インタビュー
2017年12月20日

プロサーファー新井洋人「世界で勝負できるようにならなければ、メダルなんて考えられない」(前編)│サキドリ!ROAD TO 2020 (2/2)

 空港って暇なんですよ。待って、乗って、寝て、着いて、みたいな。だから、空港すごい嫌いになりましたもん。あとはやっぱり荷物が多くて。

——サーフィンのボードだけでも持っていくのは大変ですよね。ちなみに、現在は何本くらい持っているんですか?

 今は家に10本ちょい。その中から遠征には4、5本持って行きます。それを使い分ける感じですね。やっぱりそれぞれ同じように作ってもらっても全然乗り心地が違うんで。ボードの中の気泡の大きさでしなり具合が変わってくるし、ちょっとした厚みの違いで踏んだときの反発の強さも違ってくるんです。

——サーフボードは寿命も短いと聞いたことがあります。

 僕のように1年中乗り続けていると半年くらいで変えていかないとダメですね。しなり方が変わってくると感覚が狂って調子を崩すきっかけにもなったりするので。

世界トップを目指せば、自ずとメダルも見えてくる

——新井さんは日本のプロ資格を持っていないんですよね。

 そうですね。もともと世界を視野にしていたというのもあるんですけど、僕が所属しているWSLの試合はサーキット形式なので年間を通じて試合があってランキングも出るから。やっぱり出場するからにはチャンピオンを狙いたいじゃないですか。そうすると日本のJPSAという団体が主催している大会に出るのは日程的にも難しいので。だから、今はいいかなと。

——日本と海外で選手の層の違いを感じることはありますか?

 日本と海外というよりは、本当に個人ごとの実力の違いですよね。特に今は、僕の2個下くらいの世代に上手な人がけっこういて。昔から戦ってきた選手たちなので、これからおもしろくなりそうだなっていう予感はあります。

——東京五輪を目標にしている部分も強かったりしますか?

 もちろん視野に入っていないと言えば嘘になりますが、まずは世界で勝負できるようにならないといけないな、と。そのために今はCT(世界最高峰のチャンピオンシップツアー)に出るのが目標。そこに近づいていないと、多分メダルは無理なんじゃないかなと思います。

——東京五輪の会場に決まった釣ヶ崎海岸はどうなんですか?

 あそこは昔から試合もよくやってるので馴染み深い場所のひとつです。でも、ちょっと波のラインを取るのが難しいんですよね。ただ、今年になって釣ヶ崎でやった大きな試合で入賞できたので、うまく乗れれば勝算はあるかなと。

後編:プロサーファー新井洋人「サーフィンは難しいスポーツだから、仲間を見つけることが大切」(後編)│サキドリ!ROAD TO 2020

[プロフィール]
新井洋人(あらい・ひろと)
12歳からオーストラリアの名サーフスポット・レノックスヘッドを拠点に活動。2010年にはISA(国際サーフィン協会)主催の世界ジュニアサーフィン選手権U-16で日本人最高位となる4位を獲得。以降も世界を舞台に活動。世界のサーフィン界からも熱い視線が向けられている。

<Text:村上広大/Photo:飯本貴子>

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