インタビュー
2018年9月28日

高校ダンス部を通じて学べることってなんですか? 強豪校コーチに聞きました (3/3)

ダンス部の活動を通じて学べることとは?

――練習について教えてください。毎日、何時間くらい行っているのですか?

練習は週に5日です。月曜日はお休みで、日曜日も大会前などでない限り、基本的に休みます。高校生なのでテスト期間などもお休みになります。放課後の練習は2時間で、土曜日は3時間半です。

――コーチとして、どんなところに気をつけていますか?

人として自立してほしいので、返事が小さかったら「声、小さいよ」とうるさく言いますね。あいさつも重視しています。先輩、後輩の序列も学んでほしいので、特に1年生の最初のころは厳しく注意をしますよ。中学生から高校生になって、最初は戸惑う子もいますが、7月に合宿があり、朝から晩まで先生やコーチ、先輩と一緒に過ごすので、そこで礼儀はだいぶ身についてきます。

――ダンス部の活動を通して、高校生たちが学べることを教えてください。

部活なので、2年間から3年間、同じ仲間と、同じ作品に取り組んでいけます。それはダンススクールでは体験できないことです。ひとつの作品に対して細かい動きまで突き詰めていくことも、普通のダンススクールではできません。なので、団結力や達成感を体験できることは、高校の部活ならではだと思います。

――協調性という面ではどうでしょう。たとえば学年で1人だけダンスがずば抜けて上手な子がいたら、チームとしてどう指導するのですか?

まず、そういう子が学年に1人でもいると、みんながその子についていこうとするので、ダンスがうまい子はいた方がいいですね。うまい子にレベルを落とさせてみんなに合わせることは絶対にさせないので、全員を1番うまい子のレベルまで押し上げることになります。そのうえで、団体で活動をしていく部活なので、協調性が大切になります。一人ひとりのお互いを思いやる気持ちも大事です。

――実際に、思いやりがある生徒が集まっているダンス部は、大会でも結果を残していますか?

そうだと思います。いくらダンスがうまくても、自分勝手に踊っているだけでは、チームとしては成り立ちません。たまに「あの子、うまいな」という子がいるのですが、1人だけを目で追ってしまうと、チームとしてみることができなくなります。その子だけがうまく踊るのではなくて、その子がいかに周囲をうまくさせるかということも大事です。

――ダンス部の生徒たちには、どんな大人になってほしいですか?

大人になってもダンスは続けてほしいと思っているのですが、ダンスを続けなかったとしても、あいさつや返事など、ダンス部で学んだ基本的なことを生かして、自立した大人になってほしいなと思います。そして、大人になっても、思いやりのある人間になってほしいですね。

[プロフィール]
Tomoko
東京都調布市出身。5歳の頃にクラシックバレエのスクールに入り、小学4年生からジャズダンスとヒップホップダンスも学ぶ。狛江高校に進学した後はダンススクールに通いながらダンス部に入り、2年生の頃は部長に。高校卒業後はダンスの専門学校に通い、プロのダンサーとして活躍。現在、アーティストのバックダンサーやCM・MV・ショーに出演するほか、ダンススクールのインストラクターやダンスの専門学校の講師も務める。

<Text & Photo:竹内みちまろ(H14)/取材協力:東京都立狛江高校>

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