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世界遺産から日本海へと走る『第5回 白山白川郷ウルトラマラソン』大会レポ

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 全国各地で増えつつあるウルトラマラソン大会。ランナーの中には、「いつか挑戦してみたい」と考えている方がいるかもしれません。どうせ走るなら、ぜひ自然豊かて変化に富んだコースがオススメです。

 例えば、世界遺産を舞台とした大会なんていかがでしょうか。9月10日に開催された『第5回 白山白川郷ウルトラマラソン』は世界遺産である白川郷をスタートし、日本海へと向けて走るウルトラマラソン大会です。

 部門は100kmと70kmの2つあり、私は100kmの部へ参加してきました。今回から新しくなったレースコースと共に、その魅力をご覧ください。

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ランナーを待ち受ける前後2つの難関

 白山白川郷ウルトラマラソンは、アップダウンの多い大会として知られています。その所以が、途中で経由する『白山白川郷ホワイトロード』(以下、ホワイトロード)。最高点1,445mという山岳道です。

 昨年までは尾口市民サービスセンターを発着点として、このホワイトロードを通り白川郷へ往復するコースでした。これが今回からスタート地点を白川郷へと変え、日本海(白山市街)へと抜けることに。そのためホワイトロードは一度しか通らず、アップダウンの面では過酷さが減っています。しかしアップダウンこそ減ったものの、ランナーには新たなる難関が待ち受けていました。まずは実際のコースについて、前半・後半に分けてご紹介しましょう。

急坂の立ちはだかる前半戦

 スタートは朝5時、白川郷にある『寺尾防災グラウンド』です。付近に宿泊している方はもちろん、ゴール地点である松任総合運動公園(駐車場あり、JR松任駅より徒歩圏)からツアーバスも出ていました。

 スタートすると、趣ある建物が並ぶ白川郷を走ります。早朝で薄暗いのが少し残念ですが、その雰囲気はまさに独特。ランナーの中には、立ち止まって写真撮影する方が少なくありません。この白川郷は世界遺産として登録されている地域のため、参加者にとって観光も1つの目的となっているのでしょう。

 いよいよホワイトロードの入口。到着する頃には、すっかり明るくなっています。標高が高いことから、気温は約15度。半袖で立ち止まると、少し肌寒さを感じるほどでした。しかし、走るには最適なコンディションと言えるでしょう。

 ホワイトロードに入ると、約10km続く上り坂が待っています。序盤にも関わらず、「これはキツイ」と歩き始める方もチラホラ。走れないことはないものの、先を考えると歩いた方が良いのでは……、そう思わせられるような上り坂でした。

 コース最高点に到着したのが、約20km走った頃。ちゃんと看板が置かれています。ここまで来れば、あとは登った分だけ下るのみ。皆さん「やっと登ったぞ!」といった表情で、力強くペースを挙げ始めたのが印象的でした。

 ホワイトロード出口までは、急な下り坂が続きます。ここでペースを上げ過ぎてしまい、後半で脚が動かなくなった……、なんていう方がいたかもしれません。

 やがて時間の経過と共に標高が低くなり、少しずつ“暑さ”が感じられるようになります。下り坂で風を受けている間は良いのですが、これが後半になって、大勢のランナーを苦しめるのでした。

 ホワイトロードを出てすぐに現れるのが、手取川に沿う『手取キャニオンロード』。下り基調でありながら傾斜が緩やかで、ほぼフラットのコースです。太陽からの直射日光、そしてアスファルトの照り返し……。昼前には24度まで気温が上がっており、少しずつ体力を削り始めます。

炎天下をひた走る後半戦

 約半分の位置にある『綿ヶ滝いこいの森』は、51.4kmにあるエイドステーション。ここは、ランナーにとって一番の休憩スポットとなります。

 給水・給食はもちろん、スタート地点で預けた“ドロップ袋”を受け取れる場所。着替えたり補給食を補充するなど、思い思いの時間を過ごします。私は暑さ対策にアームカバーを外し、Tシャツを脱いで中のインナーだけで走ることにしました。スタート時点から比べて10度という気温差は、これから時間とともにさらに広がっていきます。

 後半はしばらく『手取キャニオンロード』を走ります。木陰を選びながら走ると、さほど暑さは気になりません。道幅は狭いものの、しっかり整備されて走りやすい道路です。

 途中、短めの急坂を越えると、70km部門のゴール地点に到着しました。奥に見えるゴールゲートをくぐってしまいたい……、そんな衝動を抑えつつ、100kmランナーは進みます。

 この時点で気温は28度に達し、“暑さ”との戦いが本格化してきました。汗が止まらず、肌がジリジリと痛いほど照らされる感覚。いつも以上に水分を摂って掛水までするなど、給水所に滞在する時間が長くなってきます。しかしこの後、そんなランナーにさらなる難所が待ち構えていました。それが……。

 どこまで続くのか、気が遠くなるような河川敷コース。なんと日本海まで15km以上、炎天下を日陰ゼロで走ることになります。最初こそ大きな手取川に感動しましたが、すぐに「早く日本海へ着かないのか」という思いばかり巡るように……。

 コース沿いに置かれた“河口から○K”のポールは、私にとって心の支えとなりました。これを見つけるたび、「あと○kmで河川敷が終わる」と思えたのです。途中で多くのランナーに声を掛けましたが、誰もが口にする「暑い、暑過ぎる」という言葉。実際に熱中症や脱水などを起こしてしまったランナーも、多かったかもしれません。

 そして約90km、遂に見えた日本海に感動。炎天下の過酷なコースを走り抜けてきたからこそ、その喜びも一入でした。この海を目にした瞬間、大きな達成感を得た方は多かったことでしょう。海に到着したのですから、当然ながら河川敷は終わり。しかし本大会、まだまだランナーを楽しませてくれました。

 “川沿い”が終わったら、今度は“海沿い”です。横に見える景色は変わっても、残念ながら頭上に太陽の光を遮るものはありません。さすがに歩き始める方が増え、その表情はとても険しいものでした。しかしこういったアップダウンの多い大会に出るからには、そうした過酷さを好んでいる方が多いはず。私もその中の1人ですので、内心では楽しんでいたことでしょう。

 海沿いを5km、そして市街へ向けて5km走ってのゴール! ゴール地点にはすでに走り終えたランナー、スタッフ、そして応援に駆けつけた大勢の方々がいました。ゴール制限14時間後の19時まで、このゲートを大勢の方々が、それぞれの思い出を胸に駆け抜けたはずです。

山と海、心癒される絶景の数々

 過酷なコースと天候が、ランナーを一層楽しませてくれた本大会。コース上では、実に素晴らしい景色をいくつも見ることができました。ここで一部ではありますが、白山白川郷の誇る雄大な自然を、写真を中心にご覧ください。

 白川郷では朝靄に包まれながら、その幻想的な姿を見せてくれました。

 ホワイトロードからの眺め。日が昇り始めると、霧がかった山々が少しずつその雄大な姿を現します。

 ホワイトロードの下り序盤。頭上から音を立て流れる滝がありました。ホワイトロード上には、この他にもいくつか滝が点在。それぞれ看板が掲げられ、説明が記載されています。

 中間点手前。ちょうど米の収穫時期ということもあり、立派に育った稲が風に吹かれています。

 手取川から海へと広がる河口。青空とのコントラストに目を奪われました。

溢れんばかりの“おもてなし”の心

 白山白川郷ウルトラマラソンは、コース全体を通じて応援の多い大会ではありません。しかし時おり声援や拍手を送ってくださる地元の方々、そしてスタッフの皆さんからは、温かな“おもてなし”の心を感じることができました。

 まず驚いたのがスタート会場。水などを提供する大会はありますが、なんと本大会では、お粥や味噌汁、スポーツドリンク等が提供されていました。早朝にも関わらず元気な声で「どんどん食べていってね」という声が響き、立ち寄らずにはいられません。

 他にも、そうめんやうどん、蕎麦、豆腐、おからドーナツ、コーンスープ、梨、酒まんじゅうなど、充実した食べ物はすべて頂きました。中でもうれしかったのが、まさに炎天下を走っている中で提供された『そばソフト』。タイミングも完璧です。

 誘導などスタッフの数も多く、道を間違える心配はありません。距離表示は2.5kmごと、10kmごとには計測ポイントが設けられていました。さらに給水所は必ず500m手前に看板が置かれ、折れそうな心を「もう少し頑張ろう」と奮い立たせてくれます。

 なお、本大会ではマイカップを持参した方のみ限定で、数カ所に“スペシャルドリンク”が用意されていました。環境に配慮した取り組みも、本大会の大きな特徴と言えるのではないでしょうか。

 厳しいコースや気候条件に、己を鍛えられた『第5回 白山白川郷ウルトラマラソン』。その雄大な自然に囲まれたコースは、辛いながらまた走りたいと思わせられます。アップダウンが以前より減ったため、初めてのウルトラマラソンでも挑戦にも良さそう。気になった方は、来年のレース候補として検討してみてください。

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[筆者プロフィール]
三河 賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】http://www.run-writer.com

<Text & Photo:三河賢文>

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