ばし

  1. 正座になり、片方のひざを立てる
  2. 両手は床(もしくは立てたひざの上)に置く
  3. 背筋を伸ばしたまま、上半身を前に倒す。前のかかとが床から浮かないように注意!
  4. 約2秒キープしたら一度上半身を起こし、これを10回くり返す
  5. 反対脚も同様に行う

足首回し

  1. イスに腰掛ける。もしくはひざを伸ばして床に座る
  2. 右足首を左ひざの上に乗せる
  3. 左手で右足指をつかみ、右手で右ひざを軽く抑える
  4. ゆっくり円を描くように、足首を10回程度回す
  5. 脚を入れ替えて反対も同様に行う

足首を柔らかくする「足首回し」の効果とやり方[理学療法士監修]

足首ストレッチの効果を高めるポイント

ここからはストレッチを行う際の注意点や、効果を引き出すポイントについてお伝えします。

痛いときには行わない

ストレッチは心地よい範囲で行うことで、効果的かつ安全にからだをケアすることができます。そのため、無理にストレッチを続けるのは好ましくありません。

痛みを感じながら続けることで、筋肉や関節を傷めるリスクがあります。痛みはからだが危険を知らせるサインなので、そのままストレッチを続けると、筋肉や腱、靭帯に過度な負担がかかってしまいます。

また、痛みを無視してストレッチを行うと、筋肉が緊張し逆に固くなってしまい、柔軟性が向上しないどころか、ケガの原因となることもあります。

とくに、痛みが強く感じられる場合や持続する場合は、すみやかにストレッチを中止し、痛みが続く場合は医療機関に相談してください。

温まった体で行う

筋肉が冷えている状態では筋繊維や関節が固くなっているので、無理に伸ばそうとすると、筋肉や腱に過度な負担がかかって損傷を引き起こす可能性があります。

からだを温めることで血流が増して筋肉が柔らかくなるためより深いストレッチになり、効果的に柔軟性を向上させられます。

また、体が温まった状態でストレッチを行うと筋肉の緊張がほぐれて、リラックスしてストレッチに取り組むことができます。

毎日継続して行う

ストレッチは、毎日継続的に行うことで、筋肉や腱が少しずつ伸びやすくなり可動域が広がります。可動域が広がった状態を維持するためにも、5分でもいいので毎日ストレッチを行う習慣を身につけましょう。

ただし、体を痛めるほどやるのはよくありません。

早く柔軟性を高めたくて、つい無理をしてしまいがちですが「痛気持ちいい程度で止めること」「毎日継続しやすい範囲で行うこと」がポイントです。

足首のケアは体全体のケアにもつながる

普段あまり意識しない「足首の柔軟性」ですが、足首のケアは体全体のケアにも貢献します。

日常的にあまり運動をしない人や足首が固いと感じる人は、ぜひ今回ご紹介したストレッチを実践してみてくださいね。

参考サイト:
(※1)野田市役所「靭帯も運動で強くなる(市報のだ2月15日号掲載)」

監修者プロフィール

高橋かなこ(たかはしかなこ)
ヨガインストラクター

2021年よりRYT200(全米ヨガアライアンス認定)修了インストラクターとして幅広い年齢層へのクラスを開催。企業での事務経験から、デスクワークで疲れた部位や崩れた姿勢のためのレッスン組み立てを得意とする。自身のダイエット成功経験を経て、美しいからだを作るためには、食と思考が大切だと痛感。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」などで、同じ悩みを持つ方に向け精力的に情報発信を行う。

<Edit:編集部>