2019年1月1日

日本オリンピック史を描く大河ドラマ『いだてん』がついに開幕へ!中村勘九郎&阿部サダヲが語る作品の魅力とは (1/5)

 2019年大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』がいよいよ、1月6日(日)からスタートします。主人公は、日本で初めてオリンピックに参加した「日本マラソンの父」こと金栗四三(かなくり・しそう)と、1964年東京オリンピック招致に尽力した田畑政治(たばた ・まさじ)。金栗役は中村勘九郎さんが、田畑役は阿部サダヲさんが務めます。

 この2人の主人公を中心とした物語を、笑いあり涙ありの“大河ドラマ”にまとめ上げたのは、脚本家の宮藤官九郎さん。果たして、どんなクドカンワールドが繰り広げられるのでしょうか? 本稿ではストーリーを整理しつつ、中村勘九郎さん、阿部サダヲさんによる取材会の模様をたっぷり紹介していきます。

金栗さんって走ることしか考えていないんだなって

 金栗四三は1891年(明治24年)に熊本県玉名市で生まれました。このドラマのタイトル「いだてん」は、そんな彼の敬称である“韋駄天”(=足の速い神)に由来しています。ではどのくらい韋駄天だったのか? それはストックホルムオリンピックの前年、彼が20歳の頃(1911年、明治44年)に出場したマラソンの予選会で、驚きの世界記録を樹立したというエピソードが物語っています。オリンピックという言葉も知らない青年が、マラソン足袋で走って打ち立てた快挙でした。

 中村勘九郎さん、阿部サダヲさんは、そんな“偉人だけれど、どこか変わっている”ところがおもしろいと話します。

▲金栗四三を演じる中村勘九郎さん

中村勘九郎(金栗四三役):
本を読んで思ったのは、金栗さんって走ることしか考えていないんだなってこと。熊本弁で「とつけむにゃあ」と言うんですが、「とんでもない」という意味。それが一貫している。だから演じていても楽しい。マラソンのことだけ考えて生きていると、周りが助けてくれるんです。彼のそんな人間くさいところがおもしろくて――。

田畑さんはとっても頭の良い人。そしてプロデュース能力もある

▲阿部サダヲさんが演じる田畑政治(写真左)。隣は松重豊さんが演じる東龍太郎(当時の東京都知事)

 一方で、田畑政治は1898年(明治31年)に静岡県浜松市で生まれました。新聞社で政治記者として勤めながら、地元の浜名湾で水泳コーチも担当。1932年のロサンゼルスオリンピックでは、水泳日本代表の監督も務めています。彼の情熱は、ほどなくして「東京オリンピック」の実現に傾けられていくのですが……。

阿部サダヲ(田畑政治役):
田畑さんは、もともと記者の方。とっても頭の回転の速い人で、語彙力もある。そしてプロデュース能力もあった。でもやっぱり、常識的ではないところがあるんですね。偉い人のところに押しかけて直談判したり。周りの人も止めるのが大変だったんじゃないかなぁ。どこにも噛み付いていく、珍しいキャラクターなんです。しかし憎めない。お茶の間でも、そう思いながら見ていただきたいです。

 中村さん、阿部さんは次の観点からも金栗、田畑の両氏のキャラクターの違いについて説明します。

中村勘九郎(金栗四三役):
2人はセリフの量が全然、違いますよね。僕は走ってばかり。田畑さんは1回だけで、金栗さんの24回分くらい話しているんじゃないですか。

阿部サダヲ(田畑政治役):
そう、僕は呼吸を忘れてひたすら話し続けます。これ、どうやったら息継ぎできるんだ、というくらいしゃべります。

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