運動時にズレない、落ちないメガネ「マイドゥ スポーツ」作ってみた。その実力は…!? (1/3)
ランニングや筋トレなどの運動時にメガネを着用していると、ふとしたときに煩わしさを感じることが少なくありません。激しく動いたタイミングでメガネがズレる、下を向いた際に落ちる。これでは運動に集中できませんし、ズレたタイミングでよく見えず怪我などに繋がる可能性もあります。
おそらくメガネユーザーの中には、ズレる、曇る、メガネバンドで固定しないと落下するなど、スポーツ中のメガネ着用に課題を抱えている方が多いことでしょう。私自身も、その一人です。
そんな方々にとって朗報なのが、ビジョンメガネ社が“ズレない”をコンセプトとして開発した「マイドゥ スポーツ(MYDO SPORTS)」です。
はたして、本当に激しい運動時などでもズレないのか。実際の製品を着用し、さまざまな運動を行って検証してみました。製品の特徴や開発背景とともに紹介します。
「マイドゥ スポーツ」って、どんなメガネ?
まずはマイドゥ スポーツの開発背景や特徴などについて、商品部部長の平野順久さんにお話を伺いました。
――マイドゥ スポーツが販売されるまでのことを教えてください
2004年8月に、「絶対にずり落ちない」をコンセプトとして大人の男性向けに「MYDO(マイドゥ)」の販売を開始しました。高価格帯のメガネ市場では1シリーズ3000本でヒットといわれますが、6年間で12.8万本を売るヒット商品に。一時終売しましたが、2019年6月1日に復刻して販売開始しました。
そして、その技術をスポーツ向けに応用し、2020年8月に新発売したのが「マイドゥ スポーツ(MYDO SPORTS)」です。
――なぜ「マイドゥ スポーツ」を開発しようと考えたのでしょうか?
毎年公表される業界資料『眼鏡データベース』からも、メガネに関する不満の1位は「メガネがズレること」でした。実際に店舗でも同様の悩みを抱えていらっしゃるお客様は多く、「MYDO」の販売終了から10年以上が経った今でも、愛用ユーザーや以前の商品を知っている現場スタッフから「もう一度復活させてほしい」という熱い要望がありました。
これを受け、復刻とともに新型であるスポーツタイプの開発に踏み切りました。近年はマラソンなどスポーツ人口が増えたように感じておりますが、スポーツしながらメガネをかける人が多いことに気づいたんです。
スポーツタイプのメガネは数多くあります。しかし、メガネをかけて走ったり激しく動いたり、あるいは汗をかくと、ずり落ちてきてスポーツに集中できないという悩みをもつ方々は多いはず。そんなときにMYDOの“ズレない”機能は最適だと感じ、その悩みに応えるべくスポーツタイプの開発に着手しました。メガネをかけていても、快適にスポーツを楽しんでほしいという想いがキッカケですね。
従来ですと、スポーツ時にメガネのズレを解消させるには、メガネバンドの使用が主流でした。しかし見た目が良くないと感じる方が多く、本当はメガネを掛けたいのに、スポーツ時だけコンタクトレンズを装用される方も少なくありません。
また、見た目を重視してスポーツタイプ以外のメガネを使うと、運動時にズレたり、汗でメガネが傷みやすくなるなどの問題もあります。とはいえスポーツタイプで見た目を良くしても多少のズレが発生するなど、見た目と機能性でどちらを優先させるかの選択が求められていました。
実際、お客様からもスポーツ用として軽く丈夫、視界が広い、ずれない、格好いいデザインなどの希望が多数ありました。特に機能面とデザイン性の両立を求められる方が多く、その両方を叶えられるのはMYDOしかないと思いました。
――過去にもスポーツ向けの製品はありましたか? MYDOとの違いと合わせて教えてください
2012年2月に「V Sport(ブイスポルト)」というフレームを発売しました。こちらも“軽くてズレない”をコンセプトとした製品で、鼻パッドの構造とツルの先端で耳に掛かる部分のパーツ(=モダン)の素材に工夫をしました。しかし、やはり他のスポーツタイプメガネと同じく多少のズレは課題でした。
一方、MYDOは耳を包むようカチッと巻きつけてホールドさせる、特殊構造のモダンを搭載したフレームです。そのため、ジョギング時の体の揺れや、ゴルフで体をひねるような動きでもズレません。汗でメガネが滑り落ちてくることもないんです。素材やフロントデザインも工夫し、長時間のスポーツでもメガネのズレや重さ、不快感を気にせず、思いきりスポーツを楽しめるメガネフレームになっています。
また、マイドゥ スポーツはいかにもスポーツという見た目の製品ではなく、スーツや普段着にも合うデザインとカラーにもこだわりました。そのため、仕事帰りにジムでトレーニングしたり、ジョギングをする際にも、そのままのメガネで気軽にスポーツをお楽しみいただけます。
――マイドゥ スポーツを開発するうえで苦労したこと、工夫したことを教えてください
特殊構造であるツルの先端にある耳にかかる部分のパーツ『MYDOモダン』と、ツルの部分に当たる『テンプル』をどう繋ぐかは悩みました。MYDOモダンはツルの先端部分の芯に差し込んで取り付ける構造になっており、可動式で長さの調整が可能です。その芯になるパーツはこれまでテンプルと一体型(=同じ金属素材)で作っていましたが、マイドゥ スポーツのフレームは樹脂素材と決めていたんですね。
しかし、一体型にすると、モダンを差し込む芯の部分を細くした際に折れる可能性があり、強度に不安がありました。何度も修正を重ねて、最終的に芯の部分は金属パーツに。これを樹脂素材と接合することで強度の問題を解消し、製品化となりました。
また、従来型のMYDOは金属フレームの中でも軽量なチタン素材ですが、スポーツタイプのマイドゥ スポーツはさらに軽さと柔軟性による掛け心地の良さ、スポーツ時の快適さを体感いただける素材を採用しています。デザイン面でもスポーツ時に必要な視界が確保できるフロントデザインと、スポーツウエアだけでなくスーツや普段着にもマッチするスタイリッシュなデザインを意識しました。
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