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視覚能力を高めれば、パフォーマンスもアップする。スポーツビジョントレーニング3選

 優れたパフォーマンスを発揮するためには、筋力や心肺機能、スポーツスキルが重要です。しかし実は、それを同じくらい「眼」が重要だということをご存知でしょうか。多くのスポーツは相手が存在し、常に変化していく状況の中でパフォーマンスを発揮しなければいけません。そのためにはまわりの状況を認知し、素早く適切な判断をするための情報が必要。そして、その情報を集めるのが眼なのです。ここではスポーツのパフォーマンスを高める「眼力=スポーツビジョン」についてご紹介します。

スポーツビジョンを構成する8つの視力

 スポーツビジョンは、8つの視覚能力に分けられます。それぞれ、詳しく解説していきましょう。

1)静止視力

 一般的に視力として測定されるのが、この静止視力です。これはその名の通り、静止しているものを見る能力です。残念ながら、ビジョントレーニングによってこの静止視力を向上させていくことは難しいとされています。静止視力が低い場合は、眼鏡やコンタクトレンズなどによる矯正が必要となります。

2)KVA動体視力

 止まっているものを見る能力に対し、動いているものを見る能力を動体視力と呼びます。動体視力は2つの能力に分けられ、その1つがKVA動体視力です。KVA動体視力は「近い・遠い」といったように、前後に動いているものを識別する能力。投げたボールが自分の方に向かってくる野球や、ソフトボールには欠かせない能力です。

3)DVA動体視力

 2つに分けられる動体視力のうち、もう1つがDVA動体視力です。KVA動体視力が前後の動きを識別する能力に対し、DVA動体視力は左右水平方向に動くものを識別する能力となります。サッカーやバスケットボールなど、ボールが素早くいろいろな方向へ移動するような競技に欠かせません。

4)瞬間視

 一瞬で見たものを詳細に記憶できる人がいますが、この能力を瞬間視と呼びます。サッカーやバスケットボールでは、一瞬見ただけで相手の位置・仲間の位置などの情報をすべて把握でき、次の動作に移るための素早い判断が可能となるでしょう。

5)深視力

 奥行や距離感を正確に見極める能力が深視力です。たとえば、味方の選手がどれくらい遠くにいるのかを正確に認識できなければ、パスを正確に通せません。広いフィールドでプレーするサッカーやアメフトなどに欠かせない能力です。この深視力は左右の眼で認知するため、左右の眼の静止視力に差がある人はこの能力が低いとされています。

6)コントラスト感度

 明るさの識別をするのがコントラスト感度です。野球でボールがドームの屋根など同系色に重なった場合にしっかりボールを識別したり、ゴルフでコースの曲がりや傾斜などをわずかな色の違いから正確に読んだりするときに必要な能力です。

7)眼球運動

 眼を素早く動かす能力が眼球運動です。絶え間なく動くボールや、相手選手などを眼で追う際に必要な能力となります。眼球運動がスムーズな方が、周囲を速く確認することが可能です。

8)眼と手の協応動作

 眼で見た情報をもとにカラダを動かす連動性が、眼と手の協応動作です。いくら情報を素早く正確に収集したとしても、動作に移せなければ意味がありません。見たものを瞬時に反応し、動作につなげるための能力です。

スポーツビジョンを向上させる簡単トレーニング

 スポーツビジョンを鍛えることは、日常生活でも可能です。ここで、スポーツビジョンを高めるためのトレーニング方法をご紹介します。

<電車の中でDVA動体視力・眼球運動トレーニング>

 電車に乗っているとき、窓から見える景色をトレーニングとして活用してみましょう。たとえば通過する駅の駅名が見えるか、一瞬で過ぎ去る看板の文字が読めるかなど。横方向に動くものを意識して見ることで、DVA動体視力を鍛えることができます。このとき頭を動かさないようにすると、同時に眼球運動も鍛えることが可能です。

<車のナンバーでKVA動体視力・瞬間視トレーニング>

 歩行時や車の助手席に乗っている際に、向かってくる車のナンバーを見て覚えたり、ナンバーを使って計算することで、KVA動体視力や瞬間視を鍛えられます。野球のイチロー選手が子どもの頃に行っていた遊びとして有名ですが、これがスポーツビジョンのトレーニングになっているのです。そのほか、マークや数字、アルファベットを書いたボールでキャッチボールやパス交換をして、書かれているものを読み取るといったトレーニングでも鍛えることができます。

<ボール投げで眼と手の協応動作トレーニング>

 両手に持ったボールを同時に上に軽く投げ、両手でキャッチするのもスポーツビジョンのトレーニングになります。歩きながら行うと、さらに難しくなるでしょう。そのほか、モグラ叩きやラグビーボールのバウンドキャッチなども、目と手の協応動作トレーニングとして活用できます。

おわりに

 筋肉同様、眼も鍛えなくては能力が低下していきます。しかしトレーニングをすることによって、視覚能力は向上させることが可能です。スポーツパフォーマンスの向上を目指す人は、フィジカルトレーニングだけでなくビジョントレーニングも取り組んでみましょう。

[著者プロフィール]
和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。​スポーツ系専門学校での講師や健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師経験も多数。そのほか、テレビや雑誌でも出演・トレーニング監修を行う。日本トレーニング指導者協会JATI-ATI。
【HP】https://wada0129.wixsite.com/takumiwada

<Text:和田拓巳/Photo:Getty Images>

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