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  • 身体能力の高さじゃない。“駆け引き”の中におもしろさがある。現役早稲田大生アスリートのフェンシング・狩野愛巳(前編)

身体能力の高さじゃない。“駆け引き”の中におもしろさがある。現役早稲田大生アスリートのフェンシング・狩野愛巳(前編)

 東京オリンピックまであと2年となり、日本のスポーツ業界は少しずつ盛り上がりを見せています。各競技で代表入りやメダル獲得を目指し、トップアスリートたちの戦いはよりヒートアップすることでしょう。

 今回取材したフェンシングの狩野愛巳選手も、そんなアスリートの1人。21歳ながらも女子フルーレで日本人最高位(2018年3月時点)に位置し、その活躍に期待が向けられています。

 狩野選手の打ち込むフェンシングには、いったいどんな魅力が秘められているのでしょうか。競技との出会いやこれまでの取り組みなどを踏まえ、お話を伺いました。

父親の影響で小学生から始めたフェンシング

 もともと父親がフェンシング競技者で、その影響から始めたという狩野選手。幼児期はとくに運動などしていなかったそうですが、最初から競技にハマったといいます。

「最初はおもちゃのような剣でした。ちゃんと突くと音が鳴ったり、実践用の剣では光ったり。自分がやったことが目に見えるのはおもしろかったですね。小学校4年生までは土日にクラブチームへ通っていましたが、競技というより遊ぶような感覚でした。でも、小学校3年生で出場した全小大会の3位という結果が悔しくて……。それ以後は毎日のように体育館を借り、お父さんとマンツーマンで練習するようになったんです」

 小さい頃からフェンシングを始める子は、まだまだ少ない。だからこそ小学生時代から大きな大会に出場する機会にも恵まれ、悔しさ、そしてうれしさを積み重ねながら競技にハマるキッカケが得られたのかもしれません。

「フェンシングは、ただ身体能力が高いだけで勝てる競技ではありません。それぞれの個性が活きる競技で、本当にいろいろなタイプの選手がいるんです。たとえば運動が苦手という子でも、駆け引きや分析に長けていれば勝てるかもしれない。ですから、ぜひいろんな子に、早いうちからフェンシングを体験してみてほしいですね」

 チャンバラで遊ぶような感覚でも、フェンシングの楽しさを知るには十分。スポーツでありながら、身体能力だけの勝負ではないという点は意外かもしれません。しかし自分自身が小さい頃から競技に触れ、そして世界を舞台に多くの選手と対戦してきた狩野選手だからこそ、その言葉には説得力があります。

“駆け引き”の中におもしろさがある

 1対1の対人競技。当然ながらその場で決着がつき、その瞬間におもしろさがあります。しかしフェンシングが持つ1番の魅力は、“駆け引き”の中にこそあるのだと狩野選手は話してくれました。

「フェンシングは心理戦なんです。相手がどう突いてきて、どう避けるのか。それを予測してこちらも突き、その駆け引きの結果が勝敗を分けます。そこには成長の終わりがなく、やればやった分だけ伸びていける。とても伸びしろが大きい競技なんです。逆に、ちょっとした精神状態で、大番狂わせが起きることも。たとえばフェンシングは先に15ポイント先取した方が勝ちなんですが、14ポイントまでいってひっくり返されてしまう……なんていうことも珍しくありません」

 精神面が競技に大きく影響するフェンシング。いくら技術を磨いても、その瞬間の状態で崩れてしまうことがあるそう。だからこそ狩野選手は、ご自身も心理サポートを受けているのだとか。どんな条件が揃ったときに、もっともいい結果が出せるのか。相手選手はもちろん、自分自身と向き合う競技といえるのではないでしょうか。

「できるだけ感情的にならないよう、よく考えるようにしています。その点で、自己分析はとても大切ですね。高校時代まではみんなに認められて、守られてきました。でも大学に入ると、周囲からいろいろな意見を受けるんです。その意見1つ1つが貴重で、たとえば自分は自我が強かったのだとか、さまざまな気づきが得られます。自分を客観視することって、とても大切ですね」

 自分自身と向き合い、強さだけでなく弱さも知ること。そのうえで、勝つためにどうすればいいのかを考える。競技を通じて、人としても大きく成長できるスポーツといえそうです。

文武両道! わずかな時間も無駄にしない

 現在、早稲田大学スポーツ科学部に在籍している狩野選手。学生アスリートといえば、やはり学業との両立が課題となることでしょう。まして海外遠征ともなれば、長期不在も避けられません。

「とくに勉強が大変だったのは高校時代。テスト前なんて、つねに先生に張りつきながら勉強していましたね。いくら競技のためとはいえ学業をおろそかにはできませんから、できるだけ遅れないように。遠征中は友達にプリントをデータで送ってもらい、iPadを使って空いた時間に勉強することもあります。通常なら練習は午前・午後でそれぞれ約3時間ずつ。遊んでいる時間すらもったいないので、文武両道のためにはわずかな時間も無駄にできません」

 現在在籍している早稲田大学。子どもの頃からその明るく自由な校風に魅力を感じ、入学したいと思っていたそう。目標に向けてひたむきに努力できる姿勢は、競技のみならず学業の面でも活きているようです。

後編: 観た人が力をもらえる、そんなフェンシングがしたい。東京五輪目指すフェンシング・狩野愛巳(後編)

[プロフィール]
狩野愛巳(かの・みなみ)
1996年11月生まれ、宮城県利府町出身。早稲田大学スポーツ科学部在籍。平成28年度、日本オリンピック委員会オリンピック強化指定のフェンシング選手。小学1年生からフェンシングを始め、世界選手権など世界を舞台に活躍する。現在、女子フルーレで日本人最高位。
【HP】https://www.kanomina.jp/

[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】https://www.run-writer.com

<Text & Photo:三河賢文>

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