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2018年7月5日

高校からボクシングの道へ。野球やサッカーの経験が大いに役に立った。元プロボクサー山中慎介(後編)│子どもの頃こんな習い事してました #14 (2/2)

――では、小さなころは気持ちが弱くても、親御さんは心配しなくてもいい?

子どものうちは一生懸命になれることをみつけてくれればいい。一生懸命になれることと出会うことが大切。親は基本的には子どもがやりたいことに反対する必要はないと思います。

息子に自分の練習の様子を見せたことがいい経験に

――現在、幼稚園に通う2児の父親である山中さん。先日、『素敵なお父さん』に贈られる「ベスト・ファーザー イエローリボン賞」を受賞しました。

現役時代は、子どもたちと常にいっしょにいられるわけではありませんでした。練習がありましたし、試合が決まれば2ヶ月間は日曜日に予定は入れられない。だからこそ一緒にいられる時間を大切にしていました。子どもと一緒にいると癒やされて気持ちがリセットできます。平日練習で疲れていても自宅に帰ってくると、ふたりの「おかえり」という声で疲れが取れる。たまに間違えて「おかえり」ではなく「ただいま」と言ったりしていますが(笑)。

――子どもたちには何を習わせていますか?

息子はサッカーと体操、それから妻が英語を教えています。日本語を覚える前に英語を教えてどうなのかわかりませんけど、そこはノータッチでまかせています。娘も体操と英語。体操は僕がやらせたいと希望しました。今後なにをするにしても体の基礎をつくっておいたほうがいいと思ったから。水泳や体操は体の基礎づくりに効果的だと思います。習い事は二人とも嫌がらずに楽しんでいます。嫌がったら無理にはやらせません。「どうしても嫌」という気持ちは自分もスイミングで経験しているので。

――ボクシングはさせたいですか。

「チャンピオンの子ども」という見方をされるので、常にプレッシャーになるでしょうから、あまりそっちには行かないと思います。それでも本人がやりたければ止めませんが。娘はボクシングにまったく興味がないんですが、息子は興味を持っているんです。今年の正月にジムに連れて行って僕が練習しているところを初めて見せたら、夢中になって僕の試合のビデオを見るようになって、真似をし始めたんです。テレビの解説まで真似しています(笑)。

だから、息子は父親のことをちょっと尊敬の目で見てくれていますね。父親が一生懸命仕事をしている姿を見せる機会って職業によっては難しいと思うんですけど、間近で見せることができてよかった。息子にとって試合の勝ち負け以上に大きかったと思います。

[プロフィール]
山中慎介(やまなか・しんすけ)
1982年生まれ。滋賀県出身。ボクシングの名門・南京都高校入学と同時にボクシングを始める。専修大学進学後はボクシング部の主将を務めた。大学4年生時の国体で不本意な成績に終わったことからプロ入りを決意し、帝拳ボクシングジムへ入門。2010年に第65代日本バンタム級王座、2011年に第29代WBC世界バンタム級王座を獲得、以降2017年8月にルイス・ネリ(メキシコ)に敗れるまで12度の防衛に成功。2018年3月引退を発表。

<Text:安楽由紀子/Edit:丸山美紀(アート・サプライ)/Photo:小島マサヒロ>

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