インタビュー
2018年5月21日

全日本女子バレーボールが導入した究極の練習マシン「ブロックマシン」とは?│デジタルでスポーツの勝利をつかむ #4〈バレーボール×デジタル 前編〉 (3/3)

ブロックマシンがもたらす効果とは?

 さて選手さえ恐怖心を抱かせたブロックマシンは、どのように受け入れられ、練習にどのような効果・変化をもたらしたのだろうか。そもそもテレビ番組のアイデアから始まったブロックマシン、なぜ導入の優先順位が高かったのだろうか。

「バレーボールの全日本は、女子も男子も世界レベルで見ると一番身長の低いチームと言えます。身長差を補って世界と戦うには、どうすればいいのか。試合のとき初めて世界レベルのブロックの高さに圧倒される(意識させられる)のでは、対応が難しいことは明白です」

 確かに全日本女子とはいえ、全員が世界レベルのブロックを体験しているとは限らない。ジュニアから上がってきた選手ともなれば、全日本のレベルさえ未知の経験となる。

「やはり日頃から高いブロックを意識すること、どう対処すればいいのかをシミュレーションすることが大切なんです。代表チームの合宿中は、常に世界と同等レベルのブロックを体感してもらうためにブロックマシンが必要だったんです」

 最初は抵抗があったようだが、実際に世界レベルの高さを体験できることが周知されると、選手たちは積極的に利用するようになったという。

「2面ある全日本女子練習用コートでも片面は男性コーチが入って世界レベルの練習をしている。でも片面はコーチ不足で通常レベルの練習しかできないときがあります。できるだけ質の高い練習をしたければ、ブロックマシンを設置したコートで練習すればいい。ブロックマシンが一番効果を発揮するのは、世界レベルのブロックを体験したいときなんです。スタッフが1人ついてコントロールしていれば、世界と同等、あるいはそれ以上の負荷をかけた練習ができるところで活用されていきました」

 選手同士で行うスパイク、ブロック練習ももちろん効果はあるが、それが世界レベルかと問われると難しい。コーチなど人手不足の問題もある。それをスタッフ1人とブロックマシンが代行できるメリットは計り知れない。後編では、ブロックマシンがどのように制御されているのかを探っていく。

▼後編に続く!

世界レベルを体感できる「ブロックマシン」。その仕組みと操作方法に迫る│デジタルでスポーツの勝利をつかむ #4〈バレーボール×デジタル 後編〉 | トレーニング×スポーツ『MELOS』

《取材・撮影協力》
◎公益財団法人日本バレーボール協会 https://www.jva.or.jp/
◎味の素ナショナルトレーニングセンター https://www.jpnsport.go.jp/ntc/Default.aspx

<Text:松田政紀(アート・サプライ)/Photo:小島マサヒロ>

1 2 3