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フィットネス
2025年10月20日

足が速くなるトレーニング5選|整形外科医が小学生娘に教えた『走りの基礎』づくり (2/2)

ジャンプで瞬発力を高めると「足が速くなる」理由

ジャンプ動作は、走るときの動きと非常に似ています。走る際、足はわずかな時間で地面を強く押し、反発を推進力に変えます。この「地面を蹴る」「体を前に運ぶ」一連の動作こそ、ジャンプの基本原理です。

整形外科の観点から見ると、ジャンプを行うことで次のような効果が得られます。

股関節と膝の伸展力が高まり、地面を蹴る力が強くなる

太もも前側(大腿四頭筋)とお尻(大殿筋)を同時に使うため、スタートダッシュや加速力の基礎になります。

ふくらはぎの反発力(バネ)が鍛えられる

着地と同時に次の跳躍へ移る動きが、「地面反力」を効率的に使う感覚を育てます。これにより、1歩ごとの推進力が増し、50m走などでスピードが上がります。

体幹と下肢の連動性が高まり、走るフォームが安定する

ジャンプ中に姿勢を保つことで、腹筋や背筋が鍛えられ、体幹のブレが減ります。結果として、スムーズで効率的なランニングフォームが身につきます。

つまり、「ジャンプ」は跳ぶための練習ではなく、走るための筋肉と動きを同時に育てるトレーニングです。特に小学生のうちは、重い負荷を使うよりも、自分の体を使って跳ねる動きで正しい力の出し方を学ぶことが、足を速くするための最短ルートになります。

【成長に合わせた練習法】小学生は両足ジャンプ・中学生は片足ジャンプで瞬発力を伸ばす

ジャンプには大きく「両足」と「片足」がありますが、成長に合わせて取り組むことをおすすめします。

両足ジャンプ

ジャンプ

リバウンドやジャンプシュートに直結する力を養えます。安定して高く跳ぶ力が身につきます。

→ 小学生には安全で取り組みやすいので、まずは両足ジャンプからはじめます。

片足ジャンプ

レイアップやユーロステップに直結します。爆発的な推進力を育てます。

→中学生以上、成長してから取り入れるのが理想です。

小3の娘の場合は、今は「両足三段ジャンプ」で基盤をつくりながら、将来的には片足ジャンプを追加していく予定です。

子どもが「続けられる」工夫も大切

子どものトレーニングは、継続できる工夫が何より大切です。

・毎回距離を測る → 自分の成長が数字でわかる
・遊び感覚にする → 記録をゲームのように楽しむ
・無理しない → 疲れたらお休みしてもOK

これが「継続の秘訣」になっています。

整形外科医として伝えたい「成長を支えるトレーニングの本質」

親の立場から見ても、子どもが「速くなりたい」と言って努力を始める姿は、何よりも尊いものです。トレーニングを通して身につけてほしいのは、足の速さそのものだけではありません。

・昨日の自分を超える楽しさ
・コツコツと続ける力
・自分で工夫する習慣

これらはスポーツだけでなく、これからの人生に必ず役立つ力だと感じています。

足が速くなることはゴールではなくスタート

小3の娘が夏休みに始めた挑戦は、ただの「速くなりたい」という気持ちからでした。けれど毎日のランニングや両足三段ジャンプの積み重ねは、確実に走力やジャンプ力を伸ばしています。

・小学生は、 両足ジャンプで基盤をつくる
・成長とともに、 片足ジャンプを取り入れる
・その両方が揃ったとき、バスケ選手としてのジャンプ力が完成する

速く走れるようになることはゴールではなく、スタートです。娘の挑戦を通して、私自身も「継続する力」の大切さをあらためて学んでいます。

小学生が足を速くするためには、日々のトレーニングを楽しみながら継続することが何より大切です。走る基礎が身につけば、瞬発力・体幹・ジャンプ力が自然と伸びていきます。

【小学生・中学生】足が速くなるトレーニング|50m走のタイムを縮める『鍛えるべき4ポイント』

監修者プロフィール

なか整形外科京都西院リハビリテーションクリニック
院長 樋口 直彦 先生

なか整形外科樋口 直彦帝京大学医学部卒業後、いくつかの病院で勤務し、院長を経験後、2021年1月に医療法人藍整会 なか整形外科の理事長に就任。バレーボールVリーグ「サントリーサンバーズ」のチームドクターも務める。骨折治療をはじめ関節外科、スポーツ整形外科を専門に治療。

<Edit:編集部>

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