現役インストラクターが明かすキッズダンス上達のコツ (2/2)

達成感を得ることで自信を持った子どもは大きく成長

「ダンスを習う際にもう1つ障害となるのが、恥ずかしいという感情です。TK DANCEでは、音楽に合わせて自分の好きなポーズを自由に取らせます。鏡を見ながら笑顔で手を振って歩いたり、基本のサイドステップから手拍子を入れて好きなポーズを取ったり。そうすることで恥ずかしいという感覚が消え、のびのびと表現できるようになります。楽しく練習をすることが大事。私は俳優の振り付け指導も行っていますが、大人だって最初のうちは恥ずかしがってできないんです」（久美子さん）

▲普段のレッスン風景

▲180度の開脚も全員マスター

　そして、日々の練習に加えて、子どもを大きく成長させる要素が達成感です。達成感を得ることで自信がつき、責任感も育まれます。

「1回でもステージを経験すると、目に見えて子どもたちは変わりますね。イベントやコンクールでダンスをするときは、ディズニーランドの例えを出します。『ディズニーのダンサーは冬でも寒いと言わずに、お客さんの前で楽しそうに踊ってるでしょ。みんながディズニーのダンサーを見るように、今度はお客さんがみんなのダンスを見るんだからね』と話すと、子どもの意識が変わってきます」（久美子さん）

▲TK DANCE20周年発表会の様子

「イベント後には必ず親御さんに子どもを誉めるよう伝えます。上手く踊れなかった場合でも、それは本人が1番よくわかっているから、親はフォロー役にまわってもらうんです。そして、子どもたちには準備と片付けをしてくれた親への『ありがとう』と、家で必ず1つ手伝いをすることを約束させます」（久美子さん）

ダンスを学ぶことで得られるもの

　久美子さんの長女である梨緒奈さんは、女優として『セーラームーン』シリーズや『少女革命ウテナ』などの2.5次元舞台を中心に活躍しています。2歳のころから踊り始めて、23歳にしてダンス歴は20年以上。ダンスのインストラクターとして心がけていることを聞いてみました。

「生徒としていろいろな先生と接してきた経験から、教え方がわかりやすい人とそうでない人はすぐにわかるんです。自分が教えるときも細かい体重の移動や、部位を動かすタイミングについては、わかりやすく教えるよう心がけています。舞台でも振り付けの仕事をしていますが、初心者に対しては、どの振りをどのように見せれば効果的なのかを指導します」（梨緒奈さん）

　では、ダンスの経験は女優業にどのように役立っているのでしょうか。

「舞台やミュージカルの仕事が多いので、やっぱりダンスは誉めていただけますね。踊れた方が見栄えもいいですし。子どものころから母には姿勢のことを言われてましたね。あ、でも姿勢は最初からよかったかな（笑）？」（梨緒奈さん）

「いやいや、それはない（笑）。この子は舞台人に育てようと決めていたので、家でも食事中に猫背だったら姿勢を正すように背中を叩いたり（笑）。うちの生徒はみんなどこに行ってもあいさつや姿勢のよさについて誉められます。立ち振る舞いや姿勢、あいさつなどの礼儀作法を身につければ、それは一生役に立ちますから」（久美子さん）

　昔と比べて、子どもが思いっきり遊べる場所が減少した現代。室内の限られたスペースで全身運動のできるダンスは、そんな現代の子どもにふさわしいスポーツと言えるでしょう。他のスポーツでも応用できる身体能力に加え、所作や礼儀作法、仲間とのコミュニケーション力なども身につくダンス。ダンスが苦手なお子さんがいたら、親子で一緒に遊びを通した練習から始めてみてください。

［プロフィール］

右／立道久美子（たてみち・くみこ）
TK DANCE 主宰。1998年、さいたま市春岡幼稚園内にてTK DANCEを立ちあげ、数多くの子どもたちを指導。ダンスユニットやライブアイドルの振付、俳優や声優のダンス指導も行っている。
【TK☆DANCE Blog 】
https://ameblo.jp/tk-dance-com/
【TK☆DANCE Twitter】
https://mobile.twitter.com/tk_dance1998
【立道久美子 Twitter】
https://mobile.twitter.com/tkkumi

左／立道梨緒奈（たてみち・りおな）
ATプロダクション所属。女優、ダンサー、振り付け師。TK DANCEのインストラクターとしても活躍。ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』、『少女革命ウテナ』、舞台『BRAVE10』などに出演。
【立道梨緒奈オフィシャルBlog】
https://ameblo.jp/tatemichiriona/
【立道梨緒奈 Twitter】
https://mobile.twitter.com/riona_tatemichi