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瞬発力を高める「プライオメトリックトレーニング」の効果的なやり方と注意点

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 スポーツをしている人にとって、筋トレは筋力だけでなく競技パフォーマンス全体を向上させるという目的があるはずです。競技パフォーマンス向上には、筋力や持久力のほか、さまざまな能力の向上が必要。そして、伸ばしたい能力によって鍛え方が異なってきます。つまり、いつも通りの筋トレでは向上しない能力もあるのです。今回は、重要な能力である「瞬発力」について解説し、この瞬発力を高めるための「プライオメトリックトレーニング」をご紹介します。

瞬発力とは

 瞬発力とは、瞬間的に大きな力を発揮する能力のこと。学校の体力測定などで行われる垂直跳びや立ち幅跳びは、瞬発力を測定する種目です。また、陸上競技での投擲(とうてき)種目やウエイトリフティングなどの競技も、瞬発力が成績を大きく左右します。

 瞬発力は、ただ筋力が向上すれば高まるものではありません。むしろ普通の筋トレでは、効果的に鍛えることができないのです。プライオメトリックトレーニングは瞬発力を高めるためのトレーニング方法として、多くのアスリートが導入しています。

瞬発力のカギを握る「伸張反射」

 瞬発力を高める上で重要なポイントが「伸張反射」です。筋肉は急に伸ばされると、損傷を防ぐために急に縮まるという特性を持っています。要するにゴムのようなものです。これは無意識的に行われる反射で、その反射を伸張反射と呼びます。

 瞬発力にはこの伸張反射が使われており、筋肉が伸ばされた反動を使って一気に収縮させることで、力強く速く動くことができます。そのため、トレーニングでもこの伸張反射をうまく使ってトレーニングする必要があるのです。

 普通の筋トレでは「伸張反射を使う=反動を使う」ということになり、チーティングなどの目的でなければ使わない方がよいとされています。そのため、普通の筋トレの方法では瞬発力はあまり高まりません。

瞬発力を高めるプライオメトリックトレーニング

 では、実際のトレーニング方法をいくつか紹介していきましょう。

<アンクルホップ>

 膝を曲げずに、足首だけを使って高く速く跳ぶエクササイズです。自重だけで行うため、どこでも簡単に行うことができます。

 ポイントは、上半身を大きく動かしながら高く真上に跳ぶようにすること。着地時は接地時間を極力短くするように意識して、次のジャンプを行うようにしましょう。

<ボックスジャンプ>

 高さのあるボックスにジャンプで跳び乗る動作を行うボックスジャンプも、プライオメトリックトレーニングのエクササイズです。このエクササイズは、クロスフィットなどの種目として見たことがある人もいるかもしれません。

 ボックスジャンプのポイントは、ボックスから下りたときに接地時間を極力短くするということ。アンクルホップに比べて高い場所から下りるので、負荷が高いエクササイズです。そのため、ボックスが高ければ高いほど強度が増します。まずは10cm程度の低い台から行い、正しいフォームでできるようになってきたら徐々に台を高くしていきましょう。

 連続でリズムよく行ってもいいですが、相当ハードですので体力がすぐになくなってしまいます。プライオメトリックトレーニングとしての効果を求めるのであれば、ボックスの上に跳び乗ったら体勢をしっかり立て直すなど、少し休憩を入れながら行うようにしましょう。

<メディシンボールスロー>

 下半身だけでなく、上半身の瞬発力を高めるのがメディシンボールスローです。この種目も、クロスフィットなどで導入されています。メディシンボールを持って、一気にしゃがんだ姿勢から立ち上がると同時に、真上へメディシンボールを投げます。この頭上に投げ上げる方法だけでなく、カラダを捻りながらサイドに投げる方法や、座った状態のまま上半身で投げる方法などもあります。まずは、基本的な頭上への投げ上げから始めましょう。

 メディシンボールには、さまざまな重さがあります。体力に合わせて、軽いものから徐々に増やしていくとよいでしょう。

プライオメトリックトレーニングの注意点

 瞬発力を高める効果の高いプライオメトリックトレーニングですが、3つの注意ポイントがあります。あらかじめ、知識として覚えておいてください。

①まずはしっかり筋力をつけてから

 プライオメトリックトレーニングは伸張反射を使うため、筋肉に大きなストレスがかかります。例えばボックスジャンプを行う際、しっかりとした下半身の筋肉がない状態では、ボックスから跳び降りた際の衝撃をしっかり脚で支えることができません。結果、効果的にトレーニングを行うことができなくなります。

 体力に自信のない方や筋トレ未経験の方は、ベーシックな筋トレで筋力を高めつつ、自重で行うアンクルホップなどの種目から始めてみましょう。

②毎日行わない

 プライオメトリックトレーニングは、かなり強度の高いトレーニングです。筋肉や関節に対し大きなストレスがかかりますし、伸張反射を行うための筋収縮形態は筋肉痛を強く引き起こします。そのため、プライオメトリックトレーニングは毎日行わないようにしましょう。

 目安としては週に1~2回。トレーニングにおける総接地回数は、100回くらいに設定しておくとよいでしょう。

③毎回全力で、動作の切り返しを思いきり速く意識する

 ジャンプエクササイズもメディシンボールエクササイズも、毎回全力で跳びあがったり投げたりするようにしましょう。そうすることで瞬発力が鍛えられます。また、伸張反射が起こる場面である接地の瞬間などは、極力短い時間で行うように意識するとよいでしょう。同じエクササイズでも、手を抜いていたりダラダラやっていたりすれば意味がありません。

おわりに

 プライオメトリックのエクササイズは、自重トレーニングとして行うものからボックスやボールを使うものなどさまざまです。連続して行うと心拍数が高まることから、クロスフィットでも多く使われています。プライオメトリックトレーニングも普通の筋トレと同様に、正しいフォームや動作が欠かせません。効果的にプログラムを行い、競技パフォーマンスの向上を目指しましょう。

[著者プロフィール]
和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。​スポーツ系専門学校での講師や健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師経験も多数。そのほか、テレビや雑誌でも出演・トレーニング監修を行う。日本トレーニング指導者協会JATI-ATI。
【HP】https://wada0129.wixsite.com/takumiwada

<Text:和田拓巳/Photo:Getty Images>

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