
「にんじんや春菊はシミ予防になる」って本当?管理栄養士に聞いた (3/3)
過剰摂取すると肌が黄色っぽくなる? サプリからの摂取には注意!
望月さん:βカロテンの摂り過ぎにより、皮膚の色が黄色っぽくなる場合がありますが、健康を害するケースはないと考えられています。食事からの過剰摂取による危険性やリスクは、ほぼないといえます。
皮膚の色が黄色っぽくなるのは、過剰摂取により、血液中の色素の濃度が上昇したためと考えられています。摂取を控えると、症状が落ち着いていくケースが多いです。
ただし、サプリでビタミンAを過剰摂取した場合、腹痛・悪心・嘔吐・めまい・過敏症が起こることがあります。
また、慢性中毒になった場合には、全身の関節や骨の痛み・皮膚乾燥・脱毛・ 食欲不振・体重減少・肝脾腫などが起こることがあります。
サプリで摂取する場合は、必ず一日の摂取目安量を守るようにしましょう。
βカロテンの吸収率を高めるコツ
望月さん:βカロテンを効率的に摂取する方法はいくつかあります。
油と一緒に摂る
βカロテン(ビタミンA)は、油に溶けやすい性質があります。そのため、脂質とともに摂取すると、吸収率が向上すると考えられます。
緑黄色野菜を調理するときは、油で炒める等の調理法がおすすめです。サラダにオイルドレッシングをかける食べ方も有効です。
βカロテンは熱に強いという性質がありますが、加熱し過ぎには注意が必要です。また、油脂はカロリーが高いため、摂り過ぎないように注意してください。
野菜ジュースにして飲む
野菜ジュースにすると、野菜の栄養成分を効率的に摂取できると考えられます。
βカロテンを豊富に含む野菜や好きな果物などを、ミキサーで混ぜて野菜ジュースを作るのもよいですね。
にんじんを入れる場合、茹でてから搾ったにんじんを飲む方が、効率よくβカロテンを吸収できるという研究結果が報告されています。
なお、野菜ジュースは作り置きせず、飲むタイミングで作るようにしてください。
市販の野菜ジュースで手軽に摂取するのも良いでしょう。その際は、砂糖や塩などができるだけ添加されていないものを選んでください。
サプリや青汁などで補助的に取り入れる
食事で摂取が困難な場合は、サプリメントや青汁等の活用により、足りない分を手軽に補うことができると考えられます。
βカロテンが豊富なケールを使用している青汁がおすすめです。サプリメントを使用する場合、1日2mgを超えないように注意しましょう。
ビタミンAが入った化粧品で、外側からアプローチするのも手段のひとつ
望月さん:βカロテンの肌への働きは、ビタミンAに変換された後の作用です。そのため、ビタミンA配合の化粧品を使用することで、体の外からも肌にアプローチできます。
ビタミンAは、肌のターンオーバーを促進する作用があります。また、コラーゲンの増生も促進し、きめ細かい肌へと導く効果が期待できます。
ビタミンAは化粧品成分として、次のように表記されます。成分表示をチェックして、ビタミンA配合の化粧品を選ぶと良いでしょう。
ビタミンA(レチノール)の種類
- パルミチン酸レチノール
- プロピオン酸レチノール
- 酢酸レチノール
- レチノール
- レチナール
- レチノイン酸(トレチノイン)
初めての使うときは「レチノイド反応」に注意
ビタミンA配合化粧品を初めて使用する際は、肌に赤みやかゆみ、ほてり感、乾燥、ニキビ等の症状が出現することがあります。これを「レチノイド反応」と呼びます。
時間の経過とともに肌がビタミンAに慣れていくことで、徐々に症状が改善するケースが多いです。症状が改善しない場合には、皮膚科で相談してください。
▼参考
株式会社わかさ生活 β-カロテン
大塚製薬 ビタミンA / βカロテン
カゴメ にんじんなど緑黄色野菜のβ-カロテンを効率良く吸収するには?
監修者プロフィール
健康検定協会理事長
望月 理恵子
株式会社Luce代表取締役、管理栄養士、山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、小田原銀座クリニック栄養顧問、日本臨床栄養協会評議員。サプリメント・ビタミンアドバイザーなど、栄養・美容学の分野で活躍。多くの方が健康情報を学ぶための健康検定協会を主宰するとともに、テレビ・雑誌などで根拠ある栄養学を提供・監修をしている。「栄養学の◯と×」、「やせる時間に食べてみた!」など著書も多数。
<Edit:編集部>
※本記事は、mocobe(モコビ)で掲載されていた内容を移管し、加筆・修正したものです。