インタビュー
フィットネス
2024年1月30日

『もう走れない』と思ったとき、どうする?プロランナー・松村幸栄選手から学ぶマラソンHOW TO (1/4)

マラソン界において、速さと持久力、モチベーションを追求することは決して容易な道ではありません。しかし、その壁を乗り越え、数々のレースで結果を残す実業団ランナー・松村幸栄選手の存在が注目を集めています。

今回、編集部は松村幸栄さんにインタビューを行い、彼女が実施しているトレーニングや食事管理、コンディショニング、そして“走ること”で起きる困難の乗り越え方を語っていただきました。


[プロフィール]
松村幸栄(まつむら・ゆきえ)
コモディイイダ陸上競技部所属。裾野市スポーツ観光大使、NIKE RUNNING COACH。小学校4年生の時に、裾野陸上教室に入り陸上を始める。中学校時代は、全国都道府県駅伝静岡県代表として3区区間3位の成績を収め、須磨学園高等学校2年生の時には、全国高校駅伝で2位入賞、3年生では優勝し、2年連続アンカーを務める。高校卒業後は豊田自動織機に入社し、故小出義雄監督の指導を4年間受け、東日本実業団駅伝で優勝した。チームの拠点が愛知県に移った後、中日本実業団駅伝でも優勝を果たす。東日本・中日本共にアンカーを務めた。2021年9月、コモディイイダ陸上競技部に入部し現役実業団ランナーとして活躍中。
Instagram:https://instagram.com/yukie__nagata?igshid=MjEwN2IyYWYwYw==

プロランナーはどんな練習をしている?

──普段、どのようなトレーニングプログラムを組んでいますか?

「目指すレースとかによって変わってきますが、まずしっかりと生活スケジュールを決めます。この月はこういうトレーニングをするという目標を決めたら、1週間ごとにさらに細かくスケジュールを立てます。たとえば走り込むという目標月の場合は、1週間ずつ仕事やプライベートの予定をスケジュール表に出して、そこから1週間で〇キロ走るならこの日は2回走れるとか、この日は1回だけ走れるというふうに、スケジュールを組み立てます。私は夫がコーチを兼ねているので、彼にメニューを見てもらっています。週に2回頑張る『ポイント練習』っていうのを入れていて、どういう練習にするか相談した上で、その週の走行距離や走るペースを決めています」(松村選手)

──ウォームアップとクールダウンはどのようなものを行っていますか?

「体の動きをよくする『連動性トレーニング』をしっかりと行ってから走るようにしています。まずはストレッチから始めて、そこから連動性トレーニング、そしてジョギングに入っていきます。クールダウンは足首まわりとか上半身、ふくらはぎのストレッチなどを簡単にしていますが、メインに置いているのは寝る前のセルフマッサージやストレッチですね。体を整えてから寝ています」(松村選手)

──アスリート選手は運動神経がいいから大半の運動ができそうというイメージがありますが、実はあまり得意ではない運動はありますか。

「好きな運動はもちろんランニングですが、得意ではないのが、リズム系ダンスとか球技系にある『横の動き』ですね。もしかすると、長距離選手はリズム音痴な人が多い傾向にあるかもしれません。競技の特性上、同じ動きや単調な動きが多いので、そういう部分で苦手意識が出てくるのかもしれません」(松村選手)

──今年の夏もすごく暑いみたいですが、おすすめの熱中症対策はありますか。

「もし可能であれば、走る練習の一部をランニングマシンに変えてみるのはおすすめです。やっぱり室内は涼しいので、そういうのを取り入れないと夏は厳しいですよね。ロード(道)を走るときは、周回コースにするなど、定期的に水分補給ができる環境づくりが大事だと思います。水分補給のために少し休憩しても練習効果は下がらないので、とにかく給水環境を整えるのがポイントかなと」(松村選手)

──汗対策、暑さ対策はどのようにしていますか?

「ジョギングに行くときはウエストポーチをつけて、いつでも水分補給できるようにボトルは持って走るようにしています。帽子の中に氷も入れますね。走っている間に溶けてきてキモチイイですよ。あとは、体を暑さに慣らすのも大事です。暑い環境下でいきなり1時間走るんじゃなくて、まずは30分ぐらいから始めるなどです」(松村選手)

──たまに、ボトルやポーチ、リュックを持たずに街ランしている人を見かけます。まさに生身ひとつで走っている。水分補給はどうしているのかなと不思議に思っています。

「途中、自販機やコンビニで買って、水分補給しているのだと思います。夏に水分補給しないで走れる人がいたらむしろ教えて欲しいです(笑)昔、皇居エリアのランニングステーションで働いていたのですが、やっぱり1~2回くらいは救急車で運ばれる人がいるんですよ。水分補給しないで走って倒れちゃって。そうなる前に、合間の給水を意識することが大切です」(松村選手)

プロランナーはどんな食生活を送っている?

──レース前の食生活で意識していることは。

「脂っこいものや消化に良くないものは摂らないようにしています。サバや鮭などがすごい好きなんですけれど、内臓疲労を起こしやすいので、脂っこい魚類は控えています。あとは甘いもの、お酒もとらないようにしています」(松村選手)

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