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2024年6月7日

なぜスポーツ選手は試合中にガムを噛むのか?その理由に迫る (2/2)

ガムを噛み続けると、どんなメリットがある?

ロッテは、順天堂大学の小林弘幸教授、医療法人社団順幸会小林メディカルクリニック東京(理事長:小林暁子氏)と共同で、継続的なガム咀嚼に関する研究を実施しました。

自律神経や気分状態の改善、唾液中の免疫成分濃度が増加

研究結果によれば、ガム咀嚼を2週間継続することにより、自律神経や気分状態が改善。さらには、唾液中の免疫グロブリンA(IgA:様々な病原体に対する生体防御機構の最前線として役割を果たす免疫物質)濃度が増加することを確認したといいます。

今回、研究対象となったのは、20~50代の健常な男女50名。1日3回のガム咀嚼を2週間継続し、自律神経・気分状態(POMS II)・唾液中IgA濃度等を測定したそう。

この結果、ガム咀嚼を2週間継続することで、上のグラフの通り、自律神経バランス・気分状態の改善および唾液中のIgA濃度が増加することが確認されました。

研究に携わった小林教授は今回の結果について「よく噛むことは重要で様々な機能があることがわかってきています」とした上で、「咀嚼などのリズム運動は、幸せホルモンともいわれるセロトニン分泌を高めることが報告されています。ガム咀嚼によりセロトニンが分泌され、ストレス軽減や自律神経の改善により、気分状態の改善や免疫物質であるIgAの唾液濃度増加につながった可能性が考えられます」と解説。

「噛むことは手軽にすぐにできることですので、日々の生活に意識して取り入れると良いと思います」としています。

<プロフィール>
小林弘幸(こばやし・ひろゆき)教授 
順天堂大学医学部 総合診療科・病院管理学 教授
自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した「腸のスペシャリスト」でもあり、みそをはじめとした腸内環境を整える食材の紹介や、腸内環境を整えるストレッチの考案など、様々な形で健康な心と体の作り方を提案している。著書多数執筆。メディア出演や講演活動も多数。

<研究結果概要>
【掲載紙】薬理と治療(2022年50巻6号、1049-1054)
タイトル:ガム継続摂取による免疫および自律神経、ストレスへの影響 - オープンランダム化並行群間比較試験 -
著者:菅野範、松井美咲、大澤謙二、小林暁子、小林弘幸

<Text:辻村>

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