高校からボクシングの道へ。野球やサッカーの経験が大いに役に立った。元プロボクサー山中慎介(後編)│子どもの頃こんな習い事してました #14 (1/2)
スポーツ界の第一線で活躍していたアスリートに、幼少期の習い事について訊く連載。自身の経験を振り返っていただき、当時の習い事がどのようにその後のプレーに活かされたか、今の自分にどう影響しているかを伺います。
スイミングで泣いていた幼少期を経て、小中学校では野球で活躍、高校からボクシングを始めた山中慎介さん。今、2児の親として抱く思いとは?
前編:スイミングは水が怖くて泣いてばかり。小中学校は野球でピッチャーとして活躍。元プロボクサー山中慎介(前編)
野球だけでなくサッカーの経験も糧になった
――野球の経験はその後のボクシングに生かされていると思いますか?
思いますね。野球は右投げで肩に自信があったので、高校に入学した当初はボクシングも右で構えていたんです。練習していくうちに当時のボクシング部の監督に左に変えろと言われました。当時サウスポーのボクサーが少なかったので有利というのもあって、うちの高校では器用な選手は左にする傾向があったんです。左に変えた結果、いい成績を残せたので今でも感謝しています。ただ、高校時代には右でも倒せていたんです。右が強くなったのは野球で上半身を鍛えてきたから。
また、スポーツに大切な体幹も野球によって鍛えられたと思います。野球だけでなく、小・中学校で休み時間にいつもしていたサッカーでもバランス感覚や脚力が付いた。子どものころにいつも体を動かしていたことが、その後のボクシングに大いに生きたと思いますよ。
――サッカーなど遊びで外で走り回ったことも競技に生きたんですね。
そうですね。たまには自宅に集まってゲームということもあったんですけど、いちばん楽しかった思い出はケイドロ。めちゃくちゃ得意で、僕と同じチームになった子はラッキーだったと思います。ずば抜けて足が速いわけじゃないですけど、とっさの判断ができて隙間に入ったり塀を乗り越えたりといったことが得意で、チームメイトを助けてました。ケイドロでは僕、輝いてましたね、野球よりも輝いていました(笑)。外遊びが思いっきりできるあの環境は僕にとってよかった。都会ではできなかったでしょうね。
心の強さは試合の経験を積んでからでも鍛えられる
――精神面ではどうですか。子どものころの経験が役立っていますか?
精神的にはプロになるまで弱かったんです。練習ではうまくいくけど試合ではそれが出せない状態が続いていました。高校では国体の少年バンタム級で優勝しましたけど、プロデビューした後はキャリア序盤から思った実力を発揮できなかった。精神的な部分は経験が大事。辛い試合でもギリギリの試合でも乗り越えることで成長する。
僕の場合は、2011年の日本タイトルマッチ初防衛戦での経験。序盤にポイントを取られていたところを逆転、最終回にKO勝ちして精神的に強くなれました。もちろん練習がいちばん大事です。練習しなければ話にならない。練習プラス試合経験。何試合も戦うことによって、反省点を次の試合に生かして精神的に成長できる。「継続は力なり」だと、振り返ってみると思いますね。