2021年7月2日

寺田明日香選手、東京五輪代表内定「ママが東京オリンピックで、国立競技場で走っている姿を少しでも覚えておいてくれたらいいな」

 日本陸上競技連盟(日本陸連)は7月2日、東京オリンピックに出場する代表選手を発表。MELOSでコラム連載をしている寺田明日香選手が女子100mハードルで東京オリンピックに出場することが決定しました。

 同種目で12秒87の日本記録保持者である寺田選手は、オリンピック参加標準記録の12秒84にわずか0.03届かなかったものの、6月末に開催された日本選手権で11年ぶりの優勝を果たしていました。寺田選手は世界陸連が発表したワールドランキングによって、今回出場権を獲得しました。

「予選だけではなく、準決勝、決勝と3本走って、ファイナリストに」

 寺田選手はメディア向けにメッセージを発表。喜びの声を届けてくれました。以下、コメント全文です。

「みなさん、いつも応援ありがとうございます。この度、東京オリンピックの100mハードルの日本代表選手として内定しました。

オリンピックはなかなか行けなくて、ロンドンオリンピックを目指したのが最後だったんですけれど、行くことができずに、一度陸上を引退してしまって、7人制の女子のラグビー選手として東京オリンピックを目指していたんですけれど、今回陸上選手として東京オリンピックに行くことが決まりました。

子どものころからずっと夢見ていたオリンピックでしたけれど、なかなか行くことができず、もう行けることがないのかなというふうに思っていたなか、今回、東京オリンピックに行くことができてとてもうれしく思っています。

オリンピックでは、予選だけではなく、準決勝、決勝と3本走って、日本人で1人しかいない、ファイナリストになりたいと思っているので、引き続き、応援していただいたらうれしいです。

家族で東京オリンピックが見たいなと思って早8年が経ちました。なんと、娘ももうちょっとで7歳になります。やっとオリンピックについてちょっとだけでも理解してくれるような年齢になったので、ママが東京オリンピックで、国立競技場で走っている姿を少しでも覚えておいてくれたらいいなと思っています。

やっぱり世界のトップ選手が一番を目指して走る大会というのは特別なものなので、いろんな選手の言葉だったり、動きだったりを見てもらえたらいいのかなというふうに思っています。

ほんとに3本走っている姿を見たいと言ってくれたので、3本走っている姿を見せてあげられたらいいなと思っています」

結婚、出産、競技転向を経て、日本新記録&日本選手権V

 オリンピック初出場となる寺田選手は、1990年1月14日生まれ、北海道札幌市出身の31歳。小学校4年生から陸上競技を始め、小学校5・6年時ともに全国小学生陸上100mで2位。高校1年から本格的にハードルを始め、2005~2007年にはインターハイ女子100mハードルで史上初の3連覇。3年時には100m、4×100mリレーと合わせて同じく史上初となる3冠を達成します。

 2008年、社会人1年目で初出場の日本選手権女子100mハードルで優勝。以降3連覇を果たしました。2009年には、世界陸上ベルリン大会へ出場し、アジア選手権では銀メダルを獲得。同年記録した13秒05は同年の世界ジュニアランク1位でした。2010年にはアジア大会で5位に入賞するものの、相次ぐケガ・病気で2013年に現役を引退しました。

 翌年から早稲田大学人間科学部に入学。その後、結婚・出産を経て女性アスリートの先駆者となるべく、「ママアスリート」として、2016年夏に「7人制ラグビー」に競技転向する形で現役復帰しました。同年12月の日本ラグビー協会によるトライアウトに合格。2017年1月からは日本代表練習生として活動していました。

▼関連記事

●自己紹介&7人制ラグビーとは│新連載:寺田明日香の「ママ、ときどきアスリート〜for 2020〜」#0

 そして2018年12月、ラグビー選手としての引退と陸上競技への復帰を表明。コーチやトレーナー、栄養士ら各分野の専門家を集めた「チームあすか」を結成し、第2次陸上選手がスタートしました。

▼関連記事

●もう一度、陸上で。寺田明日香が7人制ラグビーから陸上競技に転向し、東京2020を目指す理由[特別インタビュー]

 2019年シーズンから競技会に出場し、6月に日本選手権女子100mハードルで9年ぶりの表彰台となる3位に入り、7月には100mでも自己記録を更新。8月には19年前に金沢イボンヌ氏が記録していた日本記録13秒00に並ぶと、9月1日に「富士北麓ワールドトライアル2019」で史上初めて13秒の壁を突破し、12秒97の日本新記録を樹立。カタール・ドーハで開催された「世界陸上」に出場しました。

▼関連記事

●ママ、おめでとう!日本新記録&世陸出場をたぐり寄せた寺田明日香、進化の原動力に「家族とチームあすかの存在」【密着レポート】

 オリンピックイヤーとなった2021年、初戦となった4月29日の織田記念で12秒96の日本新記録をマークすると、6月1日の木南記念で今シーズン2度目となる日本新記録=12秒87を樹立。6月末に開催された日本選手権では、11年ぶり4度目となる日本一に輝き、陸上日本選手権の歴史上、「最長ブランク」となる優勝を果たしました。

▼関連記事

●“ライオンの金メダル”を愛娘に。家族とチームあすかで辿り着いた、最長ブランク11年ぶり日本一【寺田明日香×日本選手権 現地レポ】

 寺田選手が登場するのは、7月31日の女子100mハードル[予選]。ぜひみんなで見届けましょう!

▼東京オリンピックの日程
《女子100mハードル》
・予選:7月31日(土) 会場:オリンピックスタジアム(東京・国立競技場)
・準決勝:8月1日(日) 会場:オリンピックスタジアム(東京・国立競技場)
・決勝:8月2日(火) 会場:オリンピックスタジアム(東京・国立競技場)

【▼寺田選手によるエッセイ連載のアーカイブはこちら】
・寺田明日香の「ママ、ときどきアスリート〜for 2020〜」

<Text:MELOS編集部>