2025年5月23日

自宅でできる!トレーナー直伝「デッドリフト練習法」

筋トレ「デッドリフト」は、お尻や太腿の裏側(ハムストリングス)を中心に、下半身全体と背中を鍛えるトレーニングです。

しかし、筋トレ種目のなかでも重い重量を扱うため、たくさんの重量プレートが必要になります。

室内で行う場合は頑丈な床も必要になるため、設備の整ったジムでしか行うことができません。また、高重量を扱うということは、フォームにも気をつけないと深刻なケガに繋がるおそれもあります。

そのため、初心者はトレーナー指導のもと行うのが望ましいでしょう。

本格的なデッドリフトは週1回程度をジムで行うとして、今回は自宅でも比較的安全に取り組める練習方法をご紹介します。

デッドリフトのフォーム習得と筋力をつける効果が期待できるので、ぜひチャレンジしてみてください。

バーベルをスネや太ももなど、体の前面に沿わせながら持ち上げるデッドリフトの効果とやり方、正しいフォーム、重量回数[トレーナー解説]

ケトルベル・デッドリフト

ケトルベルを体の前方の地面に置いて、上と同じ動作を行います。徐々に重量を増やしていきますが、10~15回ほどを一定のスピードでコントロールすることが大切です。

トレーニングのポイント

 台を外した分、動作の可動域が大きくなります。背中が曲がらないように気を付けてください。

回数の目安

10~15回ほどを一定のスピードで行います。

ダンベルを両手で握って行うデッドリフト

2つのケトルベル(ダンベル)を、体の外側に両手で握って行うデッドリフトです。

チェックするポイントは上と同じ。正しい姿勢とフォームを保つことを大前提にして、徐々に重量を増やしていきます。

トレーニングのポイント

ケトルベルの代わりにダンベルを使っても構いませんが、その場合はダンベルを地面に着けず、上半身が過度に曲がらないようにします。

回数の目安

反復回数は重量に応じて調整してください。

筋トレの重量設定と回数、よくある「間違った決め方」とは

ケトルベルを体の裏側に持って行う「ヒップ・ヒンジ」

両足は肩幅程度に開いて背筋を伸ばし、両手を体の裏側に回しましょう。軽いケトルベル、もしくはダンベル(10キロ以下)を握ります。

両膝を少しだけ曲げてお尻を後方に突き出すようにし、背筋を伸ばしたまま上半身を地面と平行になる直前ぐらいまで前方に倒して、数秒間停止してください。

顔を正面に向けたまま腰を伸ばして、ゆっくり上半身を元に戻しましょう。このとき、体が直立するタイミングでお尻を締め、背中が反り返らないように注意してください。

鍛えられる場所

このエクササイズは筋力を鍛えることより、むしろお尻と太腿の裏側(ハムストリングス)の筋肉を使う感覚を身につけることがおもな目的です。それらの筋肉は、あらゆるスポーツにおいて大きなパワーを発揮する際に重要となります。

しかし、普段の生活であまり使わないため、衰えやすいと同時に意識がしにくい箇所でもあるのです。

トレーニングのポイント

「ヒップ・ヒンジ」の「ヒンジ(Hinge)」とは蝶番を意味します。お尻を支点にして、上半身と太腿が開閉する様子をイメージしてください。

両手を胸の前に組むやり方もありますが、ケトルベルを体の裏側に持つことで肩を後方に保ち、背筋を伸ばしたまま動作を行う意識を持ちましょう。そのため重い重量は必要ありません。

ケトルベルがなければダンベルでも代用できます。上半身を前に倒したとき、ハムストリングスが張るような感覚があれば充分です。

回数の目安

目安として15~20回ほど繰り返しましょう。鏡があれば、フォームをチェックしながら行います。

 

段差を利用する「ケトルベル・デッドリフト」

高さが10~20センチ程度の台の上にケトルベルを置きます。重量は、「ヒップ・ヒンジ」で使用したものよりやや重くしましょう(10~15キロ程度)。

両足を肩幅程度に開いて背筋を伸ばします。体の前面でケトルベルを両手で持ち、肘を伸ばして握ります。それからヒップ・ヒンジと同じ動作を行います。

トレーニングのポイント

ここでは、ヒップ・ヒンジで習得した感覚を、よりデッドリフトに近い動作へ繋げていきます。

あくまでお尻とハムストリングスを動かすことが重要なため、ケトルベルは両手にぶら下げたままです。肘は常に伸ばして、決して腕力でケトルベルを引っ張り上げないでください。

置き台を利用するのは、動作の可動域をあえて狭めることによって正しい姿勢とフォームを習得するためです。

回数の目安

10~15回ほど繰り返して下さい。

まずはデッドリフトの動作を体に覚えこませる

ご紹介したエクササイズは、デッドリフトの動作を体に覚えこませることが目的です。姿勢とフォームがもっとも重要で、反復回数、スピード、重量などの優先順位は低くなります。

ジムで本格的なデッドリフトに取り組むようになってからも、フォームの確認やウォーミングアップにとても有効です。

筆者プロフィール

角谷剛(かくたに・ごう)

アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani

<Text & Photo:角谷剛>