インタビュー
2017年11月28日

「私もジャッキー・チェン様やジェット・リー様のようにかっこよくなりたい」山本千尋が語る太極拳(後編) (1/3)

 武術太極拳の選手として華々しい成績を納め、現在はアクション女優として注目を集める山本千尋さんのインタビュー。前編では太極拳の選手として歩んできた道や、女優になったきっかけをお話しいただきました。

 後編では、武術太極拳についてもっと詳しく知るため、日々のトレーニングや、続けてきたことによって得られたことを教えてもらいました。参考にしているアクション俳優として挙がったのは、香港スター好きなら知っている意外なあの人!

▼前編はこちら

神戸にいた"武術の女の子"が女優になるまで。山本千尋が語る太極拳(前編) | ビューティ×スポーツ『MELOS』

人を惹きつけるような演武をしたい。この気持ちが女優業に活きる

――武術太極拳の具体的な練習内容を教えていただけますか。

小学校の大会で武器を落とすという最もしてはいけないことをして最下位になったとき、まず技術を磨くんじゃなくて絶対にミスをしない身体を作ろうと思ったんです。それから、下半身を鍛えたりしながら、身体を柔らかくするトレーニングも積んでいきました。武術の練習をするというよりは、よくスポーツ選手がするような筋トレ……腹筋、背筋ですね。あとは刀の素振りです。

――太極拳は、一般に健康のために行うイメージもあると思います。その太極拳と山本さんがやっているスポーツとしての太極拳はどう違いますか?

やっていることは基本的に一緒だと思います。ただ、心得というか自分の気持ちが全然違うというか……。私は今だからこそ(武術太極拳は)「健康的だな」とか「身体にいいな」と思うんですけど、実際選手でやっていたときはそんなことはまったく考えていなかったんです。逆に怪我とかで身体を壊していたので(笑)。

スポーツ全般的に一緒だと思うんですけど、選手としてやる人もいれば健康のためにしている人もいますよね。武術も「楽しいからやる」という感覚だけでやるのであれば、もちろん健康にいいと思います。

いわゆる太極拳というのは、すごくゆっくり動くのですが、そのゆっくりと動いているとき、呼吸をすごく意識するので気が静まるというか、リラックスできるというか。やっていると落ち着くんですよね。長拳になるとアドレナリンがぶわっと出て、全然リラックスなんてできないんですけど(笑)。でも、長拳もやり終わったときの達成感は素晴らしいんですよ。

私はずっとスポーツと思ってやってきましたけど、いつかいろんな世代の人に、いろんな形で太極拳を教えられたらいいなとも思ったりします。子どもたちには武術をスポーツとして好きになってもらいたいし、ご年配の方には健康のためにもやっていただきたいです。とにかく武術の楽しさをわかってもらいたいという気持ちがあって。私自身が武術大好きなので、どういう形でもいいので、いろんな人に好かれるスポーツになればいいなと思っています。

――武術太極拳をやる、と一口に言ってもいろんな目的があっていいんですね。

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