〈野球×デジタル〉『福岡ソフトバンクホークス』がiPhone&iPadで試合に勝つ方法【デジタルでスポーツの勝利をつかむ #2】
iPhone&iPadを日本で最初に扱った通信キャリアといえば? 当然ソフトバンクモバイルであることは多くの人の記憶に新しいだろう。もはや説明はいらないと思うが、現在では3キャリアすべてで扱っているだけでなく、MVNO用の端末としても利用される人気スマートフォン&タブレットである。
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では、もう一つ質問。プロ野球でいち早くiPhone&iPadを活用したチームはどこだろうか? それもパ・リーグの常勝軍団であり、毎年優勝争いに絡んでくることでおなじみの『福岡ソフトバンクホークス』である。第2回では、そんな『福岡ソフトバンクホークス』がiPhone&iPadで試合に勝つ方法をみていこう。
ソフトバンクの選手全員にiPhoneとiPadを配布
プロ野球の世界にもITとスポーツの密接なつながりが見られる。『福岡ソフトバンクホークス』は2009年にiPhoneを、2011年にはiPadを全選手に配布した。これは選手の練習環境充実策の一環として取り組みを開始し、通信会社が親会社ということもあり、プロ野球界でいち早くITを活用しようとする意図があった。
プロ野球とはいえ、以前から試合結果はスコアブックに記録していたが、データをデジタル化したことで、選手が知りたい情報を探す手間も減り、実際の映像で内容を確認できるようになった。iPhoneとiPadなら、場所を選ばず情報を閲覧できるところが大きなメリットであることは明らかだろう。
▲自身の投球フォーム確認や対戦バッターたちとの相性のいい配球などを事前に分析する
実際に試合の分析・対策、練習にも活用されており、選手・ポジション・コーチ専用のアプリを独自開発。アプリ画面を紹介しているように、「試合動画」「チーム予定表」「共有資料」「練習メニュー資料」といった項目は、サーバー上に自動的にアップデートされ、選手はデータにアクセスするだけで、常に最新情報を得ることができる。多くの選手がロッカールームや移動中のバスや自宅などでチェックしているらしい。
▲シンプルなUIながら情報が整理されていて非常に見やすい。ホーム・ビジター問わず、ストレスなく映像検索ができるという点では、メンタル面でも大きな変化をもたらしている。他球団の映像も見られるので、研究の仕方も個人で違ってくる。
【iPhone&iPadどう活用してる?】
①他球団も含めた試合動画をチェック
②チーム予定や練習メニューなどのスケジュール管理
③過去の成績といったスコアを調べられる!
④自身の打撃・投球フォームが見られる
順次アップデートするアプリ! その効果は如実に現れる
例えば専用アプリでは、明日対戦予定のピッチャーとの過去の対戦成績、直近の試合映像を見ることができるという。「どんな攻め方をされたか」「どの球が打ちやすいか」など、配球を見て戦略を立てるといった方法が取れ、より効率的かつ緻密に対策を練ることができるというわけだ。その効果が気になるところだが、ホークスファンならば何を今さらと言わんばかりの以下の快進撃。
▲チーム一のガッツマンでありムードメーカーでもある“熱男”こと松田宣浩選手。侍JAPANでも活躍する松田選手も当然iPhone&iPadを活用している
【IT活用時期と球団成績の相関関係】
(2009年/iPhone導入、2011年/iPad導入)
■リーグ優勝→全4回(2009年/2011年/2014年/2015年)
■日本一 →全3回(2011年/2014年/2015年)
iPhone&iPadが導入されてからというもの、リーグ優勝は全4回、日本一には3回も輝いているのだ。ちなみにそれ以前のリーグ優勝、そして日本一に輝いたのが2003年ということを考えると、もちろん全てがデジタル化のおかげではないにしろ、少なくともiPhone&iPadの導入が、チームを常勝軍団へと押し上げた一つの要因であると言っても過言ではないだろう。
どちらのデバイスも選手にとって、もはや頭脳になっており、理想の打撃・投球フォームを追求することひとつをとっても、欠かせないアイテムになりつつある。さらに導入から進化した点もある。3年前より2軍などのファームにおける動画の閲覧も可能になったというのだ。
アプリはソフトウェアなので、選手やフロントなどの意見を取り入れながら段階的にリニューアルされ、使い勝手の向上が日々図られているという。これだけ積極的にITを使いこなせるのは、親会社であるソフトバンクの影響も大きいだろうが、練習・試合対策のデジタル化による効率アップが、チームを強くしていることは間違いない。
最後に実際にデジタルの効果を体感している選手に、iPhone&iPad導入がもたらす効果についてのコメントをもらいました。
#12 髙谷裕亮 捕手
「キャッチャーというポジション柄、相手投手だけではなく、バッテリー目線で相手打者の研究は必須なので、遠征中の移動では常に見ているし、チームでも一番アプリを活用しているんじゃないですか?」
#43 江川智晃 外野手
「次に対戦するチームの先発ピッチャーの直近の試合・過去の対戦映像が個人別で閲覧できるのがすごく便利です。 練習前後のロッカーでも細目にチェックしています」
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<Text:三宅隆、滝田勝紀/Edit:アート・サプライ>
【取材協力・写真提供】福岡ソフトバンクホークス