フィットネス
2020年11月5日

メディシンボールで筋トレ│投げる、叩きつける

 重さのあるボールの形状をしたトレーニング器具、メディシンボール。「筋肉を鍛える器具「メディシンボール」とは。効果と使い方、エクササイズ」にて基礎を解説し、「メディシンボールトレーニング上級編│肩・胸・腹筋・下半身を鍛えるメニュー」ではハードなエクササイズのやり方を紹介しました。

 メディシンボールを使ったエクササイズの最大の特徴は、投げる動作ができるという点です。今回はメディシンボールを使った投げる動作“スローイング”の効果とメニューを紹介します。

投げる動作にはどんなメリットがある?

 投げる動作にはどんなメリットがあるのでしょうか。まずはそこから確認してみましょう。

競技に近い動作を鍛えることができる

 野球をはじめ、ボールを投げる競技はたくさんあります。しかしウエイトトレーニングにおいては、投げるという動作がほとんどありません。投げることができるメディシンボールの特徴によって、ウエイトトレーニングよりも競技に近い動作を鍛えることができるメリットがあります。

 とはいえ、重いボールを投げていれば軽いボールを速く投げることができる、遠くに投げることができるという単純なものではありません。あくまでも、ウエイトトレーニングの一環であるということを頭に入れておきましょう。

 また、特定の筋肉をターゲットにして行うウエイトトレーニングと異なり、下半身から体幹、上半身と、力の連動をうまく使いながらボールを投げる必要があります。そのため、全身の筋肉に刺激を入れることができるという点も、競技に近いトレーニングと言えるでしょう。

爆発的なパワーを発揮できるようになる

 投げるという動作は、瞬間的な力の発揮によって行う動作です。ウエイトトレーニングのように、ジワッと力を発揮しながら投げることは不可能でしょう。そのため、メディシンボールを使ったスローイングのトレーニングは、瞬発力など短時間で爆発的なパワー発揮を養うのに適しています。実際、瞬発力の必要な陸上競技の短距離選手や投擲(とうてき)選手にとって、メディシンボールは定番のトレーニング方法です。

メディシンボールの重さはどれくらいがいい?

 スローイングの場合、他のメディシンボールエクササイズに比べて動作が単純なものが多いでしょう。そのため、重い重量でも扱いやすいはずです。初心者でも3kgからチャレンジしてみてください。普段トレーニングを行っている人であれば、5kg以上のメディシンボールを積極的に使ってもよいでしょう。

メディシンボールのスローイングエクササイズ

フロントスロー(直上スロー)

1.足を腰幅に広げて立ち、両手でメディシンボールを持つ。
2.ボールを持ったまましゃがむ。
3.立ち上がる勢いを使って、ボールを真上に高く投げる。落ちてきたボールは地面に落ちてから拾う。

 ボールを真上に高く投げるエクササイズです。しゃがんだところから勢いよく立ち上がる反動をうまく使って、できるだけ高く投げましょう。

チェストスロー

1.足を腰幅に広げて立ち、メディシンボールを胸の前で持つ。
2.股関節を曲げてカラダを前に傾けていくと同時に、両手で勢いよくメディシンボールを前へ投げる。
3.この動作を繰り返す。

 チェストスローは膝立ちでも行うことができます。体幹から上半身の連動性を高めたいときは膝立ちで、下半身から上半身までの連動性を高めたい場合は立って行うとよいでしょう。

バックスロー

1.足を腰幅に広げて立ち、メディシンボールを持つ。
2.ボールを持ったまましゃがむ。
3.立ち上がる勢いを使って、ボールを後ろに高く投げる。

 ボールを真上ではなく後ろへ投げるエクササイズです。腰が反りやすいので、腹筋に力を入れたまま全身の力で投げるようにしましょう。

サイドスロー

1.カラダの右側に壁がくるように壁の横に立つ。足を腰幅に広げて立ち、両手でメディシンボールを持つ。2.カラダを捻りながら、ボールをカラダの左側へ移動させる。このとき、重心は左の股関節へ。
3.壁にボールをぶつけるようにカラダを右に捻り、その反動を使ってボールを壁に投げる。
4.ボールをキャッチし、2の姿勢に戻る。

 腕で投げるというよりは、カラダを捻る勢いを使って投げるというイメージで行いましょう。初めのうちは正確な動作を、慣れてきたらリズムよく行ってください。

叩きつけ

1.両手でメディシンボールを持ち、頭上に持ち上げる。
2.カラダの反動を使い、ボールを地面に叩きつけるように真下へ投げる。
3.この動作を繰り返す。

 できるだけ高い位置から、思いきり真下にボールを叩きつけます。腕だけでなく全身の勢いを使って投げるようにしましょう。

ポイントは「思いきり投げる」こと

 メディシンボールのスローイングエクササイズはできるだけ思いきり投げる必要があり、広い場所が求められます。周囲の安全を確保しながら取り組んでみてください。

[著者プロフィール]
和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。​医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。運営協力メディア「#トレラブ(https://tr-lv.com/)」などで多くの執筆・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信している。日本トレーニング指導者協会 JATI-ATI
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<Text:和田拓巳/Photo:Getty Images>