なぜ「卵」は筋トレやダイエットにおすすめなのか?効果的な食べ方とは[栄養士監修]
ヒヨコが成長するために必要な栄養素が詰まった卵は「完全栄養食」とも呼ばれ、良質なタンパク質や脂質、ビタミンやミネラルなどをバランスよく含んでいます。
スーパーやコンビニなどで安価で手に入り、手軽にたんぱく質を摂れることからバルクアップを目指す筋トレ民やダイエッターに人気の食材となっています。
今回はそんな卵の栄養面や食べ方をJapanマラソンクラブで走り方や食事指導を行なう管理栄養士の深野裕子さんに解説していただきます。
卵は1日に何個まで食べていいのか? 逆に何個食べれば効果的なのか? 命あふれる卵パワーに迫ります!
卵がトレーニーにおすすめの理由
高たんぱく質である
バルクアップを目標としたトレーニング後に、筋肉の栄養として高たんぱくのプロテインや、プロテインバーなどの食品を摂る人も多いかもしれません。
プロテインバーと卵のたんぱく質量を比較してみると、コンビニなどで売られている一般的なプロテインバー1本あたりのたんぱく質は、約10g前後のものが多い。
一方、コンビニのゆで卵は1個あたり約6~7g(約50g前後のSサイズ)のたんぱく質が含まれています。2個入りで売られているものなら、プロテインバーのたんぱく質量を上回ります。
低糖質、ミネラル補給もできる
また、コンビニのゆで卵には塩味がついているので、トレーニング後のミネラル補給にも最適です。
さらにプロテインバー1本あたりの糖質は約5g前後、比べてゆで卵は1個あたり0.1〜0.2gと低糖質なのです。
「卵は『完全栄養食』と呼ばれるほど栄養価に優れ、トレーニーに必須のたんぱく質はもちろん、多種多様な栄養素がバランスよく含まれています。また、簡単な調理で食べられるので、朝食や昼食のほか、トレーニングの合間の間食として利用しやすいことも魅力です。ゆで卵でもしっかり噛めば少量で満足感が得られ、腹持ちがいいのもトレーニーにおすすめの理由になります」(深野さん)
ただ、卵にはビタミンCと食物繊維が含まれていないため、「野菜や果物も併せて摂取するとなお栄養バランスが整います」と深野さん。不足する栄養素を補うことは重要です。
トレーニーが注目すべき卵の栄養素
卵に含まれる良質なたんぱく質がトレーニー注目の栄養素なのはいうまでもありませんが、たんぱく質以外でトレーニーが注目したい栄養素には何があるのでしょうか。
以下は、卵の鶏卵の成分と卵1個あたりの主な栄養素と1食あたりの摂取目安です。
▲『女子栄養大学出版 調理のためのベーシックデータ』より監修者制作
註:1日あたりの摂取目安は男女ともに30~49歳より算出。
エネルギー、炭水化物、脂質量は身体活動レベルⅡとして算出。
1食あたりの摂取目安は1日あたりの摂取目安×1/3として算出
「たんぱく質に注目するのは当たり前ですが、ほかにもバルクアップを目指すトレーニー必須の栄養素があります。特に筋たんぱくの合成を促してくれるビタミンD、たんぱく質、糖質、脂質の代謝に必要なビタミンB群が豊富なのは大注目ですね」(深野さん)
卵の栄養素を効率よく摂取する食べ方、食べるタイミング
卵のパワーを余すことなく筋肉の糧とするために、効率よく摂取するにはどんなタイミングで食べ、どんな食べ方をすれば良いのでしょうか。
ゆで卵ひとつとっても半熟、固ゆでがあり、調理の種類も目玉焼きや卵焼き、卵がけごはんなどさまざまです。
「筋トレでバルクアップを目指すには、『血中のアミノ酸濃度をいかに保つか』が重要となります。そのためには、1日3回の食事で毎食20~30gのたんぱく質を摂取することです。トレーニングを定期的に行っている場合や、3回の食事だけで必要なたんぱく質量に満たない場合は、食事と食事の間に間食(補食)としてたんぱく質を摂取していくことが大切です」(深野さん)
どのタイミングで食べても問題はないようですね。特にたんぱく質が不足しやすい朝食や昼食に、また間食(補食)として摂取するといいといいようです。
「食べ方は、自分が食べやすい方法でOKですし、加熱すると消化・吸収がさらによくなります。体脂肪の増加が気になる方や体脂肪を増やさず筋量を増やしたい、体脂肪を減らしたいという方は、調理時に油を使わないゆで卵や、テフロン加工のフライパンを使うなど、できるだけ油を控えた調理方法を選んでください」(深野さん)
卵のたんぱく質は、調理による損失は少量ながら食べる量が多かったり、油で調理したりすると消化・吸収時間は長くなります。
また、何個も食べるとコレステロールの過剰摂取が心配になります。しかし、現在では常識の範囲内であれば血中コレステロール濃度を上昇させないと考えられています。健康な人の目安は、「1日2個程度」食べてもコレステロール濃度に影響しないそうです。
ただし、血中コレステロール濃度の上昇有無は、個人差があるので、ほどほどにしましょう。
組み合わせて食べると良いオススメ食材
完全栄養食とはいえ、卵だけ食べ続けると飽きてしまうものです。そこで、卵と組み合わせて食べると、味&栄養バランスも整うビタミンCや食物繊維などを含む食材をあげてもらいました。
筋肉だけではなく、健康なカラダづくりのためにも栄養を意識した食事を摂りましょう。
ごはんや食パンなどの炭水化物と一緒に
卵かけごはん、ごはんと目玉焼き、パンとゆでたまご など
ブロッコリーやパプリカ、トマトなど卵に唯一含まれないビタミンCを多く含む野菜と
→温野菜サラダ(ブロッコリー・トマト)+ゆで卵 など
果物とセットに
→ビタミンCを多く含むいちご、キウイ、グレープフルーツ など
監修者プロフィール
深野祐子(ふかの・ゆうこ)
管理栄養士・ジョギングインストラクター。Japanマラソンクラブでインストラクター兼フードアドバイザーとして市民ランナーに向け走り方の指導や食事の指導を行なう。
【Japanマラソンクラブ公式サイト】https://www.jmcrun.com/
<Text:京澤洋子(アート・サプライ)>