スクワット、ゆっくり動くと体にどんな変化が出てくる?5つの効果をトレーナーが解説
スクワットは「速くたくさんやるほど効果がある」とは限りません。あえてゆっくり動くだけで筋肉にかかる負荷が高まり、いつものスクワットがより効率的なトレーニングになるのです。
では、ゆっくりスクワットを続けると、体にはどんな変化が期待できるのでしょうか。理学療法士・パーソナルトレーナーの安藤 瑞樹さんの記事より一部抜粋してお届けします。
なぜ「ゆっくり動く」だけで効果が高まるのか
スロースクワットが普通のスクワットよりも高い効果を発揮する理由は、動作のスピードにあります。「ゆっくり動く」という刺激が、体の代謝・血流・ホルモン分泌に深く関わっています。
筋肉をじっくり使うと、乳酸が生まれる
スクワットは太ももやお尻など、体の中でも大きな筋肉を同時に動かす全身運動です。この動きをスローにすると、筋肉が緊張状態を長く保ち、エネルギーを使い続ける時間が増えます。
ゆっくり動き続けると血流が制限され、筋肉の中では一時的に酸素が不足し、代わりに乳酸が生まれます。乳酸は「疲労物質」と思われがちですが、実際には筋肉を成長させる合図のような役割を持っています。
乳酸により「ホルモン分泌」が活性化
筋肉に乳酸がたまると、脳がその刺激をキャッチし「成長ホルモン」を分泌します。成長ホルモンは筋肉の修復や脂肪分解、肌や細胞の再生を促す重要なホルモンです。
ゆっくり動くスロートレーニングでは、このホルモン反応が通常よりも強く起こります。代謝を上げ、体の若返りをサポートする「内側の反応」が引き出されるのです。
血流が促進され、体が温まりやすくなる
スロースクワット中は、筋肉が長く収縮・伸展を繰り返すことで、ポンプのように血液を押し上げます。この動きが下半身から全身への血流を高め、冷えやむくみの改善につながります。
筋肉の奥まで酸素が行き渡り、エネルギーが生まれやすい状態になります。運動後も体がポカポカと温かく感じやすく、冷え対策としても効果的です。
速く動くより、時間をかけるほうが効率的
速いテンポのスクワットは呼吸が上がりやすく、脂肪燃焼を高める有酸素運動としても効果的です。
一方で、スローな動作は「筋肉を深く使い切る」ことができるため、少ない時間・回数でも効率的にトレーニング効果を得られます。
重い負荷をかけなくても強い刺激を生み出せるため、初心者や関節に不安がある人にも続けやすいトレーニングです。
スロースクワットの驚くべき「5つの効果」
スロースクワットは、代謝・血流・ホルモンなど体の内側から変化を起こすだけでなく、見た目の印象まで整える全身運動です。ここからは、体に起こる5つの変化を紹介します。
1. 代謝が上がり、脂肪を燃やしやすい体に
ゆっくりとした動作によって筋肉が長時間働き続けると、エネルギー消費量が増えます。これがスロースクワット最大の特徴で、筋肉が使われる時間が長いほど、脂肪が燃えやすい体質に変わっていきます。
スクワットの大きな動作が全身の筋肉を一度に動かすため筋肉量が増えやすく、結果として基礎代謝そのものが上がるのもポイントです。
またしっかり筋肉を追い込むことで、運動後も身体の燃焼モードが続く「アフターバーン効果」が期待できます。 これは、トレーニングで疲労した身体を修復するために多くのエネルギーが使われる現象です。
つまり、休んでいる間や寝ている間も、身体が脂肪を燃やして回復し続けてくれるのです。
2. 下半身が引き締まる
スロースクワットは、太もも・お尻・ふくらはぎなど、下半身の主要な筋肉をバランスよく刺激します。動きをゆっくりにすることで、反動やクセに頼らない「正しい身体の使い方」が身につきます。
特に、太ももの前側などの「使いすぎ」を防ぎ、お尻や内ももをしっかり使えるようになるため、筋肉のつき方のバランスが改善し、結果として、無駄な張りのない、しなやかな脚のラインへと整っていきます。
スクワットの上下動によって、骨盤や体幹が安定し、姿勢がスッと伸びやすくなるのも特徴。脚の形だけでなく、立ち姿そのものが美しく見えるようになります。
3. 成長ホルモンが分泌され、体の若返りをサポート
スロースクワット中は筋肉内に乳酸がたまり、それが刺激となって「成長ホルモン」の分泌を促します。このホルモンは筋肉や骨の修復を助けるだけでなく、脂肪の分解や肌の代謝も促進する作用があります。
動作を速くするトレーニングでは短時間で反応が終わりがちですが、スロースクワットは緊張が長く続くぶん、ホルモン分泌の時間も長くなります。内側から体を若く保つ「アンチエイジング効果」が期待できます。
4. 血糖値が安定し、健康的なエネルギー循環が生まれる
筋肉が働くと、血液中の糖がエネルギー源として使われます。スロースクワットでは、筋肉の収縮時間が長いため、糖をゆっくり効率的に消費できます。結果として、血糖値の急上昇を抑える働きがあり、糖代謝を安定させます。
理学療法士の安藤さんは
「食後30分ほど経ってからのスロースクワットは、これから上がる血糖値を筋肉がエネルギーとして消費してくれるため、食後の高血糖(血糖値スパイク)を防ぐのに最適です。息を止めずにゆっくり動くことで、身体への負担を抑えつつ、インスリンに頼りすぎない『安全な血糖コントロール』が可能になります」と話します。
5. 自律神経が整い、ストレスや疲労を感じにくくなる
スロースクワットは、動作に合わせて呼吸を整えることで副交感神経を優位にします。ゆっくり吸って、ゆっくり吐く。このリズムが心拍数を安定させ、緊張していた体と心をリセットしてくれます。
運動中なのにリラックスしている感覚を得られるのは、スロートレーニングならではの魅力です。睡眠の質を高めたり、ストレスを和らげたりと、心身のバランスを整える効果も期待できます。
監修者プロフィール
理学療法士・パーソナルトレーナー
安藤 瑞樹
総合病院で約7年間、理学療法士として、スポーツ・一般整形のリハビリに従事。独立後約4年間、パーソナルトレーナーとして勤務。2021年にパーソナルトレーニングジムJuntosをオープン。現在、パーソナルトレーナーの他、高校サッカー部のトレーナーとしても活動中。
パーソナルトレーニングジムJuntos
https://juntos-tokachi.com/
<Edit:編集部>
乳酸がたまるとどうなる?乳酸=疲労物質ではない!









