ギア&アクセサリー
2020年1月8日

睡眠を分析できるスマートウォッチ「Polar Ignite(ポラール・イグナイト)」を使ってみた

 お正月休みが終わったものの、まだまだ仕事モードに移れない今日このごろ……。毎年、この時期になると「お休みモードを見直して、しっかり生活サイクルを整えなくちゃ」と思うのですが、重い腰があがりません。そんなとき、編集部からフィットネスウォッチ「Polar Ignite」(ポラール・イグナイト)を借りる機会がありました。活動量を測れるだけでなく、睡眠の質改善にも活用できるんだそう。どんな製品なのでしょう? レビューしてみました。

Polar Igniteを巻いた生活が始まる

 筆者が最も興味をそそられたのは、身体と神経の疲れ具合を把握した上で、睡眠による回復具合を知らせてくれるNightly Recharge機能。ただ単純に「何時間眠れました」が計測できるだけでなく、その人の疲れがどのくらい回復したかを踏まえた結果が出るらしいのです。また『良い睡眠』を得るために適度なアクティビティもサジェストしてくれるとのことで、これは使うのが楽しみになってきます。

▲見た目もスマートなPolar Ignite

▲どのくらい身体が回復したかを知らせるNightly Recharge(左)。回復状況に合わせたトレーニングをサジェストするFitSparkも気になります(右)

 さてPolar Igniteを装着する生活が始まりました。とある日の筆者。朝から2本の取材が入っており、都内をはしごする予定です。しかし前日、深夜1時すぎまでPCを叩いていたので、朝も目覚めがよくなかった……。あまり眠れた感覚がありません。もはや、これが日常となっていますが、Polar Igniteはどんな分析をするでしょう。

▲よく寝られなかった……。Nightly Rechargeの結果は?

 寝ぼけ眼のままPolar Igniteを操作してNightly Rechargeを開くと「やや悪い」と出ました。デスヨネ……。あまり回復できなかった、という感覚が数値でも明らかになりました。ANSステータスは「-5.9低い」、睡眠ステータスは「66低い」と表示されています。ANSステータスとは、夜間、自律神経系(ANS)がどれだけ沈静したかを示すもの。0が通常レベルで、-10~+10でスコア化されるわけですが、-5.9低い、という悪い結果を寝起きの頭で受け止めます。こりゃ生活サイクルを見直さなきゃ。

▲Polar Igniteを操作してNightly Rechargeの結果を確認。就寝1時32分、起床8時01分。平均呼吸数は1分あたり12.7回と出ています

 次に、スマホのアプリを起動して時計と同期してみました。専用アプリ「Polar Flow App」はiOS / Androidに対応しており、BluetoothでPolar Igniteと連携します。

▲スマホのアプリで詳細をチェック

▲睡眠時間は6時間30分、中断は11分間。レム睡眠と深い睡眠の関係は?

 なるほど、色付けされた分かりやすいグラフと「睡眠スコア」という項目が出ました。やはり評価はあまり良くない様子。でも詳細はよく分かりません。そもそも「レム睡眠って何だっけ?深い睡眠と違うの?」と素朴な疑問が浮かびます。そこで、アプリの「i」マークをタップ。睡眠に関する専門用語が気になったときは、Polar Flow Appで細かい解説を読むことができるのです。

▲レム睡眠と深い睡眠について詳しい解説をチェック。心と身体の両方に回復を促す、どちらも重要な睡眠ステージ、との説明でした

 それによれば「レム睡眠におちると筋肉はリラックスし、脳内活動が活発化します。心的な回復を促し、記憶力や学習能力を伸ばす効果があります」、一方で、深い睡眠は「目を覚ますのが困難なほどの睡眠状態で、身体を回復させ、免疫システムをサポートし、筋肉の発達にも影響します」とあります。なるほど。

 ここで、あらためて筆者の結果をおさらいします。実際の睡眠時間は6時間で、レム睡眠は1時間10分(全体の18%)、深い睡眠は1時間10分(全体の18%)と、細かいデータが出ています。それらを加味した睡眠スコアが100点満点で66点。一般的な睡眠スコアは70~85なので、ちょっと足りない、という”現在地”が理解できました。

▲さて、もう家を出なくちゃ。Polar Igniteはカジュアルな格好にもフォーマルな服装にも合う大人のデザインです

 ちなみに本人には自覚がありませんでしたが、睡眠を開始してから、わりと早めに「深い睡眠」が訪れたようです。そういえば以前、睡眠の専門家が「深い睡眠が早めに訪れるのは、動物の本能が残っているから」と話していました。他の動物に襲われるかも知れないサバイバル環境で生き抜くため、短い時間しか眠れないときにも最優先で身体の疲れを回復できるよう、スッと深い眠りにおちることができる、そんな内容でした。

活動量計メインの使い方も可

 閑話休題。さて、仕事の合間にも、ちょこちょこPolar Flow Appを確認します。この製品は、ライフログを取得するウェアラブル端末としても本領を発揮してくれます。16時の時点で、歩数は5579歩、歩いた距離は3.7km、消費カロリーは1800kcal、アクティブ時間は4時間44分と出ました。デスクワークが中心の仕事なので、頭を酷使しても身体は動かさず。そのためカロリーを消費できていない現実を目の当たりにします。

▲もちろん活動量計としても本領を発揮するPolar Ignite。まだ1日の目標ステータスの54%

 この後も移動と執筆を繰り返し、仕事は21時頃に終わりました。結局、この日は「座っている」と判断された時間が7時間16分に到達。ほとんどは「記者会見の取材をしていた時間+原稿を書いていた時間」です。1日の目標ステータスは達成できず、61%で終わりそうだったので、仕事を終えた夜に少し遠回りをして家に帰宅しました。ちなみに1日の「活動目標」はレベル1~3から選択でき、希望する睡眠時間も5分単位で設定できる仕様です。

▲Polar Flow Appを21時頃に確認。「目標を達成するには……」から始まる文脈で、いろんな活動をサジェストしてくれます

 1日の目標ステータスを達成するため、Polar Flow Appもさまざまなアクティビティを提案してくれます。それは「0h18minバスケットボールをする」「0h38min芝刈り」「2h12minギターを弾く」「2h3minゆっくり歩く」「1h37min掃除」「1h15minガーデニング」「0h11min縄跳び」といった具合。料理や掃除など、家事もあったりして、その人ができる範囲(内容)のことをサジェストしてくれることにほっこりします。優しさってこういうことですよね。

▲充電は専用ケーブルから。PCと同期する使い方も可能です

 実は以前、他社製のアームバンド型のウェアラブル端末をつけながら寝たら眠れなかったことがありました。今回もそれを心配していましたが、Polar Igniteはベルトの装着感がよく、また時計の形状もフラットなため布団にも引っかからず、朝まで気にならずに済みました。

なにより競合製品より優れていると思うのは、緑と赤の2色のLED(計9個)により血管の状態を正確に把握でき、また皮膚に接触する面に搭載する電極センサー(計4つ)により皮膚と光学式心拍センサーの接触状況を把握できること。ここに3D加速度センサーで得られた情報が融合され、心拍数計測の精度を高めているそうです。こういうガジェットの場合、『計測されたデータを信頼できるかどうか』がイチバン肝心ですが、そこがしっかり担保されている印象。使い続けたい、と思わせてくれます。

▲Precision Primeセンサーの最新テクノロジー搭載で心拍数を計測します

 もちろんスポーツウォッチなので、普段から運動をしている人にとっては他のPolar製トラッカーと同様に、便利に使えるでしょう。本製品では、100種類以上のスポーツ種目に対応しています。

▲Polar Igniteをパーソナルトレーナー代わりに、身体を動かしてみましょう

 「FitSpark」は、過去のトレーニング履歴、およびNightly Rechargeのデータから分析した身体の回復状況などをもとに、その日のうちに実施が推奨されるトレーニングメニューを提案する機能。「筋力」「カーディオ(心肺機能)」「サポーティブ(体幹・可動性)」「プログラム」のカテゴリにおいて、最適なトレーニングメニューが用意されます。常に心拍数が計測されているため、無理強いをしてこない、という安心感もあります。

 この日、夜も更けた頃にふと「Serene呼吸エクササイズ」を試してみました。Polar Igniteのディスプレイに表示される“泡”のアニメーションを見ながら、息を深く吸って、吐いて、を繰り返します。これを睡眠前に行うことで、睡眠の質が高められるんだとか。毎日の日課にしたいものです。

▲「Serene呼吸エクササイズ」は、自律神経の副交感神経を優位にして、自律神経を安静な状態にするため行う呼吸のエクササイズ

 このSerene呼吸エクササイズは手動でいつでも試せるほか、Nightly Rechargeの結果により必要と判断されたときも「実施してください」とアラートが出るとのこと。これはもう、自分の身体を気遣ってくれる専門家が腕に常駐しているような感覚ですね。

 デスクワークが中心の仕事になると、どうしても「疲れているはずなのに眠れない」ということが起こります。たしかに頭や神経は疲れている、けれど身体を動かしていないから良い睡眠につながっていない。そんな気づきを与え、適度な運動を促してくれる優しい製品に、このPolar Igniteは仕上がっていました。

▲公式オンラインサイトには「次の日のパフォーマンスは夜に決まる」「睡眠なくして栄光なし」といったワードが並びます

 Polar Igniteは、オンラインストアを含む全国のポラール製品正規取扱店で販売中。サイズ展開とカラバリは以下の通り。

《サイズ:M/L ※手首周り155~210 mm》
・ブラック&シルバー
・ホワイト&シルバー
・イエロー&ブラック
・ブラック&カッパー

《サイズ:S ※手首周り130~185 mm》
・ブラック&シルバー
・ホワイト&シルバー
・ピンク&ローズゴールド

 希望小売価格は27,800円、交換用ベルトは3,980円(どちらも税別)となっています。「最近、寝ても疲れがとれない」「なにか健康に良いことを始めたい」などとお思いの方は、Polar Igniteを試してみてはいかがでしょうか。

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<Text & Photo:近藤謙太郎>