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ビートたけしと森山未來の名演で浮かび上がる、天才落語家・古今亭志ん生の姿。落語指導・古今亭菊之丞が語る『いだてん』の魅力 (1/3)

 破天荒な天才落語家・古今亭志ん生(ビートたけし)が、絶妙な噺でストーリーを導く大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』。今回、落語と江戸ことばの指導を担当している古今亭菊之丞さんの合同インタビューから、落語を切り口とした「いだてん」の楽しみ方をお届けします。

[プロフィール]
古今亭菊之丞(ここんてい・きくのじょう)/1972年、東京都生まれ。高校卒業後、二代目古今亭圓菊の門下となり、菊之丞を名乗る。1994年に二ツ目に昇進、2002年、NHK新人演芸大賞・落語部門大賞受賞。2003年、初代古今亭菊之丞として真打昇進。さわやかな口跡、色気と艶のある高座で“江戸の匂い”を感じさせる、人気と実力を兼ね備えた本格派。

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思わず引き込まれる落語のシーンが誕生するまで

――古今亭志ん生が大河ドラマをナビゲートするというドラマの構成をお聞きになったとき、どう思われましたか? また、どのように落語指導をされているのか教えてください。

志ん生が架空の落語『東京オリムピック噺』を語るという設定は、古今亭の人間としてありがたいことだという感謝の念がありました。志ん生が亡くなったのが昭和48年(1973年)ですから、昭和47年生まれの私は志ん生を知るはずもないのですが、私の師匠の圓菊は志ん生に教えを受けてきた人なので、うちの師匠を通してDNAは受け継がれていると思っています。

落語家の稽古は、見て聞いて覚えてから師匠の前でやってみて、そこが違う、あそこをこうして、と師匠に直してもらいます。役者さんには、言葉のイントネーションから、「どっちを向いて、目線はここで」とか、「ここはこんな気持ちで」という感じで。自分の弟子に教えるよりは丁寧ですね。

――落語のシーンは、どのようにして生まれるのですか。

脚本の宮藤官九郎先生は落語をよくご存じで、しっかり調べて書かれています。台本になる前に持ってきてくださるので、しゃべりにくい箇所など落語の部分だけは私が直します。ものすごいことですよね、宮藤先生の本を私が直すなんて(笑)。

そのあとようやく台本が上がってくるのですが、撮影に必要なシーンだけでその前後がないと、どういう流れの中のカットなのかがわかりません。だから、ワンシーンを撮るために、役者さんにはその前後まで演じてもらっています。そのほうがしゃべりやすいし、流れの中で覚えたほうが自然です。使わない部分のセリフまで覚えなくちゃいけませんから、役者さんは大変ですけど。

--そのためでしょうか、落語シーンは臨場感がありますね。

セットも凝っていて、さすが大河ドラマだと思います。カメラに絶対に映らない細部に至るまで。新宿の末廣亭より立派です(笑)。寄席監修の橘右樂師匠と、ここに本当にお客様を入れて寄席をやってみたいよね、と話すほど素晴らしい。その中に、エキストラのお客様が60人ぐらいいて、自然に湧きあがる笑いの中でたけしさん演じる志ん生の語りを聞くと実におもしろくて、さすが宮藤先生のご本だなという気がします。

▲古今亭志ん生を演じるビートたけしさん

――役者さんに稽古をつけていて、気づいたことや驚いたことはありますか。

落語には、何人もの人物が出てきます。役者さんは1人のセリフを言い終えたらブレスをして、次の人のセリフを話し始めるんですが、落語家は違うんです。2人分の言葉をひと息で言う。だから、落語独特のテンポのよさが生まれるのだと気づきました。

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