インタビュー
2019年5月8日

足が遅くても体が小さくても、自分の可能性にふたをしないでここまで来ました。川崎フロンターレ・中村憲剛(後編)│子どもの頃こんな習い事してました #22 (3/4)

――お子さんに「俺の息子だからできる」あるいは「俺の息子なのになぜできない」と言ってしまうことは?

言ったことはありません。だって彼は俺じゃないから。たまに本人に「プレッシャーはないの?」と聞くこともありますが、あまり気にしていない様子。年齢的にこれからかもしれないですね。うちの息子は俺に似て小さいけれど、「焦らなくていいよ、自分の頭の中のことと自分が見えているものを大事にしなさい」という話をしています。

子どもは話をすることが大事。親が一方的に話すのではなく、本人に今何を考えているのか、何ができて何ができないか聞き出す。「わかんない」とか「まあまあ」とか、適当な答えが返ってくることも多いけど、「ちゃんと言いなさい」と考えを言語化させるように心がけています。自分の考えを伝え、相手の考えを聞いてすり合わせて高めていくのがサッカーですから。それを親子間でも行うようにしています。

……というと、ものすごくいい親っぽく聞こえますけど、そうでもないです。気分で怒るときもありますし、子どもの寝顔を見ながらそれを反省することもよくある。みんなそんなもんですよね?

自分で自分の可能性にふたをしないように

――この4月から中学1〜2年生を対象としたサッカースクール「KENGO academy School」を開校し、子どもたちの育成にも乗り出しています。

まだ現役ということもあり毎回必ず行けるわけではないのですが、できる限り直接指導する予定です。行けないときは、練習の様子をビデオに撮ってもらって見るようにしています。名前だけ貸しているスクールではなく、実際に深く関わっています。サッカー部の子、クラブチームの子、あるいはサッカーをしたくてもできない未所属の子もフォローしてそれぞれ技術を伸ばせるようなスクールを目指しています。

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