なぜ手は“第二の脳”と呼ばれるのか。子どもの脳の活性化を促す「手遊びトレーニング」 (1/2)
「第2の脳」と言われる「手」。手を使ったトレーニング(以下、手遊びトレーニング)を行っていると、脳が活性化するというのはご存知でしょうか。
幼児・高校の体育指導などを通してさまざまな子どもたちのスポーツ教育に携わってきた筆者は、授業などで“手遊びトレーニング”を取り入れてきました。
私の経験上、手遊びトレーニングが上達しやすい人ほど、学力レベルが高い傾向にあると感じています。手遊びトレーニングと学力の関係を断言することはできませんが、いろいろなことに手を使うのは、脳の発達にもよいのではないでしょうか。
ここでは手を使うことについて科学的観点から捉え、いくつか手遊びトレーニングをご紹介していきます。ぜひ、チャレンジしてみてください。
なぜ手は「第2の脳」と言われるのか
まず、手が「第2の脳」と言われる理由から探ってみましょう。
脳は指令を出して体を動かしたり、体からの指令を受けて感覚を感じたりしています。しかし体の面積と脳の面積は、比例しているわけではありません。体では狭い範囲の感覚でも、脳では広い範囲で感じ取っていたり、逆に体では広い範囲で感じても、脳では狭い範囲での感覚を捉えることもあります。
少し実験してみましょう。後ろから、何本かの指で背中を1度に突いてもらってください。その本数を当てるだけですので、何回かやってみてください。
はたして、正確に答えることができるでしょうか。
おそらく、難しかったかと思います。
背中は、体においては広範囲ですが、脳では狭範囲なのです。
脳にとって手は広範囲の存在
一方で、手は体においては狭範囲ですが、脳だと広範囲に渡っています。つまり手を使うと脳の広範囲を刺激し、活性化できるということ。
ちなみに、脳のどの部分がどのくらい体を担当しているか地図にしたものを、「ペンフィールドの脳マップ」といいます。
「家事や農作業をしなくなったら認知症になってしまった」という話をよく聞きます。
また、保育現場でも、興奮している子どもを落ち着かせ、話に集中できるよう手遊びを導入しています。左右で異なる動きをする手遊びは、脳を活性化させるのに効果的です。
具体的な手遊びトレーニングを紹介していきましょう。