インタビュー
2018年4月22日

自分のカラダ、どれだけ分かってる?音楽アーティストが専門家に聞いてみた (2/4)

廣戸:何をやってもいいの。

KURO:これが、一番良い、美しい姿。

廣戸:一番“普通”ってこと。

KURO:そうか。ということは、これ電車の中でも、ブレずに立っていられますよね。

廣戸:そう。演歌歌手の方ならいいかもしれないけど、ずっとこう直立不動で、リズムだけ取るっていうのも難しいじゃないですか。

KURO:はい。

廣戸:だけど、アスリートやアーティストは、このトップ・オン・ドーム(首の頭、頭蓋底の幅)っていうのを実際に、躍動して動かさなきゃいけないわけですよね。例えば、野球のバッターの場合、バットを持ってバッターボックスに入った時に、足で土をならしたりしているでしょ。実は僕が指導している選手には、バッターボックスの前で、一旦、立ってもらっているんです。

KURO:さっきみたいに?

廣戸:そう。身体の真ん中でバット持ってもらって。これは左バッターの場合ですが、まずは、頭の半分を左足の土踏まずの上に乗せたと思って。それで、バットをベースで叩いたり、ピッチャーのほうにバットを向けたり、そんなことやっている間に、右足側の土踏まずの上に、自分の頭を乗せたって思ってくれると。そうすることで、足を開いた幅のなかで常に動けるようになるんですね。

KURO:なるほど、なるほど。ああ、これは広がるなぁ。ダンスにも使えますし。

廣戸:僕らのところには、そういうダンサーの人たちも、レッスンに来ますよ。元世界チャンピオンも来ています。

KURO:これってまさに身体の軸ですよね。日本では、よく「軸」って言うじゃないですか。僕、アメリカでの生活が少し長いんですが、あんまり「軸」って聞いたことないんですよね。

廣戸:ないですよね。これ、日本特有だと思うんです。僕が海外で、この軸の説明をするのに、その土地の、その国の言葉で普通に訳すと通じない。要するに、物理学的な軸になっちゃうのね。アクシスとかピボットとかっていうような、要は真ん中のここらへんでしょっていう話になっちゃうんだけど、人間が持っている軸って違う感覚じゃないですか。だから、どういう言葉が適切なのかっていうのを、それぞれの国の言葉の堪能な人たちと会議させてもらったりしたんですけど、結局、この軸を説明する時に、「JIKU」(ジク)っていうことで解決しました(笑)。

KURO:なるほど(笑)。

廣戸:要するに、彼らにとっては、文化背景がないから、「JIKU」って言われたほうが理解できるんだけど、それを自分たちの知っているワードにしようとすると、んん~? ってなっちゃう。それで、「JIKU」って言って。

KURO:新しく意味を与えたほうがいい、と。

廣戸:そうそう。要は、こういうことが、“骨格”ってことですよね。骨格の意味から導き出せるのが軸。そしてその骨格をどう動かすかというところに特色が出ちゃう。それが4つに分かれるんです。だから軸の利用の仕方に若干の差があるから、「4スタンス理論」は、「4軸理論」と言ってもいい。

4スタンス理論」が形成されたきっかけとは?

▼KURO▼

 昔からスポーツにしろ、芸能にしろ、技術を体得する上で「軸」の存在とその重要性は問われてきたが、具体的に意識できたためしがなかった。しかし、こうして自分の「軸」を実際に体感したことで、僕は俄然4スタンス理論に興味が湧いた。

KURO:すごくおもしろい視点だと思いました。どのようなきっかけで、この「4スタンス理論」を発見されたのでしょうか。

1 2 3 4