オリンピック種目「スポーツクライミング」とは。どんな競技?種類と歴史、見どころポイント (2/2)
スポーツクライミングの競技は3種類
2020年の東京オリンピックから正式競技となったスポーツクライミングには、「ボルダリング」「リード」「スピード」の3種目があり、オリンピックもこれらの種目の成績を総合して最終順位を決定する複合種目としておこなわれます。
歴史的にはスピードが最も古く、1940年代末から1950年代の初めにかけて旧ソ連で行なわれるようになりました。ボルダリングは、1990年代末に追加されました。身近で体験しやすく、ジムなども増えてきたので名前も聞き慣れてきた感じもしますが、残りのリードとスピードは聞き慣れないと思います。すべて壁をよじ登る競技ですが、設備やルールなどが微妙に異なりますので下にまとめました。
最低限のルールを覚えておくと、自分で体験してみたくなったり、東京オリンピックでの観戦が楽しくなるかもしれません。
スポーツクライミング3種目の見どころとポイント
ボルダリング
高さ5m以下の壁を、壁の下にマットを設置して安全確保して登る。あらかじめ設定された複数の課題(ルート)を一つずつ制限時間内にトライしていき、いくつのルートを完登(クリア)できたかで勝敗を決める。より多くの課題をクリアした人が勝者となる。課題数は予選が5、準決勝以後が4。
リード
高さ12m以上の壁を、安全確保のためのロープを中間支点に通しながら登り、どこまで登れたかを競う。制限時間は6分。
▲写真提供/日本山岳・スポーツクライミング協会
スピード
高さ15mの壁をどれだけ早く登れるか、そのスピードを競う。安全確保は上からたらされたロープ(トップロープ)でおこなう。すべての大会、すべてのラウンドでまったく同じルートが使われるため、世界記録も認定される。
決勝は2本のルートを使い、一度に2人の選手が登場して対戦する勝ち抜き戦で行なう。
▲写真提供/日本山岳・スポーツクライミング協会
東京オリンピックでは日本選手のメダルに期待
日本ではまだ競技人口も多くはなく、マイナースポーツの枠を出ないスポーツクライミングですが、実は世界的な強豪を多く輩出している国のひとつです。古くは1998年と2000年のリードのワールドカップで平山ユージ(裕示)選手が年間優勝。
その後、ボルダリングでは野口啓代選手が2014年、15年と連続でワールドカップで年間優勝しています。最近でも、2016年の世界選手権のボルダリングで楢崎智亜選手が優勝。世界選手権の優勝は、日本人初の快挙でした。
東京オリンピック正式種目入りということもあって、こうした有力選手のますますの活躍が期待されます。そういった選手の活躍から、スポーツクライミング自体のすそ野もさらに広がっていくのではないでしょうか。
[監修] 公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会
https://www.jma-sangaku.or.jp/
<Text:瀬戸嶋 勝+アート・サプライ/Photo:Getty Images>