インタビュー
2018年12月26日

フルマラソン中に疲労骨折。シンガーソングライター・川嶋あいが失敗から学んだランニングを楽しく続ける方法 (1/3)

 I WiSHのボーカルとしてデビュー。その後はソロとして活動し「My Love」「compass」などの代表曲をもつシンガーソングライター・川嶋あいさん。実はマラソンが趣味の“ランニング女子”という一面をもっています。初出場した2012年の「神戸マラソン」では4時間10分で走り切り、「福岡マラソン2015」も4時間5分で完走。そんなマラソン歴を持つ川嶋さんにはランニングで失敗した過去があるそう。トレーニングのやりすぎで3度の疲労骨折を経験し、3回目の骨折は「福岡マラソン」のレース中の出来事でした。

 市民ランナーの方でもトレーニングのやりすぎで体を壊してしまった経験を持つ方が多いのではないでしょうか。今回は、ケガをしない体づくりを研究し、現在も週4回もジムで走っている川嶋さんに、ランニングを楽しく続けるコツや、失敗から学んだことを伺いました。

運動と縁がなかったのにランニングにのめり込む

――2012年の「神戸マラソン」が初のフルマラソン挑戦とのことですが、そもそも走り始めたきっかけは何だったのでしょう?

実はランニングをはじめる以前は、積極的にスポーツをするタイプではありませんでした。学生時代、運動部に所属していなかったのでスポーツ経験は少ないです。体を動かすことも苦手だし面倒くさいし、というタイプでした。

そんな私を見かねたスタッフの1人からジムに誘われて行ってみたのですが、まったく体力がなかったのでかなり辛かったんです。「マシーンで10分だけ走ってみよう」と思って挑戦するのですが、2分も走れなくて(笑)。

――フルマラソンを完走した人とは思えませんね(笑)。

最初はぜんぜん走れなかったのですが、それがだんだん、5分間だけは走れるようになって……。その繰り返しで、気が付いたら1キロ走れるようになっていました。そうしたら、走ることが楽しくなっていったんです。それまで趣味というものを持ったことがなかったのですが、初めて打ち込めるものを見つけた感覚がうれしくて、ジムに本格的に通い始めました。それが2010年頃です。

――それで2012年の「神戸マラソン」に挑戦したんですね。ジム以外の場所で走りますか?

実は私、ジムでしか走らないんです。ジムだと1年中、快適な温度で走れるので。「神戸マラソン」の前も、外で走りませんでした。練習もぜんぜんできなかったですし、とりあえず制限時間ギリギリでもいいからゴールできればいいと思っていました。

――それでも完走はすごいですね。

歩かなかった自分にビックリしました。「神戸マラソン」のときは、走り始めてからずっと、「つらいな」「歩きたいな」と思っていました。そう思う自分をいかに奮い立たせて、足を一歩、前に出させるか。マラソンは本当に、孤独な戦いですよね。

ずっと無心にはなれないこともマラソンだなと思います。いろんなことを考えないといけないじゃないですか。「もうちょっとしたら歩こう」とか「あの電信柱まで行ったら立ち止まろうかな」とか。その繰り返しが永遠と思えるほど続くんですが、そういった自分と向き合う時間を乗り越えて、気が付けば、42.195キロが目の前にあって、ゴールにたどり着くという感じです。

――ゴールしたときはどんな心境だったのでしょう。

高揚感がすさまじかったです。これまでの人生であんな高揚感は味わったことはありませんでした。マラソンは、もちろんアーティスト活動とは違います。何といいますか、自分だけがものすごく気持ちよくなれるといいますか。ゴールできた瞬間に感じるあの高揚感を経験してしまうと、また走りたいと思うようになってしまう。マラソンに本当にのめり込んでいったのは、私の場合、2012年の「神戸マラソン」からでした。今では、こんなにマラソンが好きになってしまったことに、自分が一番驚いています(笑)。

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