プロサーファー新井洋人「サーフィンは難しいスポーツだから、仲間を見つけることが大切」(後編)│サキドリ!ROAD TO 2020 (2/2)
体勢の変え方についてひとつずつ確認しているんですよ。サーフィンってけっこう体を回転させる動きが多いんですけど、無理にひねっていたりするとそれだけ自分の体に負荷がかかるし、動きのロスも大きくなる。可能なかぎり自然にできるようになれば、力の伝わり方もよくなるし、技のつながりもスムーズになるから。
——野球選手がフォームを修正するのに似ていますね。ちなみに、新井さんは自身のストロングポイントについてどのように考えているですか?
自分は体が小さいのでスピードとキレを武器にしています。ただ、今はボードに乗っている時に踏み込む力がもっと欲しいので、少しずつ体を大きくしている最中です。
——では、食事面も気をつけているんですか?
食事の量を増やしています。でも、かなり食べないといけないんで、それがかなりきつくて。
——体を大きくするのって、けっこう食べないといけないですもんね。
食べれる人は大丈夫だと思うんですけれど、自分はもともと食が細いので1日5食とか6食になると本当にしんどくて。朝飯食べたと思ったら、もう昼食が出てくるみたいな(笑)。でも、体重を増やすのはそれしか方法がないので。脂肪を増やして、そこから筋肉にしてかないといけないので。だから、無理にでも食べるようにしています。
——では、これは食べないようにしようとかはあまりないんですね。
そうですね。試合前に揚げ物を控えたりするくらい。バランスが取れていればいいかなと思います。
仲間と一緒に楽しむのがサーフィンの醍醐味
——この『MELOS』という媒体はDoスポーツをテーマに掲げているのですが、サーフィンを始めるときに気をつけるべきことはありますか?
サーフィンって難しいですからね。最初のボードに乗るってところがもうハードルだし。それに自然が相手になるので、自分の思い通りにならないことがすごく多い。だから、最初は辛いですよ、きっと。でも、波にうまく乗れた瞬間は最高に楽しい。そこからさらに自然との関わり方も知って、海を相手にどれだけ自分の思い通りに動けるかを試せるようになるとハマっていくかなって。
——ボードに立つところから操れるようになるまでにはどれくらいかかるんですか?
もちろん海に通う頻度にもよりますけれど、ボードに立ちながらうまく重心を変えていけるようになるには3年から5年くらいはかかるんじゃないですかね。その前に波を見極める力も養っていかないといけないし。だから、うまいねって言われる人は10年くらいやってると思います。
——例えば、若い頃にサーフィンをやっていた人が再開したら、再び感覚を掴めるようになるまでにけっこう時間がかかるようなものなんでしょうか?
それはかからないですね。沖に出てボードに立ってしまえば感覚が戻ってくると思います。それが10年間くらい空いていたとしても。ただ体力的にしんどいかもしれないですね(笑)。
——うまくなるためのコツはありますか?
仲間を見つけることですね。それも知識のある人。例えばボードにしても初心者が乗りやすいものとかあるし、海に行ったら危険な場所もある。そういった情報って経験者じゃないとわからないこともたくさんあるんですよ。だから、インターネットが便利になってボードとかも簡単に手に入るようになりましたけれど、初心者はまずサーフショップに連れて行ってもらって、オーナーにいろいろアドバイスをもらいながら始めるのが正しいんじゃないかなって思います。
[プロフィール]
新井洋人(あらい・ひろと)
12歳からオーストラリアの名サーフスポット・レノックスヘッドを拠点に活動。2010年にはISA(国際サーフィン協会)主催の世界ジュニアサーフィン選手権U-16で日本人最高位となる4位を獲得。以降も世界を舞台に活動。世界のサーフィン界からも熱い視線が向けられている。
<Text:村上広大/Photo:飯本貴子>