子どもの運動神経は「体幹」を鍛えると伸びやすい!専門家が激押しする「体幹遊び」のメリット (1/2)
子どもの体力低下問題。以前と比べて改善傾向にはあるものの、継続的な課題となっています。しかも昔とは異なり、運動ができる子・できない子の「二極化」が顕著に進んでいるようです。今回は、いま流行の体幹理論を応用して、子どもの未来の運動能力を高める遊びや指導を考えていきます。
体幹とは
巷で流行している体幹トレーニング。体幹とは腕・足以外の胴体部分を指します。
現在知られているような体幹トレーニングは、当たりの強さやバランス力の強化などを目的に、早ければ中学、だいたいの場合は高校生から大人になってから体験します。しかしこの体幹トレーニングは、幼児や小学生にこそ行ってほしいトレーニングです。
なぜなら、体幹トレーニングが将来の運動能力向上につながるから。そのためには、大人が行う体幹トレーニングではなく、幼児や小学生の発育発達に合わせた“体幹遊び”がおすすめです。
なぜ体幹は大事なのか
小さな子どもは腕力や脚力がありません。そのため、胴体をうまく利用しながら身体を動かすことを覚えます。実は、これがとても大切です。その重要性について、一本の棒を例にとって分かりやすく説明してみましょう。
下図左のように、支点と反対側の先端を持って10cm動かしたとします。当然ですが、先端の動きは10cmです。しかし右側のように、より支点に近い位置を持って10cm動かしたらどうでしょうか。先端ではメートル単位で動き、大きく速い動きとなって表れます。
図は筆者作成
この考え方を、子どもの身体(足)に当てはめてみましょう。支点を足の付け根、先端を足先と考えます。足先に意識を持って動かすのと、足の付け根に意識を持って動かすのと、何が違うか分かるでしょうか。
結果として、足の付け根に意識を持った方が大きく動かせるはずです。そして成長期が訪れて手足が伸びると、さらに威力が増すようになります。
「付け根」を動かす意識を身につける
このように、腕や足を使うのではなく、腕や足の付け根から動かす意識を小さい頃から身に付けて胴体を動かせるようにしておくとよいでしょう。腕力や脚力がついてくる頃には、もう遅くなってしまいます。
子どもが小さい頃は、運動がうまくできなくても構いません。それより、身体(胴体)をいっぱい使って遊んでほしいものです。
胴体を利用した動きが身についていれば、後の運動能力に繋がるでしょう。つまり小さい頃には、体幹を鍛えるトレーニングではなく、腕や足の付け根を意識した動きができる“体幹遊び”を仕向けておくことが大切なのです。