ヘルス&メンタル
2025年9月4日

筋トレ、やり過ぎるとこんな危険も!筋トレのし過ぎで起こる5つのデメリット (3/3)

やり過ぎにならない、正しい筋トレとの向き合い方

筋トレは「量より質」とよく言われるように、正しいやり方を意識すれば少ない負担でもしっかり効果を出すことができます。やり過ぎを防ぐためのポイントは大きく4つあります。

1.休養日をきちんと設ける

まず大切なのは休養日をきちんと設けることです。筋肉はトレーニング中ではなく、休んでいる間に回復・成長します。

同じ部位を毎日追い込むのではなく、48〜72時間の回復期間をあけるのが基本です。

2.頻度とキツさを自分に合わせて調整する

次に意識したいのがトレーニング頻度と強度のバランス。初心者であれば週2〜3回、全身をバランスよく鍛えるだけでも十分な効果があります。

中級者以上でも、毎日高強度で行うのではなく、軽めの日や有酸素運動と組み合わせて強弱をつけることが重要です。

筋トレメニューの組み方・作り方

なお、強度の高い筋トレと有酸素運動を行う場合、同時ではなく別々の日に行うのがベストです。

最近の研究では、きつい筋トレと有酸素運動を同じタイミングで行うと、最大筋力の発揮を低下させる可能性があることが報告されています(Schumann M.Sports Med. 2022)。また、下肢筋力の低下や心肺機能の回復を妨げる可能性も指摘されています(Huiberts RO.Sports Med. 2024)。

なぜなら、有酸素運動で鍛えられる「Type 1 コラーゲン(細い線維)」と、筋力トレーニングで強化される「Type 2 コラーゲン(太い線維)」では体内での生理的な反応も異なり、互いに干渉し合うと考えられているためです。

また、長時間の有酸素運動はコルチゾールの分泌を促進し、筋タンパクの分解を加速させる可能性もあります。

3.きちんと栄養・睡眠をとる

さらに、栄養と睡眠をセットで考えることも欠かせません。

バランスの良い食事を基本とし、筋肉の材料となるたんぱく質や、回復を助けるビタミン・ミネラルをしっかり摂り、1日7時間前後の睡眠を確保することが、トレーニング効果を最大化します。

4.自分の心身をセルフチェックする

そして最後に、体のサインに敏感になること。疲労感が抜けない、関節が痛む、気分が落ち込むといった兆候があれば、思い切って休む勇気を持つことが、長く続ける上で何より大切です。

「追い込む」だけが正解じゃない

筋トレを正しく行うコツは「追い込む」こと以上に「休む・整える」こと。

継続こそ最大の成果につながるので、自分の体をうまくコントロールしながらトレーニングを楽しむことが、やり過ぎを防ぐ一番の方法です。

監修者プロフィール

用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニック院長
菊池真大(きくち まさひろ)先生

慶應義塾大学医学部卒業、東海大学医学部客員准教授、米国ペンシルバニア大学消化器内科元博士研究員、日本アルコールアディクション医学会理事。日本総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本内視鏡学会専門医、日本人間ドック健診専門医、日本病態栄養学会専門医、日本抗加齢医学会専門医
2024年秋、メタボとロコモを同時予防管理する未来志向型クリニックを東京・用賀の地に開業。https://www.youga-naika.com/

<Edit:編集部>

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