
【医師回答】ランニングで腹筋は割れる?脂肪を落とす順番とやり方を解説 (1/3)
「ランニングしたら腹筋が割れるって本当?」…高い美意識を持ち自身も身体を鍛えている医学博士・美容外科専門医、SOグレイスクリニック院長・近藤 惣一郎先生に聞きました。
近藤先生:確かにランニングは脂肪を落とすのに効果的ですが、それだけで腹筋を浮き上がらせるのは難しいかと思います。アスリートのように本格的に走り込むランナーなら、腹筋は割れているかもしれません。ですが、普通の方がランニングだけで腹筋を割るのは、あまり現実的ではないかと思います。
「ランニングは体脂肪を落とす手段のひとつで、腹筋を割るまでの通過点」だと、近藤先生は言います。腹筋を割るために必要なのは、体脂肪を落とす運動と、筋肉をつけるトレーニングの組み合わせ。近藤先生監修のもと、ランニングが腹筋に与える効果や最適なやり方、筋トレとの順番・距離・頻度まで、初心者にもわかりやすく解説します。
ランニングで腹筋を割るまでの道のり
ランニングで腹筋を割りたいなら、まずは「脂肪を落とす」「筋肉をつける」この2点を理解しなければなりません。ここでは腹筋が浮き上がるまでの過程を順を追って解説します。
ステップ1:なぜ腹筋は見えないのか?
腹筋はもともと誰にでもある筋肉です。意識的にトレーニングをしていなくても、「腹直筋(ふくちょくきん)」という筋肉は縦に分かれた構造を持っています。
つまり「割れていない人」は存在せず、多くの場合は皮下脂肪に覆われて見えていないだけなのです。
▲編集部が作成したイメージ画像
注:実際に体脂肪率と腹筋を照らし合わせたものではなく、あくまでイメージ図となります
実際に腹筋が見え始める体脂肪の目安は、男性15%/女性20%がひとつの基準です。脂肪を落とすためには、筋トレだけでなく、有酸素運動や食事管理が不可欠です。
特に腹部は脂肪がつきやすく落ちにくい部位です。「痩せてきた」と感じても、腹筋が出てくるには少し時間がかかることもあります。
ステップ2:脂肪を落とすのにランニングは最適?
結論:脂肪を落とす手段のひとつとして効果的だが、「誰にとっても最適」とは限らない。
ランニングは脂肪燃焼効果が高く、腹筋を割るための体脂肪率減少にも役立ちます。ただし、関節への負担や継続の難しさを考慮すると、もっと向いている運動がある人もいます。
■ランニングの脂肪燃焼効果は高い
・全身を使う有酸素運動の代表格で、1回あたりの消費カロリーも高め
・30分以上続けると、脂肪が主なエネルギー源として使われやすくなる
・週3〜5回の継続で、着実に体脂肪が落ちていく
■「最適」とは限らない理由
・ヒザや足首への負担が大きく、ケガにつながるリスクがある
・運動習慣がない人にとっては、心理的・身体的ハードルが高い
・短期間で結果を求めると挫折しやすく、継続が困難になることも
■他の脂肪燃焼法との比較
種目 | 消費カロリー(20分) | 継続しやすさ | 備考 |
ランニング | 約200〜250kcal | △ | 時速8km、体重60kgの場合 |
ウォーキング | 約80〜100kcal | ◎ | 時速6km |
スイミング | 約250〜300kcal | △ | クロール等、体重や泳法で変動 |
HIIT | 約250〜400kcal | △ | 内容・強度・体格により幅あり。最大600kcal超えも報告あり |
ランニングが好きな人にとっては、腹筋を割るための脂肪を落とす手段として、とても役に立ちます。ただし、苦手な人はウォーキングや自転車、スイミングでも十分に脂肪を落とせます。
無理なく続けられる方法を選ぶことが、最終的に「最適」への近道です。
ステップ3:脂肪が落ちたら、腹筋運動を強化
ランニングで脂肪を減らすことはできても、それだけで腹筋の形がくっきり見えるようになるとは限りません。なぜなら、筋肉量が足りないと、脂肪が落ちてもお腹全体が薄く平らになるだけで、割れた形には見えないからです。
腹筋を明確に見せるには、筋トレで腹直筋を肥大させる必要があります。つまりお腹の上の皮下脂肪を落とすだけでなく、筋肉を育てることが両輪となって、はじめて「割れた腹筋」が完成します。
腹筋に縦スジが見えてくる体脂肪率は男性15%/女性20%程度が目安。ただし、この%数値はあくまで一般的な目安であり、個人差があります。筋肉量や骨格、皮膚の厚さなどによって、同じ体脂肪率でも見え方は異なります。また、体脂肪を落としすぎると健康に悪影響を及ぼすこともあるため、無理のないペースで減量を進めることが大切です。
皮下脂肪が薄くなってきたら、腹筋トレーニングを強化して、割れた腹筋を目指しましょう。
次:腹筋を割るためのランニング方法